2026年、ビジネス環境はどう変わる?業界別・最新動向と重要キーワードを解説
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2026年、ビジネス環境はどう変わる?業界別・最新動向と重要キーワードを解説

国際情勢の不安定化や資源制約に伴うサプライチェーンの再編、深刻化する労働力不足、AIなどデジタル技術の急速な進化──。2026年、日本経済は大きな局面を迎えています。激動の環境下において、企業はどのような成長戦略を描くべきでしょうか。

本記事では、ビジネスリーダーが理解しておきたい2026年全体の景況感と重要課題、業界別の最新動向と見通しをわかりやすく解説します。

また、本記事では当サイトのコンテンツ「ホットワード分析」機能を用いて、上場企業各社が発行する中期経営計画で言及率が増えている2026年の重要キーワードをピックアップ。企業が高付加価値を創造するためのポイントを紐解きます。

この記事でわかること
  • 2026年全体の景況感
  • 2026年の重要課題
  • 業界別最新動向
  • 2026年のビジネストレンドキーワード
  • 企業が高付加価値を創造するための3つのポイント

 

2026年の景況は、AI需要により堅調を維持

日本産業の景況感は、全体としては堅調を維持しています。米国の関税政策による影響を受けつつも、世界的なAI関連需要などが景況感を支えています。

2025年12月発表の日銀短観によれば、大企業・製造業の業況判断DI(現場の景況感を示す指標)は15%ポイントでした。3四半期連続のプラス成長です。非製造業も前回から変わらず、34%ポイントと高水準を維持しています。

大企業
2025年9月調査 2025年12月調査
最近 先行き 最近 先行き
製造業 14 12 15 15
非製造業 34 28 34 28

(%ポイント)

表:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」を基に筆者作成
参照:全国企業短期経済観測調査|日本銀行

2026年の重要課題:「供給力の確保」と「企業価値経営」が最大のポイントに

2026年の重要課題
しかしながら、深刻な課題も抱えています。2026年は、国際情勢の不安定化による経済のブロック化、人手不足に伴う供給制約、デジタル化・AIの進展による産業構造の変化などが予想されます。

日銀短観によれば、雇用の過不足感を示す「雇用人員判断DI」は全産業で▲38%ポイントと人手不足感が高まっています(前回は▲36%ポイント)。3ヶ月後の見通しは▲41%ポイントと、さらに不足感が強まる見通しです。

また、日本は低金利時代が終わり、「金利のある世界」へ移行しています。企業にとっては「資本コストを上回る付加価値を創出できているか?」という、投資の効率性が厳しく問われる時代となりました。東京証券取引所の要請もあり、企業には「資本コストや株価を意識した経営」が強く求められています。

上記の背景から、日本企業は、不確実性が増す中においてもチャンスを見出し、「供給力の確保」と「企業価値経営」を実践できるかが重要なポイントとなりそうです。

参照:全国企業短期経済観測調査|日本銀行
参照:2025年の回顧と2026年の展望|三井住友銀行

2026年のビジネストレンドキーワード

上記のような環境下において、各社はどのような施策に取り組んでいるのでしょうか。
本章では、当サイトのコンテンツ「ホットワード分析」機能を用いて、企業の中期経営計画において言及頻度が増加しているキーワードを抽出。企業の意思決定にどのようなテーマが浮上しているのか、いくつかの共通したトレンドが見えてきました。

