総研レポート・分析

企業が抱えやすい経営課題とその解決策は?有名企業の事例をもとにプロが解説【2022年】

企業経営をしていると、大きな経営課題が発生することがあります。

企業の円滑な業務の遂行、事業の拡大のためには、早急な経営課題の解決が必要です。

本記事では、企業が抱えやすい経営課題と解決方法を解説します。経営課題の解決や事前のリスクマネジメントのためにぜひ参考にしてください。

企業が抱えやすい経営課題とは

企業が抱えやすい経営課題とは

企業が抱えやすい経営課題の解決のためには、まずは課題が発生する原因・背景を理解しておく必要があります。

事前に課題が生まれる原因や背景を理解しておくことで、リスクマネジメントがしやすくなるでしょう。

経営課題が生まれる原因・背景

経営課題が生まれる原因・背景には、法律の改正や社会的な変化が影響することが多いです。

最近の経営課題の背景・原因に多いものとして、以下の3点があげられます。

  • 働き方改革
  • 消費者ニーズの変化
  • 労働人口の減少

ひとつずつ確認していきましょう。

働き方改革

2019年4月に労働者の多様な働き方を目指して「働き方改革関連法案」が施行されました。

働き方改革の中には、長時間労働の是正などの内容が含まれており、原則月45時間、年間では360時間の時間外労働の上限規制が導入されています。

これに違反すると、行政指導に加えて厳格なルール規定と罰則が設けられるため、社内体制の見直しをしなければいけない事態となりました。

働き方改革の施行により、社員の残業に頼って事業を進めていた企業は労働力を維持できず、事業を円滑に進めるにあたっての課題に繋がっています。

消費者ニーズの変化

現代はスマホの普及やデジタル化の促進によって、様々な情報が瞬時に手に入ります。

便利である反面、多くの情報が手に入ることで消費者ニーズの変化が早くなり、企業は早い変化に対応しなければならなくなりました。

一時期、タピオカがインターネットで数多く取り上げられた結果爆発的な人気を得ましたが、流行が過ぎるとブーム時のような売上は立たなくなります。

現代の消費者ニーズの変化が早い点が企業の課題の一つになるのです。

労働人口の減少

事業の成長・安定にあたって労働力は重要にもかかわらず、少子高齢化、さらには団塊世代の定年も重なり、日本の労働人口は減少しています。

労働者が減ることで、仕事を捌ける量も相対的に減っていき、企業の課題はますます増えていきます。

労働人口の減少は、企業の様々な経営課題を引き起こす原因に繋がるのです。

企業が抱えやすい5つの経営課題

企業が抱えやすい5つの経営課題

下記が企業が抱えやすい5つの経営課題です。

  • 人材確保の課題
  • ブランド価値向上の課題
  • 人材育成の課題
  • 後継者不足の課題
  • 自然災害や感染症への課題

それぞれの課題がどのように経営に影響するのか説明します。

人材確保の課題

企業にとって人材は会社の存続を左右する重要な「財産」です。

しかし先述したとおり、近年の労働人口の減少により、人材の確保に手こずる企業も多いです。

特に優秀な人材は大企業や給料の良い会社に流れやすく、多くの地方中小企業では人材の確保を経営課題として抱えています。

ブランド価値向上の課題

自社のブランド価値向上は、企業の利益追求のために重要な経営戦略となります。

しかしながら、グローバルな経営競争が加速する中で自社のブランド価値向上に課題を抱える企業も多いです。

特に、自社のコアコンピタンスを見つけることができず、他社と差別化できずに頭を抱えている経営者が多いのも事実です。

今後ますます競争が過熱する中で、ブランド価値の向上が求められます。

人材育成の課題

人材の育成に関しても多くの企業が経営課題としています。

優秀な人材が育たない点はもちろん、せっかく自社で育てた社員が離職してしまうことも課題の一つです。

厚生労働省が行った「令和2年雇用動向調査」によると、2020年の全業種の離職率は約14%であり、入社3年目までの離職率は30%を超えている事が示されています。

人材の育成と優秀な人材の離職も企業が抱えやすい課題の1つです。

後継者不足の課題

