SDGs達成度ランキング2026|日本は20位に後退。国の評価と企業開示を比較して現状と課題を分析
2026年6月に発表された最新の「Sustainable Development Report 2026」で、日本のSDGs達成度は世界20位だった。前年の19位からさらに1つ後退し、2017年の11位をピークに長期的な低落が続いている。一方で、国内の上場企業ではサステナビリティ関連の開示が急速に進んでいる。本記事ではSDSNの公式データとCCReB GATEWAYのホットワード分析を用いて、「国の評価」と「企業の取り組み」のギャップを読み解く。
- 2026年のSDGs達成度ランキングで日本は何位だったか
- 日本の順位が後退し続けている背景
- 日本が抱えるSDGsの強みと課題
- 中期経営計画に見る企業のESG課題認識
- 企業はSDGs・ESG開示にどう向き合うべきか
2026年SDGs達成度ランキング、日本は20位に後退

2026年版のSDGs達成度ランキングでは日本は世界20位(スコア81.02)。前年の19位から1つ後退した。上位は北欧諸国が独占し、日本はG7のなかでは中位にとどまっている。
「Sustainable Development Report(持続可能な開発報告書)」は、国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2016年から毎年発表しているレポートで、各国のSDGs達成度を0〜100のスコアで評価しランキング化したものだ。2026年版では169か国がランク付けの対象となった。
2026年版SDGs達成度ランキング 世界トップ10
| 順位 | 国 | スコア |
| 1 | フィンランド | 87.40 |
| 2 | スウェーデン | 86.26 |
| 3 | デンマーク | 85.68 |
| 4 | ノルウェー | 84.08 |
| 5 | ドイツ | 84.02 |
| 6 | オーストリア | 83.95 |
| 7 | フランス | 83.43 |
| 8 | イギリス | 82.45 |
| 9 | アイスランド | 82.32 |
| 10 | チェコ | 82.21 |
上位は北欧・西欧が占めている。フィンランド・スウェーデン・デンマークの北欧3か国がトップ3を独占する構図は近年続いている。
2026年版SDGs達成度ランキング 主要国・G7との比較
| 順位 | 国 | スコア |
| 5 | ドイツ | 84.02 |
| 7 | フランス | 83.43 |
| 8 | イギリス | 82.45 |
| 20 | 日本 | 81.02 |
| 26 | イタリア | 79.91 |
| 28 | カナダ | 79.07 |
| 45 | アメリカ | 75.34 |
G7のなかでは日本はドイツ・フランス・イギリスに次ぐ4番目で、イタリア・カナダ・アメリカを上回っている。ただし上位3か国とは大きな差があり、欧州先進国と比べた相対的な遅れが続いている。なお、隣国の韓国は34位(78.41)だった。
出所:Sustainable Development Report 2026|SDSN
なぜ日本の順位は後退し続けているのか
日本の順位は2017年の11位をピークに、ほぼ一貫して低下している。これは日本のスコアが大きく悪化したというよりも、欧州諸国の改善が進むなか、日本では一部目標の改善が限定的であったことなどから、相対的に順位が低下したと考えられる。
SDGs達成度ランキングは各国のスコアだけでなく、他国との相対評価によって順位が決まる。そのため、日本だけが大きく後退したというよりも、「他国の改善が日本を上回った」という側面が大きい。ただし、ジェンダー平等や気候変動、生物多様性など、一部目標で課題が残っていることも事実であり、次章で整理する。

