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マインドセットを変える意味とは?企業を成長させる活用方法やコーチング、研修の必要性を分かりやすく解説

企業を経営するうえで、仕事のパフォーマンスを高めるためには個人や組織のマインドセットを変えることが重要です。

企業が求める成長マインドセットを得るためには、それぞれの役職・立場に応じた研修やコーチングが効果的です。

本記事では、企業経営に必要なマインドセットの基礎知識から有効な活用方法まで紹介します。マインドセットを有効活用したい方は、ぜひ参考にしてください。

マインドセットの意味と役割とは

マインドセットの意味と役割とは

マインドセット(mindset)とは、「物事についての人の考え方」や「習慣」を意味する心理学用語です。

自身が持つマインドセットによって、無意識に人の「行動パターン」や「物事に対する思考の癖」は決定します。

また、各個人だけでなく組織にもマインドセットが存在します。組織のマインドセットは社風として表現されることが多く、企業理念や組織文化、経営戦略を通して形成されています。

マインドセットが企業で広まった背景

近年はデジタル化の進展によって、かつてないほど変化の激しい時代になっています。

また、今後はAIの発達に伴い、多くの仕事は人工知能によって処理されるようになると予想されています。

さらに、エネルギーの枯渇や地球環境の変化も、今後の企業経営に大きな影響を及ぼすでしょう。

このような時代背景の中で企業が継続的に成長し存続するためには、経営者や経営幹部だけでなく従業員一人ひとりの意識や行動、考え方を変化させることが必要です。

マインドセットを変えることは企業経営に重要な役割を果たす

マインドセットは一人ひとりの行動に大きな影響を与えます。そのため、企業内でも従業員にマインドセットの教育を行うことが重要とされています。

従業員が仕事への適切な向き合い方を身につけることができれば、利益の増加や離職率の低下など会社に対してプラスの影響をもたらすことができるでしょう。

このように、企業の事業拡大と従業員のマインドセットには密接な関係があるため、マインドセットは企業経営において重要な役割を果たしています。

企業の成功と失敗はマインドセットで決まる

従業員のマインドセットと企業の成果には、深い関係性があります。

マインドセットが活用されている企業は、効率的に事業を展開することができるとされています。また、マインドセットが活用されている場合、企業が低迷している際にも従業員は過度にネガティブにならずに前向きに仕事を進めることが可能です。

一方、マインドセットを取り入れることができていない企業では、思うような成果が出にくく、低迷期に組織内での言い争いも多くなります。

企業経営が成功するか失敗するかは、企業がマインドセットを有効活用できているかどうかによって決まると言っても過言ではありません。

マインドセットの種類

マインドセットの種類

マインドセットにはさまざまな種類があります。本記事では、企業経営に特に影響を及ぼすと考えられている2つのマインドセットを紹介します。

  • 成長マインドセット
  • 硬直マインドセット

それぞれ1つずつ確認しましょう。

成長マインドセット(グロースマインドセット)

成長マインドセットとは、「努力することで自身の能力を向上させられる」というポジティブなマインドセットです。グロースマインドセットとも呼ばれています。

成長マインドセットを獲得することによって積極的に仕事へ取り組むことができるようになり、仕事に対して自主的な努力をすることが可能となります。

また、集中力や忍耐力が向上するため、自分自身や会社としての目標の達成にも近づけるでしょう。

硬直マインドセット(フィックスマインドセット)

硬直マインドセットは、別名フィックスマインドセットとも呼ばれる、成長マインドセットとは正反対のマインドセットです。

硬直マインドセットは、「努力しても自分にはできない」という思考に陥りやすいため、仕事に対してネガティブになりやすく、さまざまな事柄に挑戦しにくくなるという特徴があります。

硬直マインドセットを持つ人が多い組織は、企業経営に負の影響を及ぼしてしまうのです。

企業経営に必要なマインドセットは「成長マインドセット」

企業経営に大きな影響を及ぼすと考えられているマインドセットは、前述のとおり2種類に分けられます。2種類のうち、企業経営において有効なマインドセットは「成長マインドセット」です。

