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パーパス経営とは?メリットや注目される背景、企業事例などを詳しく解説

近年、「パーパス経営」が注目を集めています。

パーパス経営とは、企業の社会における存在意義(=パーパス)を問い、そのパーパスを軸に経営を行うことです。

本記事では、パーパス経営の意味や注目される背景と理由やメリット、求められる5つの条件や実践手順、実践の際の注意点を詳しく解説します。

最後にパーパス経営を実践している企業事例も紹介しておりますので、「なかなかパーパスが社内に浸透しない」「パーパス経営の必要性は感じているが、具体的にどのように取り組んだら良いのか分からない」という方はぜひ参考にしてみてください。

パーパス経営とは?

パーパス経営

パーパス経営とは、自社の社会における存在意義(=パーパス)を問い、そのパーパスを軸にした経営を行うことを指します。

本格的にパーパス経営が広まったのは2010年代以降と言われています。

欧米を中心に広がっていったパーパス経営ですが、近年は日本企業もパーパス経営を取り入れる企業が増えてきています。

「MVV」(ミッション・ビジョン・バリュー)との相違点

パーパスと混同されやすい言葉として、「MVV」があります。

「MVV」とは「M:Mission(ミッション)」「V:Vision(ビジョン)」「V:Value(バリュー)」の頭文字を組み合わせた呼称で、それぞれ「使命」「理念」「行動指針」と訳されます。

MVVを掲げている企業は数多く存在し、企業経営の中核となる重要なものであることはパーパスと同じです。

MVVとパーパスの違いは、「社会的なつながりを重視するかどうか」にあります。

パーパスは社会における存在意義、つまり自社が社会にどのような価値を与えられるか・与えているのかを示すものです。それに対し、MVVは、自社が社会においてどのような貢献をしているのかどうかを必ず示す必要はありません。

そのため、ミッションが社会的に対する貢献内容を含むものであれば、パーパスとほぼ同義ということになります。

パーパス経営が注目される4つの背景と理由

パーパス経営

パーパス経営が注目される背景と理由として、次の4つの要素が挙げられます。

・VUCA時代の到来
・SDGsとサステナビリティ経営の必要性
・ミレニアル世代の台頭
・経営理念の浸透不足

それぞれ詳しく解説していきます。

パーパス経営が必要な理由①VUCA時代の到来

「VUCA」とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を組み合わせたもので、物事の不確実性が高く、将来の予測が困難な状態を意味する言葉です。

この「VUCA」という言葉に象徴されるように、近年のビジネス環境は不確実性が高く、そしてその変化は激しく、現在の延長線上に未来を描くことが極めて難しくなってきています。

これからの企業は、市場環境が変わったとしても変わることのない目指すべき姿・あるべき姿を描くことが求められます。

また、市場の成熟化や顧客の変化に伴い、製品・サービスのみによる差別化は難しくなってきています。

では何が顧客の購買動機に繋がっているのかというと、企業姿勢や企業の価値観そのものです。

社員に対する理念浸透だけではなく、企業が顧客に選ばれ続けるためにも、パーパス(企業の存在意義)を再定義し、明示していくことが重要なのです。

パーパス経営が必要な理由②SDGsとサステナビリティ経営の必要性

先述の通り、本格的にパーパス経営が広まったのは2010年代以降と言われています。

その背景には、2015年に「国連持続可能な開発サミット」で採択されたSDGs(「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国際目標)が大きく影響しています。

SDGsが採択されたことにより、持続可能な社会に向けた企業の役割はますます大きなものとなりました。

今やサステナビリティ経営の推進は全ての企業に求められており、現在は自社の戦略をSDGs起点で考える企業も増えています。

さらに、この世界的な潮流を受けて、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの視点から投資先を評価し、その評価に基づいて投資を行う「ESG投資」も年々拡大の一途を辿っています。

社会的責任を果たす企業に投資家は積極的に投資をするようになっているため、企業が持続的に事業活動を行うためにも、サステナビリティ経営の推進は必須と言えるでしょう。

繰り返しになりますが、パーパスとは「社会における自社の存在意義」を意味します。パーパスを定義することは、サステナビリティ経営の第一歩でもあるのです。

SDGsや、積極的に取り組む企業事例については以下の記事で詳しく解説していますので気になる方は合わせてご覧ください。

【SDGs達成度ランキング2023】21位にランクダウンした日本の現状と今後の課題は?