2026年のビジネストレンドキーワード

※当サイトのコンテンツ「ホットワード分析」機能を用いて、全ての市場・業種の2025年中期経営計画書を対象に前年比企業数増減率にてキーワードを抽出

企業は不確実性の高い外部環境を前提としながらも、成長機会の創出とリスク耐性の強化を同時に進めようとしている様子がうかがえます。

  • エージェント型AIと現場の自動化
  • 資本コスト時代における事業ポートフォリオ改革
  • 「戦略的協業」による供給網の安定確保

の3軸で詳しく読み解いていきましょう。

①エージェント型AIの活用と現場の自動化

2026年のビジネストレンドキーワード_エージェント型AIの活用と現場の自動化

深刻な人手不足に対し、企業はAIエージェントの活用を積極化しています。

特に、製造、物流、医療、インフラなど、労働力不足がボトルネックとなってきた領域ほど、現場での自動化やAIの活用による構造転換が図られています。

上昇キーワード

AI向け、AI解析、DXビジョン、DX認定取得、遠隔医療、トラックドライバー、AI連携 など

エージェントAI」については以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

AIエージェントとは?生成AIとの違いや特徴、活用事例をわかりやすく解説

②資本コスト時代における事業ポートフォリオ改革

2026年のビジネストレンドキーワード_資本コスト時代における事業ポートフォリオ改革

先述の通り、日本は「金利のある世界」へ移行しており、資本コストを意識した企業価値経営が強く求められています。

その結果、資本効率(ROIC)を軸にした大胆な事業ポートフォリオの見直し(選択と集中)や、M&Aを通じた事業構成の再設計を促しています。

上昇キーワード

M&Aの加速、M&A仲介、非継続事業、赤字事業、改革実行、強化ROIC、株主還元を両立、M&A実績 など

ROICについては以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

ROICとは?メリットやROE・ROA・WACCとの違い、ROIC経営推進企業の成功事例も紹介

③「戦略的協業」による供給網の安定確保

2026年のビジネストレンドキーワード_戦略的協業による供給網の安定確保

地政学リスク、原材料・エネルギー価格の変動、技術・部材の特定国依存、重要技術の囲い込みといった環境変化を背景に、「安定供給」そのものが企業の競争力を左右する要素となりつつあります。

しかしながら、自社単独の努力でサプライチェーンを強靭化するには限界があります。そのため、素材メーカーやインフラ企業が領域を越えて手を結ぶ「戦略的協業」が生まれています。

特に、脱炭素とエネルギー確保の両立や、重要技術の国内保持といった、国の競争力や経済安全保障に直結する分野では、産業の枠を超えた連携が不可欠となっています。

上昇キーワード

戦略的協業、政策動向、サステナビリティ評価、再生可能エネルギー開発、重要技術、電力販売 など

サプライチェーン最適化」については、以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。

サプライチェーン最適化とは?具体的な方法や企業事例をわかりやすく解説

上記の分析に使用した「ホットワード分析」は、会員登録(無料)をするだけでご利用いただけます。ぜひご活用ください。

 

【2026年業界別】最新動向と見通し

2026年の業界動向
この章では、2026年以降の最新動向と見通しを以下の業界別に詳しく解説します。

  • 製造業
  • IT・エレクトロニクス
  • エネルギー・インフラ
  • 生活・社会インフラ
  • ヘルスケア

製造業

2026〜2030年の日本の製造業は、成長が期待される分野と構造的な転換が求められる分野とに分かれています。

人口減少に伴う内需の縮小や人手不足は、製造業全体に共通する中長期的な制約条件です。特に素材系や伝統的な製造業では、国内需要の伸び悩みや国際競争の激化を背景に、供給体制の適正化や事業構造の見直しが重要な課題となっています。このような状況においては、高付加価値化やデジタル技術の活用による競争力強化が求められます。

各セクターにおいては、需給動向や成長ポテンシャルに差が見られます。素材系産業では内需縮小圧力と海外競争の激化への対応が不可欠と言えるでしょう。自動車産業においては、人口減少や現地生産シフトといった構造変化を踏まえつつ、EV・CASE対応を含む構造改革が中長期的な競争力に直結すると考えられます。

参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行

IT・エレクトロニクス

IT・エレクトロニクス分野は、デジタル化やAI活用の進展を背景に、製造業の中でも相対的に高い成長が期待される分野です。

企業や政府によるデジタル投資、データセンター整備、AI基盤構築の需要拡大が、半導体や電子部品を中心とした市場を下支えすると見られています。特に高性能化・高付加価値化へのニーズは強く、日本企業にとって技術力を生かした競争機会となります。

一方、半導体市況の変動や国際競争の激化、市場の変動性が高い点には注意が必要です。このため、顧客ニーズを起点とした製品開発、研究開発投資の強化、柔軟なサプライチェーン構築といった対応力が、差別化要因になると考えられます。

参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行

エネルギー・インフラ

エネルギー産業は、国内需要の構造変化や脱炭素化が大きなテーマとなります。

既存の化石燃料に依存した供給構造は、燃料効率の改善や省エネの進展によって需要が縮小傾向にあります。一方、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーへの転換は中期的な成長機会として認識されています。つまり、安定したエネルギー供給を確保しつつ、カーボンニュートラルを実現できる事業モデルへのシフトが求められています。

しかしながら、安定供給の確保やコスト面での課題も残っており、移行は段階的に進むと考えられます。

電力・ガスなどの社会インフラ分野では、人口減少や労働力不足が需要構造に圧力を与える一方、社会インフラの維持・更新という長期的なニーズは依然として高い水準にあります。