企業を成長・拡大させるためには、何事にも臆せずチャレンジし努力できる成長マインドセットを持った人材を増やすことが重要です。

個人と組織におけるマインドセット

個人と組織におけるマインドセット

企業を経営する際には、個人のマインドセットと組織のマインドセットの2つのマインドセットが求められます。

以下で、個人と組織のマインドセットの違いやそれぞれのマインドセットを高めるために企業に求められる役割を確認しましょう。

個人のマインドセットとは

各個人の信念や経験、成長してきた時代背景などから形成される思考形式を個人のマインドセットといいます。

個人のマインドセットは企業へ入社した時点では人によって異なるため、企業は従業員全員が成長マインドセットを獲得できるようなマインドセット教育を行う必要があります。

個人のマインドセットに影響を与える要因

生活環境や人生経験の違いによって、個人が持つマインドセットは大きく異なります。

企業に有効な成長マインドセットを従業員に獲得させるためには、企業側が個人のマインドセットはどのように形成されるかを理解しておくことが必要です。

個人のマインドセットに影響を与える代表的な要因には、以下の3つが挙げられます。

  • 人生経験
  • 先入観
  • 教育

それぞれ確認していきましょう。

要因①:人生経験

個人のマインドセットの形成には、人生経験が大きな影響を及ぼします。

何かに取り組んで成功した経験や失敗した経験は、物事への取り組み方や考え方に大きな影響をもたらします。

成功した経験には自身の行動に対する肯定感を高める効果があるため、成長マインドセットの形成につながります。一方、上手くいかなかった経験や失敗した経験は、硬直マインドセットの形成につながるでしょう。

従業員によってこれまでの人生経験が異なるため、価値観や行動の癖などマインドセットも異なります。

要因②:先入観

先入観も個人のマインドセットの形成に大きく関わっています。

先入観は各個人の経験や性格的な特徴、日頃触れる情報によって形成されるため、捨てることが困難です。

先入観は「自身の感覚と異なる他者を受け入れられない」「多様性を受け入れられない」など、社会生活に負の影響を与えるマインドセットです。

例えば、人種差別や好き嫌いは、先入観が影響を及ぼしています。

要因③:教育

個人のマインドセットの形成には、これまでに受けた教育も大きな影響を及ぼします。

学校で先生から教えられたことや、これまで勤めてきた会社の教えなども個人の考え方や行動に関係しています。

教育はいつでも行うことができるため、企業は従業員に対するマインドセット教育を通して、自社にとって有益な行動を取れる従業員を増やすことができるでしょう。

組織のマインドセットとは

マインドセットは個人のみの特性と思われがちですが、企業などの組織にもマインドセットがあります。

組織のマインドセットとは、企業理念やビジョンによって形成される思考パターンのことです。組織全体を通して会社の将来性を考える際に、組織のマインドセットは重要な役割を果たします。

組織のマインドセットに影響を与える要因

企業として大きく事業を拡大していくためには、企業経営に有効な組織のマインドセットを浸透させる必要があります。

企業経営に有効なマインドセットを浸透させるためには、組織のマインドセットに影響を与える要因を理解することが重要です。

組織のマインドセットに影響を与える代表的な要因には、以下の3つが挙げられます。

  • 製品特性・事業特性
  • 経営戦略・ビジョン
  • 企業が経験してきた出来事

要因をそれぞれ確認していきましょう。

要因①:製品特性・事業特性

組織のマインドセットの形成要因の1つに、取り扱う製品や事業の特性が挙げられます。

例えば、時代の変化に影響を受けやすい製品を取り扱う会社であれば、綿密に市場を調査したうえで常に時代の変化に対応した製品製造やサービスの実施を行うなど、柔軟なマインドセットが重要になります。

一方、医療関係の企業であれば、何よりも人の健康と命を大切にするマインドセットに重きを置くべきです。

このように、会社の製品や事業の特性も企業のマインドセットの形成に大きな影響を及ぼしています。

要因②:経営戦略・ビジョン

企業の経営戦略やビジョンも組織のマインドセットの形成に大きな影響を及ぼします。

企業の経営戦略やビジョンは、会社の方向性を決める指針となるものです。

従業員が仕事に取り組むうえでどのような方向性で仕事を行えばよいのかを示すことで、組織全体の考え方や行動のマインドセットを形成できます。

企業の経営戦略・ビジョンを通したマインドセットの形成を行うことで、経営陣と従業員が同じ方向に向かって事業を進めることができ、より利益を拡大できます。

要因③:企業が経験してきた出来事

個人のマインドセットの形成要因に人生経験が含まれるのと同様に、企業の場合もこれまでの経験が組織のマインドセットの形成に影響を及ぼします。

企業を経営していると、事業が成功したり失敗したり、さまざまなことを経験するでしょう。

「事業が上手くいった際にはどのような取り組みをしていたのか」「事業が失敗した際にはどのような点がダメだったのか」など、経験から学びを得ることによっても組織のマインドセットは形成されていきます。