近年では、後継者不足も経営課題としてよく取り上げられます。

大手企業では問題となることは少ないですが、地方の中小企業・零細企業では後継者がいないために会社をたたむことも増えています。

帝国データバンクが行った「全国・後継者不在企業動向調査」では、全国の中小企業のうち約65%が後継者不足という現状となっています。

自社を存続させるためには、早めに後継者を見つける、もしくは会社売却を行う必要があるのです。

自然災害や感染症への課題

自然災害や感染症も企業が抱えやすい経営課題の1つです。

新型コロナウイルスによるパンデミックは、多くの企業経営に悪影響を与えました。

2021年版の中小企業白書によると、生活関連サービス業は約71%、宿泊飲食サービスは約43%もの売上高が減少したことが示されています。

突如発生する自然災害や感染症への対応も企業が抱えやすい課題と言えます。

経営課題の解決策と役立つフレームワーク

経営課題の解決策と役立つフレームワーク

経営課題の解決策と経営に役立つフレームワークを紹介します。

フレームワークは経営課題の事前の予防や業務の効率化にもつながるため参考にしてください。

事業計画を綿密に練る

経営課題を未然に防ぐためには、事業計画を綿密に練ることが重要です。

計画が甘いと、様々なトラブルや問題点へと発展します。

経営課題を発生させないためには、あらかじめ様々な課題を想定したリスクマネジメントも必要です。

企業がよく抱えやすい課題を考えながら、自社で課題が発生しないよう事業計画を練るようにしましょう。

評価制度と給与の見直し

人材の確保や定着に課題を抱えている企業は、評価制度と給与の見直しを行いましょう。

自身が正しく評価されない会社に残る人は少ないです。

不公平な評価にならないように、客観的な評価制度の作成が必要です。

給与の見直しを行い満足のいく賃金を支払うことで、新たな人材の採用が可能となります。

著しく活躍した社員には追加でボーナスを支給するなど、給与面に工夫を取り入れる事も社員のやる気の向上と定着に繋がります。

IT化の促進による効率の向上

事業が計画通りに進まないことや長時間労働などの課題はIT化を促進することで解決できる場合が多いです。

社内の様々な管理をITを用いて行うことで、事業効率を高め円滑に事業が進められます。

長時間労働が減ることで残業時間の減少にも繋がるため、残業代の支払いが無くなり企業の利益向上にも繋がります。

IT化は初期投資が必要ですが、長期的には経営課題の解決と利益拡大をもたらすので、早めに取り掛かるようにしてください。

経営課題解決におすすめのフレームワーク

経営課題の解決や事前対策のためには、フレームワークの使用がおすすめです。

便利なフレームワークを3点紹介していきますので、活用を検討してください。

フレームワーク①:ロジックツリー

ロジックツリーとは、経営課題をツリー状に分解して、ロジカルに原因の追求や課題の解決策を考えるフレームワークです。

企業の抱える大きな課題は、多くの小さな課題が絡み合いながら影響を及ぼしています。

ロジックツリーを使用する事で、目の前の大きな課題の原因となる小さな課題に気づく事ができ、多角的に問題解決策を講じることが可能となるのです。

フレームワーク②: SWOT分析

SWOT分析とは、企業を「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つのカテゴリーから分析する方法です。

SWOT分析は、自社を取り巻く環境を多角的に分析するのに適したフレームワークです。

自社が抱える経営課題の解決策を考える際に、自社の内部環境と外部環境を多角的に捉える事ができ、経営課題の分析に役立ちます。

フレームワーク③: PEST分析

PEST分析とは、「政治」「経済」「社会」「技術」の4つの外部環境を基に分析するフレームワークです。

自社を取り巻く外部環境が、現在や将来にどのような影響を与えるかを分析できます。

インフレや地域社会の人口減少、法律の改正など社会の変化が自社に及ぼす影響と、その際の課題を把握・予測することができます。

経営課題を早期に発見するには?

経営課題を早期に発見するには?