企業のSDGsへの取り組み事例8選!具体的な取り組みや方法、メリットを分かりやすく紹介

パーパス経営が必要な理由③ミレニアル世代の台頭

ミレニアル世代とは、1980年代~1990年代半ばに誕生した人たちを指し(※諸説あります)、今後の企業活動や消費行動の軸となる世代です。

ミレニアル世代はSDGsに関心が高く、顧客であれば、サステナブルな事業を展開し社会課題の解決に貢献している企業を選び、経営者や社員であれば、働く意義として社会貢献に大きな価値を見出しているということが様々な統計で明らかになっています。

Facebookの創業者であり、現Metaの会長兼CEOを務めるマーク・ザッカーバーグは、ミレニアル世代の代表的な存在の一人ですが、彼は、ハーバード大学の卒業式で「ミレニアル世代の人々にとって大切な課題は、誰もが人生の中で自らの存在意義を持てる世界を創り出すことだ」と演説しています。

優秀な人材を獲得するためにも、企業の求心力を維持するためにも、そして顧客や株主といったステークホルダーと関係性を構築し成長し続けるためにも、パーパスは非常に重要な意味を持つのです。

パーパス経営が必要な理由④経営理念の浸透不足

日本企業の多くはこれまで経営理念を大切にした経営を行ってきました。

しかし近年は時代の変化やグローバル化に伴い、経営理念を社員一人一人の行動に結びつくレベルで浸透させることが難しくなってきています。

具体的には、
・普遍的表現による形骸化
・時代の変化との不一致
・背景が伝えられていない
などと言われていたりします。

いずれにしても、企業は経営理念を単なる「絵に描いた餅」としないためにも、社員の日々の行動に活かせる形で浸透させなければなりません。

だからこそ、上記の経営理念が浸透しづらい理由を払拭できるパーパス経営に注目する経営者が増えているのです。

パーパス経営のメリット

パーパス経営

ここからは、パーパス経営に企業が取り組むメリットを解説していきます。
企業がパーパス経営に取り組むメリットは大きく次の3つです。

・ステークホルダーからの支持を得られる・自社のブランド価値向上
・従業員のエンゲージメント向上・一体感の醸成
・企業規模問わず実践することができる

それぞれ詳しく説明します。

ステークホルダーからの支持を得られる・自社のブランド価値向上

企業がパーパス経営に取り組む一つ目のメリットは、顧客や株主といったステークホルダーからの支持を得られる点です。

パーパス経営が注目を集める背景でも触れましたが、近年はSDGsを重要視する流れから、投資家は社会課題の解決に事業を通して取り組む企業に積極的に投資をするようになってきています(ESG投資)。

また、ミレニアル世代は社会貢献をする企業を選ぶという特徴があります。パーパス経営に取り組むことで、自社のブランド価値向上にも大きく寄与します。

株主や顧客といったステークホルダーから支持を得られなければ、企業は存続することができません。そういった意味で、パーパス経営は取り組むメリットが非常に大きいと言えるでしょう。

従業員のエンゲージメント向上・一体感の醸成

パーパス経営の実践は、従業員のエンゲージメント向上にも繋がります。

自分が何のために働いているのか、その意義を見出せないような職場環境よりも、パーパスという社会に対する自社の貢献のあり方を明示し、自身の仕事の意義が明確化された状況の方が、仕事に対するモチベーションも、エンゲージメントも高まります。