成長マインドセットの形成には研修やコーチングが重要

成長マインドセットの形成には研修やコーチングが重要

マインドセットは、研修やコーチングによって変えることが可能です。マインドセット教育を行うことで、従業員がこれまで以上に熱心に仕事へ取り組むようになるなど、企業としても多くのメリットが得られます。

マインドセットを変えることで得られるメリットは、主に以下の3つです。

  • 従業員一人ひとりが自信を持って仕事に取り組める
  • キャリアについて前向きに考えられるようになる
  • 組織にポジティブな雰囲気が作られる

1つずつ確認しましょう。

従業員一人ひとりが自信を持って仕事に取り組める

成長マインドセットを獲得することができれば、仕事に対して自信を持って前向きに取り組めるようになります。

「努力をすればスキルが身につき成長できる」というマインドセットを持つことによって、より高いモチベーションで仕事に取り組むことができ大きな成果にもつながります。

それぞれの企業に求められているマインドセットを獲得することで、仕事をする中で直面する課題にも対応することが可能となるでしょう。

キャリアについて前向きに考えられるようになる

成長マインドセットを持つ人材は、キャリアに関しても前向きで管理職へのキャリアアップにも躊躇しない傾向にあります。

マインドセット教育を取り入れることによって主体的な管理職を増やすことができるでしょう。

組織にポジティブな雰囲気が作られる

成長マインドセットを持った人材が集まることで、組織内にポジティブな雰囲気が生まれます。雰囲気の良い組織であれば仕事に対しての取り組みも捗るため、より大きな成果につなげることが可能です。

また、雰囲気の良い職場は離職率の低下にもつながります。

マインドセットの形成を通して、職場にポジティブな雰囲気を作ることが企業にとって大きなメリットになるでしょう。

役職や立場によって求められるマインドセットの違い

役職や立場によって求められるマインドセットの違い

リーダー・中堅社員・新入社員など、役職や立場によって求められるマインドセットは異なります。

それぞれの役職や立場に適したマインドセットを獲得することで、より良い企業経営が可能となります。

以下で、各ポジションに求められるマインドセットを確認していきましょう。

経営者やリーダーに求められるマインドセット

リーダーがどのようなマインドセットを持っているかによって、組織全体の雰囲気は大きく変わります。

リーダーの思考はチームメンバーにも伝わるため、より良い企業経営のためには、リーダーがポジティブで何事にも臆せずにチャレンジできるマインドセットを持つことが重要です。

硬直マインドセットを持つリーダーの場合、部下に対して否定的でネガティブな対応になりやすく、企業経営にマイナスの影響を与えることがあります。また、何かトラブルが発生した際に部下のせいにしてしまい、自身はトラブルから逃げる行動を取ってしまう可能性もあります。

リーダーが成長マインドセットを持つことでポジティブな空気がチームメンバーに伝わり、意見を交わしやすい組織になるでしょう。意見交換を通じてさまざまな視点で仕事に対して向き合えるようになり、事業を成功へ近づけることが可能です。

中堅社員に求められるマインドセット

中堅社員は一方的に仕事を教わる段階から卒業し、新人や部下へ仕事を教えてマネジメントをする立場になります。また、中堅社員は現場と経営陣とのパイプ役も担っていることも多いです。

そのため、周囲との円滑なコミュニケーションや周りを巻き込むリーダーシップなどの能力が発揮できるようなマインドセットが求められます。

中堅社員が現場と経営陣との架け橋として上手くパイプ役を担うことによって、社内全体の連携が取れてまとまりのある会社が作れるでしょう。

新入社員に求められるマインドセット

新入社員には、これまでの学生としてのマインドセットから社会人としてのマインドセットに変化させることが求められます。

社会人として仕事に対するひたむきさや主体性を持ち、自身の悪い部分を受け入れられるようなマインドセットに変化させることが必要です。

新人のうちは誰しも仕事での失敗を経験するものです。そのため、新入社員には失敗に対して過度に落ち込み過ぎずに、ポジティブに自信を持って仕事に取り組むマインドセットが求められます。

