IT業界の現状と課題|最新動向と今後の展望、2026年の注目トレンドも解説
2026年のIT業界は、AI社会実装の本格化や、レガシーシステム刷新(「2025年の壁」への対応)、セキュリティ強化への投資など、市場拡大を続けています。一方で、慢性的なIT人材不足が深刻な課題となっています。
このような環境において、企業はどのような対応が求められるのでしょうか。
本記事では、IT業界の現状と見通しや課題、2026年の重要トレンド、そしてさらなる成長を遂げるためのポイントについて解説します。
IT業界の課題
2026年の重要トレンド
2026年IT企業がさらなる成長を遂げるポイント
※本記事では、IT業界に特化して最新動向を解説しています。全業界の動向は以下の記事をご参照ください。
IT業界の現状と見通し
IT業界の市場規模は近年増加傾向で推移しており、今後もクラウドと生成AI関連需要が成長を牽引すると見込まれています。
本章ではIT業界の現状と見通しについて、市場規模と需要動向をそれぞれデータで確認していきます。
IT業界(情報・通信分野)の市場規模
総務省によると、日本のIT業界(情報通信分野)の市場規模は、近年増加傾向で推移しています。

図表1:世界のICT市場規模(支出額)の推移及び予測
引用:令和7年版情報通信白書|総務省
IT投資額(情報化投資額)から見る海外需要
次に、IT投資額(情報化投資額)を見ていきます。
みずほ銀行のデータによると、グローバル市場のIT投資額は増加する見通しです。生成AIを始めとするテクノロジーへの対応を目的とした投資を背景に、ソフトウェア・クラウドサービスが市場を牽引します。
2025年は2.5兆ドル(前年比+7.0%)、2026年は2.7兆ドル(同+9.4%)と予測されています。2030年にかけては、年率+9.4%の成長が見込まれています。

図表2:グローバル市場の中期見通し
引用:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行
IT投資額(情報化投資額)から見る国内需要
次に、国内市場におけるIT投資額です。
国内需要も引き続き拡大する見通しです。
モダナイゼーション需要(老朽化した社内システムを最新システムへ刷新するニーズ)に伴うサービスが牽引し、2025年は22.1兆円(前年比+7.9%)、2026年は24.1兆円(同+8.6%)と予測されています。
2030年にかけては、年率+8.8%での成長が見込まれています。

図表3:国内市場の中期見通し
引用:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行
IT業界の課題・2026年の重要トレンド6選

2026年のIT業界(情報・通信サービス業)は、テクノロジーの進展やユーザーニーズの変化により、競争が激化しそうです。
本章では、IT業界で特に注目したい経営トレンドや課題を分析するため、当サイトの独自コンテンツ「ホットワード分析」機能を用いて、各社の中期経営計画で言及率が増加しているキーワードを抽出*。
IT業界(情報・通信サービス業)の各社が共通して取り組んでいる重要テーマを解説します。