また、あり方が明確になることで、意思決定基準がクリアになり、業務遂行スピードの向上など、社員一人一人の日々の行動が変化していくでしょう。

従業員エンゲージメントが向上することにより、より優秀な人材の獲得、離職率の低減なども期待できます。

企業規模問わず実践しやすい

事業規模に関わらず、どの企業においても実践しやすい点も、パーパス経営のメリットの一つと言えるでしょう。

パーパス経営は、自社の存在意義を再定義し、パーパースを軸に経営を行うという経営モデルですので、特に大きな設備投資などは必要ありません。

そのため、資金や人的リソースが乏しい規模の小さな中小企業も今すぐ実践することができます。

パーパス経営に求められる5つの条件

パーパス経営

「パーパス経営」といっても、具体的にどのようなパーパスを掲げればいいのか分からない企業もあるかもしれません。

参考までに、パーパス経営に求められる次の5つの条件を解説します。

・社会課題の解決に繋がるもの
・自社の事業に結びつくもの
・自社の利益に繋がるもの
・自社で実現可能なもの
・従業員のモチベーションに繋がるもの

社会課題の解決に繋がるもの

繰り返しになりますが、企業の「パーパス」とは自社の社会における存在意義です。

環境問題・人権問題・労働問題など、様々な現代の社会課題に対してどんな貢献をしているのか(していきたいのか)考えましょう

「パーパス経営に取り組むメリット」でも触れましたが、社会課題の解決に貢献している企業はステークホルダーからの共感も得やすくなります。

関連記事「SDGsで私たちにできることとは?個人・企業の身近な取り組み事例19選」では、企業が社会課題解決に向けて貢献できる分野や、実際の企業の取り組み事例などを紹介していますので合わせてご覧ください。

SDGsで私たちにできることとは?個人・企業の身近な取り組み事例19選

自社の事業に結びつくもの

パーパスを策定する際は、自社の事業に結びつくものがいいでしょう。

なぜなら、自社事業と関連性の低いビジネスを新たに立ち上げようとしても、既存事業との相乗効果が得られない上に、なかなか成果が出なかったり、形だけの取り組みとなってしまったりする可能性があるからです。

自社の事業と関連性が強い分野や、ノウハウや知見が蓄積されている分野、自社の強みを活かせるビジネスを前提にパーパスを策定することが大切です。

自社の利益に繋がるもの

企業は、利益を出し続けなければ存続することはできません。だからこそ、自社の利益に繋がる分野で貢献することも重要です。

たとえば、人材会社が「環境に配慮したエコフレンドリーな商品を開発しよう」と目標を掲げても、既存事業との相乗効果が得られないばかりか、コストがかかったり、なかなか成果が出なかったりします。

パーパス経営のために新たなビジネスを手掛けるのではなく、「事業活動を行うことによって、自社はどんな社会問題の解決に貢献をしているのか」という視点で考えましょう。

自社の事業との相乗効果が見込めるパーパスを策定することが重要です。

自社で実現可能なもの

自社の規模(資金力や労働力など)を超えるような取り組みは、実行できないまま終わってしまう可能性もあります。

詳しくは後述しますが「パーパス・ウォッシュ」と言われているように、掲げたパーパスと実際の行動が異なっている場合、顧客や株主といったステークホルダーから信用を失いかねません。

そのため、自社で実現可能なパーパスを策定することが大切です。

従業員のモチベーションに繋がるもの

先述の通り、パーパス経営は「社員一人一人の行動変革を促すもの」という側面からも注目を集めている経営モデルです。

「自社の存在意義とは何なのか」「自分が今行っている仕事は社会的にどんな意義があるのか」を認識しやすいパーパスを策定し、浸透させましょう。

そうすることで、社員は働きがいを感じることができ、結果として従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上にも繋がります。

パーパス経営の実践手順6つのステップ

パーパス経営

それでは実際にパーパス経営を実践する際の手順を解説していきます。

ステップは大きく次の6つです。

ステップ①:ステークホルダーからの評価を分析
ステップ②:自社分析
ステップ③:自社の理念と歴史の棚卸し
ステップ④:従業員の参画意識の醸成
ステップ⑤:パーパスの言語化
ステップ⑥:社内への浸透、日々の業務への落とし込み