個人や組織を成長マインドセットに変える方法

個人や組織を成長マインドセットに変える方法

個人や組織のマインドセットは、考え方の変化や社内の環境作りで変えることができます。

特に企業経営に有効な成長マインドセットを獲得するための方法は、以下の5つです。

  • 経営目標と具体的な行動を決める
  • PDCAを意識して仕事に取り組む
  • 小さな成果を積み重ねる
  • フィードバックを行う
  • 成功者のマインドセットを真似する

それぞれ1つずつ確認しましょう。

方法①:経営目標と具体的な行動を決める

マインドセットを変えるためには、企業の経営目標と従業員一人ひとりの具体的な行動の決定が必要です。

物事に取り組む際に目標が設定されていなければ、どのようなマインドセットで仕事に臨めば良いのか分からなくなります。

企業が従業員に対して目標を提示することによって、従業員は自身がどのようなマインドセットで行動をすれば良いのかを理解することができます。

方法②:PDCAを意識して仕事に取り組む

マインドセットを変えるためには、仕事への取り組みに関してPDCAを意識することが大切になります。

PDCAはPlan・Do・Check・Actの頭文字をとった略語で、計画・実行・評価・改善の4段階を繰り返すことによって仕事の質を向上させる方法です。

流動的に仕事をするのではなく、PDCAを意識して仕事に取り組むことで目標の達成に向けた軌道修正ができ、各個人のマインドセットを成長マインドセットに変えることができるでしょう。

方法③:小さな成果を積み重ねる

マネジメントを行う立場の人は、部下が小さい成果でも実感できるような環境作りをすることが大切です。

「やればできる」「努力すればスキルが身につく」などの成長マインドセットには、自身のこれまでの成功体験が大きく影響しています。

そのため、各個人が達成できそうな仕事を与えることで、達成した際に成果を感じられるような環境づくりが重要になります。

仕事をする中で従業員が成功体験を積み重ねることができるような環境を整えることで、マインドセットを成長マインドセットへと変えていきましょう。

方法④:フィードバックを行う

マインドセットを成長マインドセットに変えるためには、適度なフィードバックを行うことが必要です。仕事への向き合い方について、良い点と悪い点をしっかりとフィードバックすることによって仕事の質が変わります。

また、管理職や上司からフィードバックをもらうことによってしっかりと自分を見てくれていると感じることができ、より熱心に仕事へ取り組めるようになるでしょう。

適切なタイミングでの肯定的なフィードバックは、マインドセットを成長マインドセットへと変えるために適したマネジメントであると言えます。

方法⑤:成功者のマインドセットを真似する

ビジネスや会社経営で成功している人の多くは、成長マインドセットを持っています。

そのため、成長マインドセットを獲得するためには、成功者のマインドセットを真似する方法も有効です。

自身が目標としている人物の行動や考えを真似て仕事に取り組むことで、自身のマインドセットを良い方向に変えることができるでしょう。

マインドセットを定着させる際の注意点やポイント

マインドセットを定着させる際の注意点やポイント

コーチングや研修などのマインドセット教育を導入する場合、その教育が有益なものとなるようにいくつかのポイントに注意する必要があります。

何も考えずにマインドセット教育を実施するだけでは、従業員一人ひとりのマインドセットを変えることはできません。

特にコーチングや研修を実施する立場の人は、企業に有効な成長マインドセットを定着させるために以下の点に注意しましょう。

役職別に研修を導入する

前述したとおり、リーダー・中堅社員・新入社員などそれぞれの役職や立場によって求められるマインドセットは異なります。

マインドセット教育にはさまざまな種類があるため、研修内容と対象者を見極めたうえで研修を選択し実施することによって高い効果が期待できます。

ポジティブな言葉がけを心がける

組織全体でのポジティブな言葉がけは、成長マインドセットを定着させるためにも重要なことです。

例えば、叱責や注意の言葉が多い職場では、叱られることを恐れて主体的な取り組みが低下してしまいます。

しかし、ポジティブで明るい雰囲気の職場であれば、何事にもチャレンジしやすく熱心で積極的な仕事への取り組みにもつながります。

仕事への向き合い方に対して叱責や注意の言葉が必要になることもありますが、ポジティブな言葉がけをそれ以上に増やすことによって従業員の成長マインドセットも定着しやすくなるでしょう。