*:情報・通信業企業の2025年中期経営計画書を対象に前年比企業数増減率にてキーワードを抽出
①DX投資・デジタル変革
世界的にDX化が加速していますが、日本企業ではその成果が「コスト削減」にとどまってしまっているケースが多く見られます。
IPA「DX動向2025」によると、DX先進国である米国・ドイツでは、売上や市場シェアの向上など企業価値そのものを高める「攻めのDX」で成果を上げているのに対し、日本企業はDXの目的が「コスト削減、業務効率化、生産性向上」にとどまり、結果として成果も遅れをとっていることが指摘されています。
同レポートによると、日本企業のDXの特徴(課題)として以下が挙げられています。
- 連携の弱さ:部門間連携や、外部組織との連携、ステークホルダーへの共有が弱く、サイロ化が進んでいる
- 部分最適指向:全社的な視点ではなく、個別の業務プロセスを改善する「部分最適」に留まる傾向がある(バリューアップのためのDXの取り組みが低い)
- 成果指標が無い:KPIなどの成果指標を設定している日本企業の割合はわずか27.4%(米国、ドイツはそれぞれ89.8%、82.7%)
DXは単なる効率化のための手段ではなく、企業が成長していくための「攻めのDX」として取り組むことが求められます。
DX投資、DXプロジェクト、DX市場、DXツール、データマネジメント、デジタルデータ、企業価値向上を目指す、企業価値向上を実現 など
参照:「DX動向2025」日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」へ|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
②生成AI活用
2026年、企業におけるAI活用は実証段階(PoC)から実利用段階へとシフトしています。 IT業界においても、開発現場を中心に生産性の向上が期待されています。
また、AIの進展により、情報サービス企業のサービス内容も高度なものへとシフトしていっています。IT企業は従来型サービスからの脱却と、成長するセキュリティ領域での新たなサービス提供が差別化要因となりそうです。
しかしながら、国内では高度IT人材が不足していることから、2026年は高度IT人材の獲得競争が激化する見込みです。IT人材の育成も急務となっています。
AIエージェントについては以下の記事で解説しています。
AI導入、自然言語処理、早期発見、パーソナライズ、高度な技術、専門技術、研修の充実、従業員教育など
③SaaS・クラウドの需要拡大
IT業界の需要をセグメント別に見てみると、クラウド、ソフトウェアが占める割合が拡大しています(図表2、3参照)。
これには、企業のシステム基盤がクラウドネイティブな構造に変化することや、セキュリティ関連需要によってSaaSの活用が進んでいることが影響していると考えられます。
これに伴い、ソフトウェアへ生成AI機能を実装するなど、顧客のLTVを高め、事業の高付加価値化、高収益化を目指す企業が増えています。
SaaSプロダクト、安定した収益、継続取引、ライフタイム(バリュー)、収益成長、高収益化、収益最大化、収益目標など
④セキュリティ・リスクマネジメント
近年は生成AIを利用したサイバー攻撃が増加し、攻撃方法も巧妙化しています。これにより、セキュリティ関連サービスの需要がグローバルで高まっています。
特に、国内においては2025年に前年比+18.6%と高い需要が確認されており、中期的にも年率+13.1%で成長する見通しです。技術トレンドとしては、偽情報対策・量子暗号などが挙げられます。
このような状況を受けて、情報サービス企業が運用業務の代行・支援を行うセキュリティマネージドサービスが伸びています。
安全確保、機密情報、サービス停止、不確定要因、世界情勢、ニーズ拡大 など
参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行
⑤産業DX
労働人口の減少や技術の進展などにより、多くの業界で生産性の向上が急務となっています。そのため、複数の産業領域でIT需要が増加しています。
例えば、製造業であればスマート工場や自動化ロボットの導入、物流業界であればIoT・エージェントAIによる効率化といった需要が挙げられます。金融・医療分野でのデータ活用やプロセス最適化も重要です。
製造現場、現場業務、物流DX、金融分野、医療施設、公共分野、自動車業界、CPS、社会システム など
⑥オープンイノベーション・連携強化
近年、日本のテック大手とスタートアップによるオープンイノベーションが増えています。
2024年には欧州最大級のテックイベント「ビバテクノロジー」に日本の大企業が初出展。富士通、日立製作所、三菱UFJフィナンシャル・グループ、東レ、TOPPANデジタル、三菱重工業の6社が、協業しているスタートアップと共に出展しました。
国内に限らず、グローバル協業も拡大の見通しです。
資本提携、提携強化、外部連携、スタートアップ企業、グローバル展開、海外販路 など
参照:日本の大企業・スタートアップ連携、欧州の展示会で披露|日本経済新聞
2026年のIT業界は人材確保とサービスの高付加価値化がポイントに

本記事では、IT業界の現状と見通しや課題、2026年の重要トレンドを解説しました。
2026年、IT(通信・情報サービス)業界の市場環境は好調です。企業がさらなる成長を遂げるポイントは、次の3つが挙げられます。
ビジネスモデルの変革
情報サービス企業においては、短期的には「2025年の崖」と呼ばれるモダナイゼーション需要(老朽化したレガシーシステムの刷新)が引き続き継続するでしょう。一方で、受託・人月型ビジネスには成長性と収益性の面で限界があります。
そのため、中長期的にはオファリング型ビジネス*への転換やソフトウェアへの進出といったビジネスモデルへの変革が必要です。
ビジネスモデル変革に向けたIT投資の方向性として、経済産業省「DXレポート 2.2」では「効率化中心のデジタル投資」から、収益向上・新規事業創出につながる「攻めのDX」へ転換すべきと示しています。
同レポートでは、企業に向けた具体的なアクションとして次の3点を提示しています。
- デジタルを省力化・効率化ではなく、収益向上に活用
- DX推進にあたり、経営者はビジョンや戦略だけではなく「行動指針」を示す
- 個社単独でのDXは困難であるため、経営者自らの「価値観」を外部へ発信し、同じ価値観をもつ同志を集めて、互いに変革を推進する新たな関係を構築する
*オファリング型ビジネス:特定の顧客課題を解決するために自社の製品やサービスといったアセットをパッケージ化し、提供するビジネスモデル
専門分野の人材獲得
日本のIT業界の人材不足は深刻化しており、特にAI、ビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティといった専門分野の人材不足が課題です。
これは既出の通り少子高齢化による生産年齢人口の減少と、AI・DX推進による急激な需要拡大によるもので、経済産業省のデータでは、2030年には最大約79万人が不足すると予測されています。
特にAI、ビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティといった先端技術を扱う高度IT人材が不足しており、2026年は高度IT人材の獲得競争が激化することが予想されます。
企業には採用強化、外部人材の活用、社内教育、業務自動化といった対応が引き続き求められるでしょう。
「DX人材」については以下の記事で解説しています。
セキュリティ需要への対応
近年、生成AIを利用したサイバー攻撃が増加しています。これにより、セキュリティ対策需要が高まっています。先述の通り、2025年は国内需要が前年比+18.6%、中期的にも年率+13.1%で成長する見通しです。
求められるセキュリティ対策も複雑かつ広範囲に渡ることから、セキュリティサービスの差別化競争が激化することが予想されます。
※本記事では、IT業界に特化して最新動向を解説しました。全業界の動向や、他業界の動向は以下の記事をご参照ください。
※物流業界については、以下の記事をご覧ください。
※製造業については、以下の記事をご覧ください。

監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立し、2024年11月に創業から5年で東証グロース市場に上場。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。