それぞれ解説していきます。

ステップ①:ステークホルダーからの評価を分析

まずは、自社にはどのような顧客がいて、どのような評価をされているのかなど、ステークホルダーに関する分析をしていきます。

具体的には、以下の調査などがおすすめです。

・顧客調査
・仕入先調査
・ブランド、PRに関する外部機関調査
・IRに関する外部評価機関調査
・CSR、SRに関する外部評価機関調査

ステップ②:自社分析

自社はどのようなブランドを確立しているのかを客観的に把握することで、パーパスを策定しやすくなります。

そのため、次は自社分析をしていきましょう。

代表的な自社分析のフレームワークは以下の通りです。
・3C分析
・SWOT分析
・コンピテンシー分析
・ケイパビリティ分析

以下の関連記事は競合分析の方法を解説した記事ですが、3C分析やSWOT分析について解説しているのでよろしければ参考にしてみてください。

競合分析とは?メリットや使用するフレームワーク、具体的な手順や注意点を分かりやすく解説

クロスSWOT分析とは?フレームワークやテンプレート、分析方法や注意点を分かりやすく解説!

ステップ③:自社の理念と歴史の棚卸し

また、自社の理念と歴史の棚卸しもしていきましょう。

具体的には、
・自社の歴史的な出来事
・危機に直面した際の経営陣のマネジメント
・社員の意思決定の仕方
などです。

これらを体系立て、自社が大切にしてきた考え方をまとめましょう。

このステップは、これからパーパス経営を実践していく上で欠かせない重要なステップとなります。

なぜなら、自社の存在意義を再定義することに繋がるだけではなく、自社の歴史やその時の行動、意思決定基準というものは、社員の中に体感として強く残っている場合も多く、パーパスを掲げたときに納得感が醸成されやすいからです。

ステップ④:従業員の参画意識の醸成

パーパスを策定する際に重要なことは、社員一人一人に参画意識を持たせられるかどうかです。

そのため、自社の存在意義を再定義する際(パーパスを策定するとき)は、経営陣だけで進めるのではなく、社員から自社に関する声をたくさん集めましょう。

もちろん全員の声を反映させることは難しいですし、最終的な決定をするのは経営者だと思いますが、プロセスに透明性を持たせ、また全員を巻き込んで取り組むことが重要です。

ステップ⑤:パーパスの言語化

ステップ①〜④で得られた情報をもとに、自社の存在意義を再定義していきます。パーパスの言語化です。

現在、そしてこれから、自社はどのような社会課題を解決しようとしているのか、そのためにどんな価値提供を実現しようとしているのか、改めて言語化していきましょう。

企業規模が大きく事業内容が多岐に渡っている企業や、時代の変化と共に事業領域が大きく変化した企業もあるかと思います。

その場合は、共通して根底に変わらずあるものや、時代や市場環境が変わったとしても変わることのない、目指すべき姿・あるべき姿を描きましょう。

ステップ⑥:社内への浸透、日々の業務への落とし込み

ステップ⑤で策定したパーパスを絵に描いた餅としないためにも、社内への浸透と日々の業務へ落とし込み、実行に移していきます。

パーパスを社内へ浸透させるためには、経営陣がパーパスの重要性と意義、そして事業戦略との関連性を伝え続けることが重要です。

また、このあとの企業事例でも紹介しますが、各企業はパーパスの実現に向けて素晴らしい成果を残した社員に対して社内イベントで表彰するなど、日々の事業活動に落とし込んでいくために、様々な取り組みを行っています。

パーパスは、社員一人一人の行動に結びついてこそ意味があるものです。パーパス浸透のために経営陣の啓発を継続すると共に、日々の事業活動に落とし込むための仕掛けや制度などもあわせて取り組んでいくことが求められます。

パーパス・ウォッシュとは?実践の際の注意点

パーパス経営

パーパス経営を実践するにあたり、注意したいのが「パーパス・ウォッシュ」です。

パーパス・ウォッシュとは、公表しているパーパスと、実際の企業活動の内容が異なってしまっている状態のことです。

パーパスと行動が伴っていないと、顧客や株主などのステークホルダーから信用を失うことになりかねませんので注意が必要です。

パーパス経営を実践している企業事例3選

パーパス経営

それでは最後に、パーパス経営を取り入れているグローバル企業の事例をご紹介します。
今回ご紹介する企業は次の3社です。

・パタゴニア
・オムロン
・味の素グループ

どの企業も素晴らしい取り組みをされていますので、「なかなかパーパスが社内に浸透しない」「パーパス経営の必要性は感じているが、具体的にどのように取り組んだら良いのか分からない」という方はぜひ参考にしてみてください。

