日銀短観とは|最新の発表日はいつ?公表予定日や業況判断DIの見方、調査項目をプロが解説【2022年最新版】
日銀短観とは、日本銀行が4半期に1度発表する「全国企業短期経済観測調査」のことです。
「全国企業短期経済観測調査」は、全国約1万社の企業を対象としたアンケート調査をもとに、短期的な日本の経済動向を表しています。
本記事では、日銀短観の公表予定日や調査項目、経済状況を判断するための見方について解説します。
日銀短観は日本の重要な経済指数の1つです。
日銀短観の見方を理解することで日本経済の現在の動向を正確に把握し、自社の事業戦略に活かしてください。
日銀短観とは
日銀短観とは、日本銀行が抽出した民間企業を対象に行う経済観測調査を指します。正式名称を「全国企業短期経済観測調査」と呼びます。
日本銀行は、全国の経済動向を適切に把握するために統計法に基づいて調査を行なっています。
日本銀行は全国の民間企業1万社を対象にアンケートを行うことで、日本経済の動向を「日銀短観」として年4回に分けて発表します。
日銀短観の目的
日銀短観の目的は、政府や企業が日本経済の動向を把握することで、政治や事業に関する適切な対策を取れるように情報提供することです。
現代は、経済の流れが早く、市場は刻一刻と変化しています。
日銀短観では1年に4度経済の動向が発表されるため、企業は変化の早い経済の現状を把握することが可能です。
経済指数の中で日銀短観の注目度が高い理由
日銀短観が経済指数の中で注目を集める理由は、速報性の高さです。
日本には経済指数を発表する機関が複数ありますが、多くの機関は1年に1度の発表のみです。
そのため、他の機関が発表する経済指数を利用する場合、発表日から時間が経つにつれて古いデータを利用することになります。
一方で日銀短観は約3ヶ月ごとに経済指数が発表されるため、変化の早い経済の現状を把握するのに適しています。
日銀短観の調査項目
日銀短観は以下の4つの調査項目をもとに経済の動向を分析しています。
- 判断項目
- 年度計画
- 四半期項目
- 新卒者採用状況
4つの調査項目の中で、新卒者採用状況に関しては6月と12月の年に2度の調査のみ実施されています。
「判断項目」「年度計画」「四半期項目」「新卒者採用状況」の調査項目では、それぞれ以下の内容について調査を行なっています。
判断項目の調査内容
判断項目では、以下の10項目について調査を行います。
- 業況
- 国内での製商品・サービス需給
- 海外での製商品需給
- 製商品在庫水準
- 製商品の流通在庫水準
- 生産・営業用設備
- 雇用人員
- 資金繰り
- 金融機関の貸出態度
- CPの発行環境
判断項目では、各企業が自社の商品・サービス、経営状況について直近の状況をどう見ているかについて調査しています。
年度計画の調査内容
年度計画では、以下の14項目について調査を行います。
- 売上高
- 輸出
- 輸出に際しての為替レート
- 材料費
- 人件費
- 減価償却費
- 営業利益
- 金融収益
- 金融費用
- 経常利益
- 当期純利益
- 設備投資額
- 土地投資額
- ソフトウェア投資額
年度計画では、各企業の売上、費用、利益の実績計数・予測計数について調査しています。
四半期項目の調査内容
四半期項目では、以下の10項目について調査を行います。
- 負債計
- 金融機関借入金
- CP
- 社債
- 資産計
- 現金・預金
- 短期保有有価証券
- 投資有価証券
- 雇用者数
- パート
四半期項目では、各企業の前四半期末の実績を調査しています。
新卒者採用状況の調査内容
新卒者採用状況では、以下の項目について実績計数や予測計数を調査しています。
- 新卒採用者数
新卒者採用状況では、各企業の新卒者採用における実績計数・予測計数について調査しています。
日銀短観の調査方法
日銀短観の調査方法は、以下の手順で行われます。
1. 日本銀行が定める基準をもとに調査対象の企業を抽出
2. 調査対象の企業に対して調査票を郵送
3. 各企業が調査票に回答
なお、対象の企業に対する調査を行うにあたって、オンライン調査も導入されています。
調査対象となった企業からの回答をもとに、日本銀行による日本経済の動向分析が行われます。
日銀短観の調査日と公表時期
日銀短観では1年に4度、日本の経済指数を公表しています。
日銀短観は、日本銀行により抽出された企業に対して毎年3月・6月・9月・12月に調査が行われます。
その調査にもとづき、それぞれ4月初旬・7月初旬・10月初旬・12月中旬に調査結果を公表しています。
なお、4月初旬・7月初旬・10月初旬・12月中旬に公表される調査結果は、それぞれ午前8時50分に発表されます。
出典:日本銀行「「短観(全国企業短期経済観測調査)」の解説」
日銀短観の見方
日銀短観を利用し、日本経済の動向を適切に読み取るためには、「業況判断DI」を参考にすることがおすすめです。
DIとは、「Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)」の略称であり、企業の経営状態や経済の動向などの変化の方向性を示す指標です。
日銀短観は価格・雇用人員・資金繰り等の調査を行いますが、「業況判断DI」を見ることで経済の動向を簡単に読み取ることができます。以下で「業況判断DI」について解説します。
業況判断DIとは
業況判断DIとは、景気状況を判断する指標です。
日本銀行は今後3ヶ月の見通しとして、会社の収益を中心とした経営状況全般において「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つの選択肢から企業に回答を求めます。
企業の回答のうち「良い」と答えた割合から「悪い」と答えた割合を引くことで、業況判断DIを求めることができます。
例えば、企業の回答のうち「良い」と答えた企業が40%、「さほど良くない」と答えた企業が20%、「悪い」と答えた企業が30%である場合、40%(良い)−30%(悪い)=10%ポイントとなります。
業況判断DIの割合がプラスであれば「景気が良い」、マイナスであれば「景気が悪い」と判断することができます。
また、3ヶ月前の業況判断DIの数値と現在の数値を比較することで、経済が「良くなっているか」「悪くなっているか」を判断することができます。
日銀短観に関するQ&A
ここまで日銀短観の公表予定日や経済の状況を判断するための日銀短観の見方、調査項目について網羅的に紹介しました。
最後に、日銀短観に関してよくいただく質問をまとめています。
Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてください。
日銀短観はいつから始まった?
日銀短観が始まったのは1957年からです。
日銀短観が始まった頃の調査対象企業数は約500社でした。
その後、1974年には5600社を、2004年には1万社を調査対象企業数とするなど、より正確な経済動向を示せるように調査対象企業数を増やしています。
日銀短観で調査対象となる企業の特徴は?
日銀短観では、資本金2000万円以上の企業を対象に調査を行っています。
全国の資本金2000万円以上の企業から、業種別・規模別に日本銀行が定める基準をもとに1万社を抽出しています。
日銀短観では、企業の資本金を基準に以下の3つの集計規模区分を設けています。
- 大企業・・・資本金10億円以上
- 中堅企業・・・資本金1億円以上、10億円未満
- 中小企業・・・資本金2000万円以上、1億円未満
出典:日本銀行「「短観」(全国企業短期経済観測調査)のFAQ」
日銀短観は日本の重要な経済指数
日銀短観は、日本経済の動向を把握するための重要な経済指数です。
企業は、今後より良い事業戦略を立てるためにも経済の現状を適切に把握することが求められます。
日銀短観は速報性が高いため、現在の日本経済の動向を正確に把握することができます。
今後の事業戦略を考える際に、ぜひ日銀短観を参考にしてください。
監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。
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