これらの環境下では、既存インフラの効率化やデジタル技術の活用、再生可能エネルギー導入促進といった戦略が重要とされ、脱炭素と安定供給の両立に向けた取り組みが今後の競争力強化の鍵となります。

参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行

生活・社会インフラ

生活・社会インフラ分野は、人口減少に伴う内需縮小や人手不足の深刻化により、供給制約やコスト上昇が懸念されています。

特に建設、物流、運輸、保守管理といったインフラ維持・提供を担う分野では、人手不足が深刻化しており、これに伴うサービス提供体制の制約やコスト上昇が中期的な課題となります。また、住宅・不動産関連や小売・流通も人口減少に伴う市場縮小の影響を受ける可能性があります。

こうした中、デジタル化や自動化、業務効率化の推進、関係事業者との連携強化が、供給体制の維持・改善において重要な戦略となります。

一方、インフラの老朽化対応や防災・レジリエンス強化といった社会的ニーズは引き続き存在し、公共投資やスマートインフラの導入など、新たな需要創出の機会も存在します。

参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行

ヘルスケア

人口の高齢化や医療の高度化といった構造的要因を背景に、需要自体は堅調に推移すると見込まれています。特に高齢者向けの医療、介護支援、在宅医療、リハビリ、生活支援サービスなどは、社会的ニーズが継続すると考えられています。

一方、生産年齢人口の減少による労働供給制約や医療・介護従事者の不足は、サービス提供体制やコスト構造に影響を及ぼす重要な課題です。制度変更や財政制約の影響を受けやすい点にも注意が必要です。

こうした状況に対応するため、デジタル技術・AIの活用、遠隔医療、介護ロボティクス、オペレーション効率化といった取り組みが重要になります。

また、高齢化は医療・介護需要の拡大にとどまらず、予防医療や健康増進、生活支援サービスなど新たな需要領域を生み出す側面もあります。ヘルスケア企業においては、従来のサービス提供に限らず、データ活用や顧客志向のサービス設計による付加価値を高める取り組みが、が中長期的な競争力に影響すると考えられます。

参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行

まとめ:2026年、企業が高付加価値を創造するための3つのポイント

企業価値創造3つのポイント
本記事では、2026年全体の景況感と重要課題、業界別の最新動向、そして注目のビジネストレンドキーワードを解説しました。

不確実な情勢の中、高付加価値な産業構造へ転換するためには、以下の3点がポイントとなりそうです。

  • 供給体制の強靭化
  • ビジネス領域の拡張と共創
  • デジタルによる「価値の最大化」

 

供給体制の強靭化

国際情勢の不安定化、人材不足の深刻化、資源の制約が進む中、持続可能な形でサプライチェーンを再構築することが求められます。

具体的には、地政学リスクの高まりや各国の産業保護政策を考慮し、海外依存を見直し、調達先を分散したり、国内回帰を検討したりする必要があります。

また、人材確保のための施策(外国人労働者や待遇改善など)や、省人化のための自動化(ロボットやAI導入)も重要です。特に製造業・エネルギー関連産業では原材料が不安定になる中、長期契約や代替素材の開発、リサイクル活用などによる安定確保も重要です。

ビジネス領域の拡張と共創

高付加価値を生むためには、「プロダクト単位の事業モデル」から「顧客価値を起点としたバリューチェーン型の事業モデル」への転換が求められます。

また、物流や基盤システムなど、自社のみでは解決できない課題に対し他社と協力したり、異業種と連携して新しいサービスを生んだりといった「戦略的提携」も重要です。

脱炭素や資源循環への対応も、単なる規制対応にとどまらず、新たな顧客価値や収益を生み出す機会となります。

デジタルによる「価値の最大化」

デジタル技術を「効率化の手段」だけで終わらせずに、付加価値や新規需要を創出する視点が求められます。

例えば、不動産業であればIoT技術を活用したスマートホームの提供、ヘルスケア業であればウェアラブル端末や遠隔診療の導入などが挙げられます。

 

本記事では産業全体の動向について解説しましたが、以下の記事では業界別に深掘りしています。合わせてぜひご覧ください。
⚫︎物流業界
https://ccreb-gateway.jp/reports/industry-trends-2026-logistics/

参照:全国企業短期経済観測調査|日本銀行
参照:日本産業の中期見通し ー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行

 

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監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立し、2024年11月に創業から5年で東証グロース市場に上場。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

 

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