総研レポート・分析

2021年1月~6月企業経営戦略の策定動向に関する考察

コロナ禍で不透明であった経営戦略策定にも一定の目途

 CCReB AIのAIエンジンを活用し、2020年と2021年の同期間(1月1日~6月30日)における企業の中期経営計画の公表数等について、以下の分析を行った。

中期経営計画の公表社数は、前年比251%増 コロナ禍の継続を見据えた経営戦略の策定へ

~前年度社数237社から594社へ~
~コロナ禍の影響を大きく受けた「サービス業」が公表社数全業種首位に~

 日本でコロナ感染症の兆候が現れ始めた2020年2月以降、先行きの不透明感と実際の事業活動への影響の見極めが判断できない企業では、予定していた中期経営計画(以下「中計」)の公表を見送る動きなどが見られた。CCReBの集計では、2020年1月~6月における中計の公表社数は237社であり、コロナ以前は通常年間400社程度の公表が見られたことに比べると、コロナ禍の影響が企業の経営戦略策定に大きな影を落としたことは紛れもない事実と言える。

 ただし、中計の公表見送りには、コロナ禍のマイナスの影響のみならず、コロナ禍の影響により社会そのものの仕組みが変化してしまい、テレワークや、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の推進、脱炭素社会実現に向けた世界的な流れなど、これまでの経営環境とは大きく異なる波が押し寄せたことにより、その対応を求められたことも一因と言える。

 このような状況下、全世界的にワクチン接種が進み、徐々にアフターコロナの世界が意識されてきている中で、2021年に入って中計を公表した社数は、6月30日までで594社と、前年の反動もありますが、コロナ禍の影響による様子見ムードから、新たな経営環境下における経営戦略の実行が意識され始めてきたと言える。
 業種別で見る中計の公表数で見ると、2020年では、「卸売業」「建設業」「銀行業」と続いておりましたが、2021年については、「サービス業」「情報・通信業」「卸売業」となり、その他前年では公表を控えていた業種で開示の動きが見られる。特に「サービス業」は前年はコロナ禍の影響を大きく受けた業種でしたが、アフターコロナを見据えた新経営計画を策定し立て直しに向け始動する企業も見られる。

 なお、具体的に前年度に中計の公表の見送りを適時開示にて公表した企業50社のうち、今年の6月までに中計を公表した社数は17社となり、およそ7割程度の企業が依然として中計の公表を行えていない状況である。

※ククレブ総合研究所調べ
※東証33業種による分類

※ククレブ総合研究所調べ
※東証33業種による分類

 


 

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