企業経営でのマインドセットの有効な使い方とは

企業経営でのマインドセットの有効な使い方とは

成長マインドセットは、企業経営のさまざまな場面で役立ちます。以下で、マインドセットの企業経営への取り入れ方の例を紹介します。

場面ごとに有効な活用方法を説明するので、自社での取り組みの参考にしてください。

事例①:採用面接

採用面接時には、志望者が成長マインドセットを持っているのかを確認することが大切です。

企業経営に有効なマインドセットは成長マインドセットであるため、面接の際には志望者が成長マインドセットなのか硬直マインドセットなのかを見分けられるような質問を行うようにしましょう。

さまざまな質問をすることによって、自己評価のバランスや行動優先意識、他責・自責思考などを答えから読み取ることが可能です。

例えば、過去の成功体験や成功までのプロセスを即座に語れる人は、成長マインドセットを有していると判断できます。

あらかじめ成長マインドセットを持った従業員を採用することで、マインドセット教育のコストを削減できるうえ、入社後すぐに仕事に対する高いパフォーマンスが期待できます。

事例②:目標設定

企業の目標設定も、従業員一人ひとりや組織のマインドセットに大きな影響を与えます。

実現可能かつ社員全員で協力すれば達成できる程度の目標を立てることによって、何事にも積極的にチャレンジできるような成長マインドセットの形成につながります。

一方、いくら頑張っても実現できないような目標を立てた場合は、従業員一人ひとりのモチベーションが上がらず硬直マインドセットの形成につながってしまうでしょう。

企業で目標を決める際には、自社の現状や市場を分析したうえで従業員のモチベーションを高められるような目標を設定することが大切です。

事例③:人材育成

従業員一人ひとりに企業経営に有効なマインドセットを定着させるために、人材育成に力を入れることも重要です。

マインドセットは各個人の無意識の中にあるものですが、意識的な教育を行うことによって自身が持っているマインドセットに気づき、変えることが可能となります。

意識的な教育の例としては、これまでの経験や考えを紙に書き出してもらい、紙に書き出した思考が自身のマインドセットであると認識させる方法が挙げられます。

紙に書き出した考えについて組織としての取り組み方やアドバイスを伝えることによって、企業として個人のマインドセットを変化させるサポートをすることが可能です。

企業経営に有効なマインドセットを身に付けるためのおすすめ研修3選

企業経営に有効なマインドセットを身に付けるためのおすすめ研修3選

従業員のマインドセットを企業経営に有効なものに変えるためには、研修の導入が有効です。研修を実施する際には、対象者や自社の現状に適した研修を用意しましょう。

本記事では、マインドセット教育におすすめの研修を3つ紹介します。それぞれの研修の内容や特徴を以下で確認し、導入する際の参考にしてください。

自分の殻を破る新人研修の決定版「仕事の基礎の基礎」

学生から社会人になったばかりの新入社員のマインドセットを変えるためにおすすめの研修は、株式会社ジェイックが行っている『自分の殻を破る新人研修の決定版「仕事の基礎の基礎」』です。

「なぜ採用されたのか」「給料をもらうということはどういうことなのか」など社会人として考えておきたい内容について理解を深めることによって、研修を通して新入社員に社会人としてのプロ意識のマインドセットを持たせることができます。

表面的な仕事への向き合い方だけでなく、「なぜそれが必要なのか」「何のためにやるのか」についての徹底的な研修によって意識を変えることが可能です。

3日間の新人研修プログラムとなっているため、新入社員に社会人としてのマインドセットを定着させたい場合におすすめの研修となっています。

『7つの習慣』をもとにした「新入社員研修PRO」

『7つの習慣』をもとにした「新入社員研修PRO」は、完全オンラインで実施できる新入社員向けの研修プログラムです。

全世界で4000万部発行されたビジネス書『7つの習慣』をベースとした研修プログラムであり、研修を通して新入社員に社会人として新しい環境や時代の中で求められるマインドセットを習得させることができます。