出所:Sustainable Development Report 2026|SDSN
日本のSDGsの強みと課題を3つの視点で整理する

日本は17の目標すべてで一様に評価が低いわけではない。教育や健康などでは比較的高い評価を得ている一方、ジェンダー平等、気候変動、生物多様性、持続可能な生産・消費などの分野では課題が残っている。
日本のサステナビリティの特徴を、3つのグループに分けて整理した。
①教育・健康|日本の相対的な強み
健康と福祉(目標3)や質の高い教育(目標4)は、日本が比較的高い評価を得てきた分野だ。国民皆保険制度や高い就学率など、社会インフラの充実が背景にある。ただし近年は、これらの分野でも評価基準の厳格化により、かつてほどの優位性は失われつつある。
②環境・気候|継続的な課題
気候変動対策(目標13)、海の豊かさ(目標14)、陸の豊かさ(目標15)は、日本が継続的に課題を指摘されている分野だ。化石燃料への依存度の高さ、再生可能エネルギーの普及の遅れ、生物多様性の保全などが論点となっている。
③社会構造(ジェンダー等)|代表的な課題
ジェンダー平等(目標5)は、日本のSDGsにおける代表的な課題として指摘されてきた。国会議員や管理職の女性比率の低さ、男女間賃金格差などが国際的な評価に影響している。また、持続可能な生産・消費(目標12)についても改善の余地がある分野とされている。
中期経営計画に見る企業のESG課題認識
日本経済を構成する企業は、これら国の課題にどう向き合っているのだろうか。SDGsランキングで日本の課題だと指摘されている「気候変動(目標13)」「ジェンダー(目標5)」「つくる責任(目標12)」「海・陸の豊かさ(目標14・15)」の4分野に対応するキーワードを選び、CCReB GATEWAYのホットワード分析を用いて企業が中期経営計画で重点的に開示しているテーマを調査した。その結果、①気候変動関連の開示が最も進んでいる、②ジェンダー分野では定量開示が広がっている、③生物多様性は開示が限定的、という3つの特徴が確認できた*。

*:本調査は中期経営計画を対象として分析を行ったものである。ESGレポートやサステナビリティレポート等の記載内容は分析対象に含めていないため、企業のESG・サステナビリティに関する取り組み全般を網羅的に評価したものではない点に留意されたい。
中期経営計画における主要テーマの言及企業数(2025年・全市場・全業種)
| テーマ | 対応するSDGs目標 | 言及企業数 |
| 脱炭素 | 気候変動(目標13) | 209社 |
| カーボンニュートラル | 気候変動(目標13) | 202社 |
| 女性管理職比率 | ジェンダー(目標5) | 123社 |
| 女性活躍 | ジェンダー(目標5) | 89社 |
| 資源循環 | つくる責任(目標12) | 65社 |
| サーキュラーエコノミー | つくる責任(目標12) | 55社 |
| 生物多様性 | 海・陸(目標14・15) | 46社 |
| ネイチャーポジティブ | 海・陸(目標14・15) | 13社 |
出所:CCReB GATEWAYホットワード分析(中期経営計画、全市場・全業種、2025年)
①気候変動は企業の重点テーマ
「脱炭素(209社)」「カーボンニュートラル(202社)」は、今回集計したテーマのなかでも特に多くの企業が中期経営計画で言及していた。
日本では気候変動対策(目標13)が国レベルの課題として指摘されているが、企業側でも重要テーマとして位置付ける動きが広がっていることがうかがえる。
②ジェンダー開示は「理念」から「数値目標」へ
ジェンダー関連において、2025年の中期経営計画では「女性管理職比率」が123社、「女性活躍」が89社と女性管理職比率の方がより多くの企業で言及されていた。背景には、2023年3月期から女性管理職比率などの人的資本情報の開示が義務化されたことがあると考えられる。
実際に2022年の言及企業数と比較すると、「女性活躍」の言及企業数は81社から89社と大きく変化していない一方、「女性管理職比率」は61社から123社と約2倍に増加していた。
こうした変化から、企業の開示が、「女性活躍を推進する」といった理念を示す記載から、「女性管理職比率○%」といった数値目標を伴う開示へと変化していることがうかがえる。
「女性活躍」「女性管理職比率」の企業言及社数比較
| キーワード | 2022年 | 2025年 |
| 女性活躍 | 81社 | 89社 |
| 女性管理職比率 | 61社 | 123社 |
出所:CCReB GATEWAYホットワード分析(中期経営計画、全市場・全業種を対象に「女性活躍」「女性管理職比率」に言及している企業数を2022年と2025年で比較)
③生物多様性は開示が限定的
一方、「生物多様性」や「ネイチャーポジティブ」は、今回対象としたテーマのなかでは言及が比較的少なかった。
海洋・陸域の保全(目標14・15)は日本の課題として継続的に指摘されているものの、中期経営計画における開示は気候変動ほど進んでおらず、今後の開示拡充が注目される分野といえる。
企業はSDGs・ESG開示にどう向き合うべきか