経営課題は、早期に発見することで深刻な状況を回避することができます。

早期発見のためには、以下の3つの取り組みがおすすめです。

  • 経営資金を数値化して見える化する
  • 従業員の成績を数値で表す
  • 社内組織の透明化

それぞれ、確認しましょう。

経営資金を数値化して見える化する

経験資金の見える化は、様々な経営課題解決のために必須です。

会社にどの程度資金があるのかを数値で示す事で経営状況の判断に活用できます。

また、会社全体の経営資金だけでなく各部署に配分した予算の使用状況や利益を細かく数値化することも大切です。

数値の変化を読み取ることで、各部署の運営状況がすぐに分かり、経営課題の早期発見に繋がります。

社員の成績を数値で表す

労働人口の減少が進む中で、人材の離職は企業にとって大きな痛手となります。

人材が離職する理由は様々ありますが、優秀な人材ほど正しく評価が受けられないと退職しやすい傾向にあります。

社員の成績を数値で表す事で、社員1人1人の頑張りを見える化し評価することができるのです。

また、数値化することで社員の業績悪化に速やかに対応でき、経営課題の早期発見に繋がります。

社内組織の透明化

経営課題への早期対応のためには、社内組織の透明化を図る必要があります。

それぞれの組織が日頃からどのような取り組みを行い、どのような点に躓いているかを把握できれば素早い対応が可能となります。

定期的な会議の中で、各部署の取り組みや動きを共有するなど、社内の透明化を図ることをおすすめします。

有名企業が抱えた経営課題と解決策

有名企業が抱えた経営課題と解決策

自社の経営課題を考えるにあたり、他社の経営課題とその解決策を参考にすることで、効率的に自社の課題が解決できます。

ここでは5社の有名企業が抱えてきた課題と取り組みを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

セブンイレブンの経営課題

セブンイレブンでは、労働人口の減少による人手不足からくる長時間労働が経営課題として取り上げられていました。

これに対して、2019年の3月より試験的に営業時間を短くする実験を始め、同年の11月より深夜休業が正式に認められました。

24時間営業見直しの動きは、労働者の長時間労働を防止し、利益の薄い深夜帯の人件費削減など経営課題の解決策として取り組まれています。

トヨタ自動車の経営課題

トヨタ自動車はコロナ禍やロシアウクライナ戦争による原材料の高騰を経営課題として取り上げています。

原材料が過去にないほどに高騰しており、2022年の前期原材料費が6400億円なのに対して、2023年の原材料費の予想は1兆4500億円と倍以上の価格となっています。

資材のインフレ対策として、より安価な材料の導入や使用量の削減を行っています。危機感を行動に移し、年3000億円の原価改善に取り組んでいます。

マクドナルドの経営課題

マクドナルドは、異物混入や期限切れの肉の使用が明らかとなり、2015年には過去最大350億円の赤字を出しました。

商品の安全性と品質に課題を抱えていましたが、2019年には売上高5490億円の創業以来の最高額へとV字回復しています。

この背景には、ITを有効活用したSNS戦略や従業員の賃金の底上げがあります。

Twitterでは、連日にわって名前募集バーガーが話題となり、従業員の賃金底上げは仕事へのモチベーションの向上につながったのです。

鳥貴族の経営課題

居酒屋などの飲食業界で課題として上がるのが長時間労働です。

深夜帯の労働者を獲得するのはどこの店舗も大変で、必然的に今いる従業員の労働負荷が上がります。

鳥貴族は、残業や休日出勤を禁止する取り組みを導入して長時間労働の対策に取り組んでいます。

残業や休日出勤があった場合は、なぜ必要だったのかをヒアリングして対策を行っています。

カネテツデリカフーズの経営課題

カネテツデリカフーズは、新入社員の離職率が50%を超えるなど人員の定着に課題を抱えていました。

離職の原因追求に努めて、「仕事は見て覚える」という社内風土の改善に取り組みました。

これまでの新人への情報共有不足やコミュニケーション不足を改善して、新人へのマンツーマン制度を導入する事で新人の悩みの解決やスキルの向上につながり離職率が数%へと低下しました。