研修を受けることによって、新人であっても仕事に対して高い意識を持って取り組めるようになるでしょう。資料やナレーターによる説明だけでなく、受講する人が集中力を保てるようにハイクオリティな動画コンテンツも用意されています。

「目標達成力」と「人間力」を同時に高める「原田メソッド」研修

『「目標達成力」と「人間力」を同時に高める「原田メソッド」研修』は、元公立中学校教員の原田氏によって作られた研修プログラムです。公立中学教員時代に陸上部の顧問として13回日本一を成し遂げた際の指導方法や教育メソッドが示されています。

原田氏のメソッドでは、人間の行動科学・心理学・脳科学といった科学的なアプローチを踏まえたうえで考案された、人のマインドセットを変えて成果を上げるための技術を学ぶことができます。

日本を代表する野村證券やユニクロなどの大企業も取り入れている研修プログラムです。

目標達成のための指導法を学びたい中堅社員やリーダーにおすすめの研修となっています。

マインドセットを学ぶためのおすすめの本・書籍一覧

マインドセットを学ぶためのおすすめの本・書籍一覧

マインドセットを企業経営に活かすためには、それぞれの立場に応じた学びが重要です。

新入社員や中堅社員などの従業員をはじめ、マネジメントをする立場のリーダーにもおすすめの本を7冊紹介します。

  • マインドセット-「やればできる!」の研究
  • 成長マインドセット-心のブレーキの外し方
  • なかなか自分で決められない人のための「決める」技術
  • 資本家マインドセット
  • 100倍の富を引き寄せるミリオネア・マインドセット黄金のルール
  • 独学の学びを最大限に高める 成長マインドセット術
  • 「無敵」のマインドセット 心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる

以下で、それぞれの本で学べる内容を確認していきましょう。

マインドセット-「やればできる!」の研究

『マインドセット-「やればできる!」の研究』は、キャロル・S. ドゥエックによって行われた、20年間の膨大な調査によって明らかにされた「成功心理学」の古典的著書です。

世界最高峰の研究機関であるハーバード大学発の世界的ベストセラー本で、企業経営に役立つマインドセットの作り方が示されています。

当書では、しなやかなマインドセットを持つことで何事にも臆さなくなり、自身の能力を最大限に生かせるようになると述べられています。

組織や従業員一人ひとりの才能を開花させたい時に参考にしたい1冊です。

成長マインドセット-心のブレーキの外し方

『成長マインドセット-心のブレーキの外し方』は、創業4年で上場し創業10年で売上高1000億円を実現した吉田行宏氏の人材育成方法が示された本です。

トラブルが発生した際に周りの人を否定してしまったり、ネガティブな思考になってしまったりした経験はないでしょうか。

当書には、成長マインドセットのブレーキとなりやすい悩み事への5つの対処方法が示されています。

ネガティブな思考を捨てて、自身をより成長させていきたい方におすすめの1冊です。

なかなか自分で決められない人のための「決める」技術

硬直マインドセットを持つ人は、物事の決断が即座にできない傾向にあります。

変化の激しい社会では、一つひとつの事柄に対して正確かつ素早い判断が求められます。

『なかなか自分で決められない人のための「決める」技術』には、優柔不断さを解消するための技術やポイントが示されています。

なかなか自分で物事を決められない人におすすめの1冊です。

資本家マインドセット

これから起業をしたい方や経営に関わる幹部の方におすすめの本が『資本家マインドセット』です。

会社経営者などの資本家はどのようなマインドセットを持って仕事に取り組んでいるのかを知ることができます。

当書を読むことで、経営者にしかわからない資本家の考え方や行動を知ることができるため、今後の参考にすることも可能です。

また、地方の後継者不足に悩む中小企業は、従業員に資本家マインドセットを持たせることで会社の後継者作りにも役立つでしょう。

100倍の富を引き寄せるミリオネア・マインドセット黄金のルール

『100倍の富を引き寄せるミリオネア・マインドセット黄金のルール』では、ビジネスをはじめとしたさまざまな場面において成功のために必要となるマインドセットが解説されています。