SDGsへの取り組みは、すでに「社会貢献」ではなく「経営課題」になっている。取引条件・資金調達・投資家評価のいずれの面でも、サステナビリティへの対応が企業価値を左右する時代に入っている。
取引条件としてのSDGs
大企業がサプライチェーン全体にCO2削減や人権配慮を求める動きが広がっており、取引先である中小企業も無関係ではいられなくなっている。「SDGsに対応していない企業とは取引しない」という選別が現実化しつつある。
資金調達としてのSDGs
投資家は財務情報だけでなく、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を重視して投資先を選ぶようになっている。サステナビリティへの取り組みが見えない企業は、資金調達の面で不利になる可能性がある。
開示の実務への落とし込み
本記事のデータが示すように、企業のサステナビリティ開示には分野ごとの濃淡がある。自社の中期経営計画や有価証券報告書を見直す際には、気候変動だけでなく、生物多様性やジェンダーなど取り組みが手薄になりやすい分野にも目を向けることが、投資家との対話において有効と考えられる。
SDGs達成度ランキングに関してよくある質問(Q&A)
Q1.2026年のSDGs達成度ランキングで日本は何位ですか?
A.世界20位(スコア81.02)で、前年の19位から1つ後退した。
「Sustainable Development Report 2026」(SDSN、2026年6月発表)によると、日本の達成度は169か国中20位だった。2017年の11位をピークに、長期的に順位が低下している。
Q2.SDGs達成度ランキングは誰が作成していますか?
A.国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が作成している。
SDSNが2016年から毎年発表しているレポートで、各国のSDGs達成度を0〜100のスコアで総合評価し、ランキング化している。スコアが100に近いほど、17の目標すべての達成に近いことを意味する。
Q3.日本のSDGsの最大の課題は何ですか?
A.ジェンダー平等(目標5)が最大の課題とされ、気候変動・海洋・陸上の生態系も継続的な課題となっている。
国会議員や管理職の女性比率の低さ、男女間賃金格差などが国際的に厳しく評価されている。加えて、気候変動対策(目標13)、海の豊かさ(目標14)、陸の豊かさ(目標15)も課題として継続的に指摘されている。
Q4.前年から日本の順位は変わりましたか?
A.2025年版の19位から2026年版では20位へと、1つ後退した。
日本のスコア自体は80.7(2025年版)から81.02(2026年版)へと微増しているものの、欧州諸国がより速いペースで改善しているため、相対的な順位は下がっている。
Q5.企業はSDGsランキングをどう活用すべきですか?
A.国際的に評価が低い分野を、自社のサステナビリティ開示を見直す視点として活用できる。
CCReB GATEWAYのホットワード分析によると、企業の中期経営計画では気候変動(脱炭素)への取り組みが活発な一方、生物多様性への言及は限定的だった。国の課題と自社の取り組みを照らし合わせることで、開示が手薄な分野に気付くきっかけになる。
まとめ|評価の変化を自社の開示戦略に活かす
2026年のSDGs達成度ランキングで日本は20位と、前年からさらに後退した。北欧諸国が上位を独占するなか、日本は欧州先進国との差を縮められずにいる。日本の弱点は「環境・気候」と「ジェンダーをはじめとする社会構造」に集中している。
一方、上場企業の中期経営計画を見ると、気候変動(脱炭素)への取り組みは活発である一方、生物多様性への言及は限定的で、国の課題と企業の開示の間にはギャップが見られた。ジェンダー分野では、制度整備を契機に開示が定性から定量へと変化している様子もうかがえる。
国の評価と企業の開示を比較することで、自社が重点的に取り組むべきテーマや、開示が不足している分野を客観的に把握するヒントが得られるだろう。

監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立し、2024年11月に創業から5年で東証グロース市場に上場。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