パタゴニア

パーパス経営を実践する世界的企業として、パタゴニアを連想される方は多いのではないでしょうか。

パタゴニアは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」を掲げ、パーパスドリブンな経営をしてきました。

象徴的だったのは、2022年9月、創業者のイヴォン・シュイナードとその家族が同社の所有権を非営利団体らに譲渡し、パタゴニアの将来の利益全てを気候変動対策に充てると宣言したことです。

シュイナード氏はこのとき『私たちは「株式公開に進む(Going public)」のではなく、「目的に進む(Going purpose)」のです。自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えるのではなく、パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用します』と述べています。

「地球が私たちの唯一の株主」と語るシュイナード氏の言葉に、「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というパーパスの達成を本気で目指している姿勢が伺えます。

参考:パタゴニア|オーナーシップ

オムロン

オムロンは、「理念を大切にするだけでは企業の価値創造につながらない」として、「企業理念実践経営(=パーパス経営)」に取り組んでいるグローバル企業です。

経営トップの啓発だけでは、パーパスを本当に意味で浸透させることは難しい部分があります。そこで同社は、パーパス実践のストーリーをグローバル全社で共有することで、共感と共鳴の輪を拡大させる取り組み「TOGA(The OMRON Global Award)」を実践しています。

TOGAの始まりは、オムロン マニュファクチャリング オブ インドネシア社長のイラワン・サントソによる同国での企業理念の実践だったといいます。

自社工場のみならず、周囲の工場、インドネシア政府をも巻き込んだ、障がい者雇用の促進が、企業理念を実践した素晴らしい事例として2012年に表彰されました。

当時のCEO山田義仁氏は、「オムロンには、彼のように企業理念を実践した事例が他にもたくさんあるはずだ。現在、そして未来に向けて皆が取り組んでいる企業理念実践の物語を掘り起こしたい。そして、その取り組みを皆と共有し、応援し、称賛したい」と考え、TOGAをスタート。

現在この取り組みは、社内はもちろん、パートナー企業や投資家、メディア関係者、学生など社外にまで広がり、同社が成長するための大きな原動力となっているそうです。

参考:OMRON Corporation

味の素グループ

味の素グループは、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みを「ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)」と称し、経営の基本方針としています。同社は「ASV経営」と呼んでいますが、まさにパーパス経営の事例のひとつと言えるでしょう。

同社は「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」をパーパスに掲げており、具体的には環境負荷を50パーセント削減と、10億人の健康寿命延伸を目標としています。

このパーパスの実現に向けて、同社は2023年に「中期ASV経営2030ロードマップ」を発表。

具体的な重点戦略として次の3つを掲げています。
・マネジメント変革
・ポートフォリオマネジメント
・無形資産とROICツリー

同社は毎年「ASVレポート(統合報告書)」を公表しており、パーパスと事業との関連性や、ASV経営(パーパス経営)を推進することで実現する具体的な成果もわかりやすくまとめられています。

また、同社では従業員エンゲージメント(ASV自分ごと化)を高めるマネジメントサイクルに取り組んでおり、さまざまな施策が展開されています。これにより、従業員の自発的なASVの実践が広がってきているそうです。

参考:味の素株式会社

パーパス経営を推進して企業価値を高めよう

パーパス経営

今回は、パーパス経営の意味や注目される背景と理由やメリット、求められる5つの条件や実践手順、実践の際の注意点と、パーパス経営を実践しているグローバル企業の事例を紹介しました。

変化の激しい時代だからこそ、改めて自社の存在意義を定義していく必要があります。パーパス経営を推進して、企業価値を高めていきましょう。

参考:知的資産創造 2021年7月号「経営理念からパーパス経営への進化」野村総合研究所

 

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監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。