ファシリティマネジメント(FM)の目的や取り入れる効果とは?仕事に活かせる本・資格も合わせて紹介!
ファシリティマネジメントとは、企業が組織活動のために施設や環境を総合的に管理・活用する経営活動のことです。
ファシリティマネジメントを導入し施設の最適化を図ることによって、長期的な投資コストの削減が期待できます。
本記事では、ファシリティマネジメントの基礎知識や取り入れるメリットなどを紹介しています。
今後ファシリティマネジメントの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ファシリティマネジメントとは?基本情報を分かりやすく解説!
ファシリティマネジメントの導入を検討している方の中には、そもそもファシリティマネジメントとはどのようなものなのか、基礎的な知識から知りたいという方も多いのではないでしょうか。
以下で、ファシリティマネジメントの目的や効果、業務内容について紹介します。
企業がファシリティマネジメントを取り入れる効果
ファシリティマネジメントを導入することによって、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的な導入効果としては、以下の4点が挙げられます。
- 固定資産の価値を最大限に活かせる
- 投資コストを削減できる
- 環境に貢献できる企業を目指せる
- 生産性と利用者の満足度の最大化
それぞれの内容について、以下で確認していきましょう。
固定資産の価値を最大限に活かせる
ファシリティマネジメントを導入することで、施設や環境を最大限に活かせるような取り組みの実施につながります。
取り組みの中で施設の過不足や使われ方の問題点を洗い出すことによって、施設の価値を高めることが可能です。
そのため、ファシリティマネジメントの導入によって、会社が所有する固定資産の価値を最大限に活かせるようになると考えられます。
投資コストを削減できる
ファシリティマネジメントを行い、最新の設備や機器、システムを導入することによって業務の効率化を図ることができます。
導入段階では初期費用がかかりますが、その後は業務に関わる人員を減らすことができるため、人件費の削減が可能です。
また、従業員数が減ることによって、スペースが広く使用できるようになります。
長期的に見ると、ファシリティマネジメントの導入は会社全体の利益増加につながります。
環境に貢献できる企業を目指せる
最新設備の導入や設備の見直しを行うことによって、社会や環境に良い影響を与えることが可能です。
環境性能の高い設備を使用することで、会社全体を通して省エネ・環境配慮につながります。
ファシリティマネジメントの導入によって、環境に配慮した企業を目指すことができます。
生産性と利用者の満足度の最大化
ファシリティマネジメントの導入によって施設の快適性を向上させることができ、結果として社員の満足度が高まります。
最新の設備が揃った綺麗なオフィスを整備することで、社員のやる気向上につながり、生産性も高まることが期待できます。
従業員の労働環境を改善することによって、生産性の最大化にもつなげることが可能です。
ファシリティマネジメント(FM)とプロパティマネジメント(PM)との違いは?
ファシリティマネジメントと似た意味の言葉に、プロパティマネジメント(PM)があります。
プロパティマネジメントは、不動産オーナーから任された不動産の物件管理全般を行うことを示します。
プロパティマネジメントの具体例としては、入居時の契約者の手続きや家賃の集金、クレーム対応などの不動産管理が挙げられます。
ファシリティマネジメントも広義では不動産物件の管理手法となりますが、特にビルやマンションなどの施設・設備に関わる管理を行うことを指すとされています。
ファシリティマネージャーの業務
ファシリティマネージャーは、企業や組織が所有する施設や設備の管理・運営を担う職種です。
ファシリティマネージャーが担当する業務には、施設・設備を有効に使い、収益をアップするための企画提案も含まれます。
ファシリティマネジメントの取り組み方・実践方法
ファシリティマネジメントの導入を検討する際に、どのような手順で取り組めばよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
以下で、ファシリティマネジメントの一般的な取り組み方を紹介します。
今後ファシリティマネジメントの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
会社の現状を考えてファシリティマネジメントについての計画を立てる
ファシリティマネジメントを行う際には、無理なく事業を拡大するために、会社の予算や経営状態を踏まえて今後の計画を立てる必要があります。
会社の現状を踏まえたうえで、利益を拡大することができるような計画を練りましょう。
実際にプロジェクト管理を行う
計画決定後には、実際にプロジェクトの管理を行います。
管理をする中で、トラブルに見舞われることや思い通りにいかないことも多々あると思います。
課題や問題点が発生した際には、その都度プロジェクトの見直しを行い、計画の修正が必要になります。
評価をもとに改善を行う
プロジェクト実施後には、取り組み内容を評価します。
プロジェクトの良い点と悪い点をそれぞれ確認し、良くない部分に関しては改善を行います。
また、評価方法にアンケートなどを用いることによって、社員の意見も取り入れることが可能です。
計画・実施・評価・改善を繰り返すことによってより良いマネジメント管理を行うことができます。
ファシリティマネジメントを取り入れる企業の事例を紹介!
