総研レポート・分析

国内上場企業が所有する賃貸不動産の動向に関する考察(2019~2021年)

 ククレブグループのシンクタンク部門であるククレブ総合研究所では、上場企業約4,000社のうち、一般事業会社で有価証券報告書に賃貸等不動産の項目を報告している会社(2020年955社・2021年920社 ※有価証券報告書の提出日ベース)について、各会社の会計年度で項目の数値を比較・分析した。この分析期間においてはコロナ禍によるオフィス賃貸需要の変化やリモートワークの浸透による働き方の変化に加え、サプライチェーンの見直しなど不動産市況に影響を与えうるニュースが続いた。
 本レポートでは、マクロ的観点で上場全社の全体感を有価証券報告書のデータを元に示しつつ、不動産の動きとして特徴的な個々の会社を抜粋してリスト化する。

コロナ禍において上場企業が保有する賃貸不動産はどう変化したか

 2020年対比で2021年に賃貸不動産の総額が増加したのは308社、減少したのは553社であった。賃貸不動産の減少の中には減損も含まれているものの、コロナ禍の影響を受けて資金確保のための賃貸等不動産の売却や、賃貸不動産の価値の下落が続いたものと推測される。

前年度比、賃貸不動産を20%以上減らした(売却・減損損失)上場企業の業種分布と企業ランキング

 賃貸不動産の総額が減少した企業について業種毎の動向を確認すると、不動産賃貸業を種業とする「不動産業」が最も社数が多いが、続いて特にコロナ禍の影響を受けたであろう「卸売業」「小売業」「サービス業」の社数が多かった。

 

賃貸不動産の時価が簿価を上回っている(含み益)上場企業(上位50社)

 賃貸不動産について含み益がある企業について、含み益率の大きい順に並べると以下の通りとなる。下記企業については、有事の際に賃貸等不動産を売却することで資金調達や益出しを行うCRE戦略を実行する余地があると考えられる。

賃貸不動産の時価が簿価を下回っている(含み損)上場企業(上位50社)

 一方で、賃貸等不動産について含み損のある企業は以下の通り。下記企業については資産の減損リスクが存在すると考えられることから、本業で利益が出るタイミングでの売却や資産のバリューアップ等のCRE施策の検討余地があると考えられる。

賃貸不動産の時価が、総資産に占める割合が高い上場企業(上位50社)

 最後に、総資産に対する賃貸等不動産の割合(時価ベース)が大きな会社を確認すると、不動産業が多くランクインするのは当然のことながら、それ以外の業種ではいわゆるキャッシュリッチや買収防衛策などで話題になった企業が散見される。