経営課題の解決に役立つ本3選

経営課題の解決に役立つ本3選

経営課題の解決策に関する関連知識や思考法を学びたい方は、書籍による勉強がおすすめです。

経営課題の解決策に関して、ゼロから学べるやさしい書籍を3つ紹介します。ぜひ学習の参考にしてください。

『会社の問題発見、課題設定、問題解決』

『会社の問題発見、課題設定、問題解決』は、経営課題解決のためには、会社のビジョンの明確化と分析に基づいた解決の重要性が解かれています。

経営課題に対して、なんとなくアプローチするだけでは的確な解決には繋がりません。

本書では、ビジョンの策定とデータ分析を専門とする2人の専門家によって徹底解説されています。

会社の経営課題がなかなか解決しない場合に、参考にしてください。

現代の経営課題

企業の抱えやすい経営課題には、少子化や気候変動など社会の変化が影響している場合が多いです。

経営課題を解決するためには、時代に即した対応が必要となります。

『現代の経営課題』は、現代の企業が抱えやすい経営課題とその背景を捉えて、経営課題の解決策を提言する内容となっています。

変化の激しい現代社会の中で、どのような取り組みが必要か理解できる一冊となります。

世界一やさしい問題解決の授業

『世界一やさしい問題解決の授業』には、世界最高峰のコンサルティング会社で使用されている問題解決の考え方が示されています。

中学生や高校生でも理解のできるようにわかりやすく課題解決法が示されているため読みやすい一冊となります。

本書を読むことで、ロジカルな思考法と問題解決能力が身に付き、適切な経営課題の解決策が考えられますよ。

経営課題の解決に役立つ資格3選

経営課題の解決に役立つ資格3選

経営課題の解決のために取得が必須となる資格はありません。

しかし、資格を取得しておくことで経営課題の早急な解決に役立つ場合があります。

経営課題解決のためにおすすめの資格は以下の3つです。

  • 企業経営アドバイザー
  • 中小企業診断士
  • メンタルヘルス・マネジメント検定

それぞれの資格がどのような場面で役立つのか理解して、資格の取得の参考にしてください。

企業経営アドバイザー

企業経営アドバイザーは、様々な業種の企業を対象として、適切な事業性評価に基づいた経営支援を行うための資格となります。

経営者を支える伴走者とも表現され、企業や地域社会に寄り添った経営コンサルが行えます。

取得する事で、企業経営に関する様々な知識や事業性評価に関する専門知識が身に付けられ、自社の経営課題に対する的確なアドバイスが可能となります。

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営コンサルタントとして中小企業が抱える経営課題に対する問題解決を行うための国家資格です。

取得する事で、各領域の専門知識を習得することができ、自社の経営課題に対して的確な分析が可能となります。

中小企業診断士は、1次試験と2次試験の両方に合格する事で資格を取得できます。

難易度が高い資格で、1次試験・2次試験どちらもストレートに合格できる確率は4%と言われています。

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所によって実施されている公的資格です。

産業精神保健に関する資格で、取得する事で人事労務の観点から職場の環境・人を健康的にマネジメントするために必要な知識が身に付きます。

健康経営の取り組みが進む中で、企業にとってメンタルヘルス対策をしておく事は重要な課題となります。

メンタルヘルス・マネジメント検定に合格する事で、職場のメンタルヘルスに関する課題解決に役立てます。

経営課題に関するQ&A

ここまで経営課題の原因や解決策、有名企業の事例を解説してきました。

最後に、経営課題に関してよくいただく質問についてまとめました。

Q&A形式でまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

中小企業が抱えやすい経営課題は?

中小企業が抱えやすい経営課題の1つに人材の確保の問題があります。

特に地方の中小企業は人手不足により、円滑に事業が進まずトラブルが起こりやすいです。

また、人手不足の中で強引に事業を進めようとすると長時間労働になりやすく、その結果連鎖的な退職を招いてしまうのです。

地方の中小企業は、人材の確保に力をいれることが大切です。

社会の変化の中で今後企業が抱えやすい経営課題は?

世界経済フォーラムが公表しているグローバルリスク報告書の中で、今後異常気象など環境面のリスクが深刻化することが示されています。

そのため、世界的にも省エネや環境性能を意識した取り組みが進められています。

今後は、企業にも社会や環境へ配慮した施設作りや事業が求められます。

環境へ配慮した取り組みを行う企業は、世間的なイメージも高まり、投資家からの投資対象に選ばれやすいです。

一方で、環境への配慮を怠る企業は投資家から選ばれにくくなり経営のための資本金集めが難しくなります。

社会の変化の中で、会社の環境性能向上が今後の課題となりそうです。

コロナによって増えた経営課題は?

コロナによって増えた経営課題は、デジタル化への取り組みです。

感染症の対策として密を避ける際に、オフィスへの出勤や会議を行うことが難しくなりました。

コロナ禍でも、デジタル化が進む企業は瞬時にフルリモートに切り替えられ、会社の著しい業績悪化を防ぐことが可能でした。

今後のパンデミックに備えて、各企業ではデジタル化への対応が課題として増えています。

監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

 

免責事項
当レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではございません。また、本内容は現時点での判断を示したに過ぎず、データ及び表現などの欠落、誤謬などにつきましては責任を負いかねますのでご了承ください。当レポートのいかなる部分もその権利はククレブ・アドバイザーズ株式会社及びククレブ・マーケティング株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、無断で複製または転送などを行わないようお願いします。