ファシリティマネジメントを効率的に行うために、他社の事例を参考にすることをおすすめします。
他社の良い部分を積極的に取り入れることによって、より効率的なマネジメントが可能になります。
ファシリティマネジメントの効果的な導入例として、以下の2社の取り組みを紹介します。
- 株式会社スクウェア・エニックス
- GMOインターネットグループ株式会社
ファシリティマネジメントの計画を立てる際に、参考にしてみてください。
事例①:株式会社スクウェア・エニックス
スクウェア・エニックスでは、コミュニケーションを活性化させるための取り組みが行われています。
具体例としては、人の行動心理を考えた机のレイアウトや社員食堂のコミュニケーションスペース化などが挙げられます。
コミュニケーションの場を作ることによって、社員が明るくなり笑顔も多くなったようです。
ファシリティマネジメントを行い、社員のコミュニケーション向上を図ることによって、働きやすい環境を作ることが可能です。
事例②:GMOインターネットグループ株式会社
GMOインターネットグループでは、施設内にキッズルームやマッサージスペース、おひるねスペースの設置を行いました。
福利厚生に力を入れることによって、社員の業務へのモチベーションアップにつなげています。
ファシリティマネジメントを行い、社員のモチベーションを向上させることによって業績の向上も期待できます。
ファシリティマネジメントに活かせる資格
ファシリティマネジメントを行うために必ずしも必要となる資格はありません。
しかし、ファシリティマネジメントに関する資格を取得しておくことによって、円滑なマネジメントを行うことが可能です。
以下で、ファシリティマネジメントを行ううえで特に役立つ資格を紹介します。
認定ファシリティマネジャー
認定ファシリティマネージャーの資格は、ファシリティマネジメント資格試験に合格し、資格登録を行うことで取得が可能です。
認定ファシリティマネージャーは、ファシリティマネジメントに関する専門知識やスキルを証明することができる資格となっています。
資格取得までの過程で、企業のあらゆる施設・設備の効率的な管理法を身につけることができます。
取得することによってファシリティマネジメントの適性が認められるため、スキルアップやキャリアアップを目指している方にはおすすめの資格です。
ただし、資格登録のためには学歴に応じた実務経験が必要となるため、注意が必要です。
ファシリティマネジメントを学ぶおすすめの本・書籍3選
これからファシリティマネジメントについて学ぶ方には、本を読んで知識を深めることをおすすめします。
ファシリティマネジメントが学べるおすすめの本は、以下の3冊です。
- 公式ガイドファシリティマネジメント
- SDGsで変わるファシリティマネジメント – JFMA SDGsタスクフォースレポート2021
- ファシリティマネジメント資格試験問題集
それぞれの本の内容を確認していきましょう。
公式ガイドファシリティマネジメント
『公式ガイドファシリティマネジメント』は認定ファシリティマネージャー資格試験の参考書となります。
今後、認定ファシリティマネージャーの取得を検討している方におすすめの1冊です。
この本を参考にして認定ファシリティマネージャーの資格を取得し、事業拡大のサポートに役立ててください。
SDGsで変わるファシリティマネジメント – JFMA SDGsタスクフォースレポート2021
近年、持続可能な社会の実現のためにSDGsを導入する企業が増えています。
環境に配慮した取り組みのためには、ファシリティマネジメントを行うことが必要不可欠です。
『SDGsで変わるファシリティマネジメント – JFMA SDGsタスクフォースレポート2021』には、ファシリティの現状と未来や独自のワークショップ報告について記されています。
ファシリティマネジメントを通じた環境経営への取り組みに関心がある方に、おすすめの1冊です。
ファシリティマネジメント資格試験問題集
『ファシリティマネジメント資格試験問題集』も、認定ファシリティマネージャーを目指す方向けの参考書となります。
資格取得のためには試験対策が重要です。特に、試験の大まかな内容を把握するためにも過去問題への取り組みは必要不可欠です。
過去の試験で出題された問題が掲載されているため、資格試験対策を考えている方におすすめの1冊となります。
ファシリティマネジメントに関するQ&A
ここまでファシリティマネジメントを取り入れる目的やメリットなどについて解説してきました。
最後に、ファシリティマネジメントに関してよくいただく質問をまとめました。
Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ファシリティマネジャーの平均年収は?
ファシリティマネージャーの平均年収は、600〜700万円程度です。
一般的なサラリーマンの平均年収と比較すると、かなり高い水準の年収であるといえます。
日本でファシリティマネジメントを導入する企業は大企業であることが多いため、自然とファシリティマネージャーの平均年収は高く設定されます。
ファシリティマネージャーは、50代以上になると年収が1000万円を超えることもあるため、安定した生活が期待できるでしょう。
ファシリティマネジメントの学びに研修やフォーラムへの参加は必要?
ファシリティマネージャーになるための研修やフォーラムへの参加は、必須ではありません。
しかし、研修やフォーラムに参加することによって多くの知識を学ぶことができるため、参加して損はありません。
より円滑にファシリティマネジメントを行いたい場合は、多くの知識をつけるために研修やフォーラムへの参加もおすすめです。
ファシリティマネージャーの求人は多い?転職に有利になる?
ファシリティマネジメントは大手企業でも導入され始めたばかりの業務であるため、現時点での求人は少ないです。
しかし、日本がこれから急激な経済成長を遂げる可能性は低いため、今後は今ある施設を有効活用することが重要になります。
そのため、ファシリティマネジャーは、これからの時代に必要な仕事となることが期待できます。
ファシリティマネジャーは実務経験が重要
ファシリティマネジメントに関してネットや本で知識を深めることも重要ですが、なによりも実務経験が大切です。
ネットや本で知識を深める際には、常に「ファシリティマネジメントにどのように活かせるのか」を考えることを心掛けましょう。そして、得た知識を実際に現場でアウトプットすることによって、生きた知識として身につけることができます。
業務の中でトラブルに見舞われることも多々あるかと思いますが、さまざまな経験を積むことによって、冷静に対処することが可能となります。
実務経験を数多く積むことによって経験を生かしたファシリティマネジメントを行い、会社の事業拡大に貢献しましょう。
監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。
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