成功のための「黄金のルール」を学ぶことで、夢の実現に近づくことができるでしょう。

思い通りの人生を歩むために必要となるマインドセットを身につけたい方におすすめの1冊です。

独学の学びを最大限に高める 成長マインドセット術

仕事をする中で、もっとスキルを身につけておけば良かったと思うことも多いのではないでしょうか。

特にビジネス場面では、一つひとつの学びの差が自身の出世や所得に大きな影響を及ぼします。

『独学の学びを最大限に高める 成長マインドセット術』には、独学での学びを最大化するための成長マインドセットを身につける方法が示されています。

独学で多くのビジネススキルを学びたい方におすすめの1冊です。

「無敵」のマインドセット 心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる

今までの人生の中で、他人から「向いていない」「あなたにはできない」などと否定された経験がある人も多いのではないでしょうか。また、そのような他人からの助言で物事に苦手意識を持っている人もいるのではないでしょうか。

『「無敵」のマインドセット 心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる』には、これまで苦手意識を持っていたことを得意なことに変えるマインドセットの身につけ方が示されています。

これまでに多くの「できない」「向いていない」を救ってきたスタンフォード大学の人間行動学の権威である名教授ジョー・ボアラーによって著された、「無敵」のマインドセットを作るための6つのステップを学べる1冊です。

マインドセットに関するQ&A

ここまで企業経営に重要な役割を果たすマインドセットについて、網羅的に解説してきました。

最後に、マインドセットに関してよくいただく質問をまとめました。

Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてください。

人のマインドセットは教育・コーチングを受けることで変えられる?

マインドセットの形成には性格やこれまでの経験が大きく影響しているため、すぐに変えることは困難です。

しかしながら、それぞれの従業員に適したアプローチをすることによってマインドセットを変えることもできます。

社内で研修を取り入れたり、リーダーがマネジメント方法を工夫してみたりするなど、マインドセット教育に力を入れることで従業員の仕事への向き合い方も変わってくるでしょう。

マインドセットを変革するためにセミナーは必要?

マインドセットの変革のために、セミナーへの参加は必ずしも必要ではありません。

指導法の工夫や綿密な会議などマインドセット教育を徹底することによって、セミナーを活用せずとも従業員一人ひとりのマインドセットを変えることは可能です。

ただし、初めてマインドセット教育を導入したいと考えている企業であれば、専門の講師によるセミナーを有効活用することをおすすめします。セミナーをもとに、自社独自のマインドセット教育を考えてみると良いでしょう。

マインドセットの診断方法は?

自身が企業経営に効果的なマインドセットを持っているのかを診断するためには、「成長マインドセット」か「硬直マインドセット」かを調べる質問で判断することができます。

具体的な診断方法として、以下の例を参考にしてください。

(質問例)

質問1:才能は努力をすれば伸びると思いますか?

【解答】

伸びると思う。→成長マインドセット

②伸びると思うが、元々才能があるほうが才能は伸びやすいと思う。

③才能は生まれつきのものなので、基本的に伸びるとは思わない。→硬直マインドセット

質問2:新しい仕事にチャレンジしたいと思いますか?

【解答】

どんどんチャレンジしていきたい。→成長マインドセット

②チャレンジしてみたいが、やれるか不安。

③できれば現状維持で新しい仕事にはチャレンジしたくない。→硬直マインドセット

質問3:仕事がうまくいかない時に、耐えることは簡単だと思いますか?

【解答】

壁にぶつかることが楽しいとさえ感じる。→成長マインドセット

②仕事が辛くなる。→硬直マインドセット

③簡単ではないが、うまくいかないことに取り組むことにやりがいを感じる。

基本的には、仕事に対してポジティブな回答をする人は「成長マインドセット」、ネガティブな回答をする人は「硬直マインドセット」であると判断できます。

自社の従業員のマインドセットを診断する際のアンケート例として、取り入れてみてください。

マインドセットを有効に活用して事業拡大を目指そう

企業経営において個人や組織が成長マインドセットを獲得して仕事に取り組むことで、より事業を拡大することが可能となります。

企業経営に有効な成長マインドセットを従業員に獲得させるためには、コーチングや研修などのマインドセット教育の導入がおすすめです。

効率的な事業の拡大のためにも、それぞれの従業員の役職や立場に適したマインドセット教育の導入を考えてみてはいかがでしょうか。

従業員一人ひとりのマインドセットを成長マインドセットに切り替えることによって、より良い企業経営を実現しましょう。

監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

 

免責事項
当レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではございません。また、本内容は現時点での判断を示したに過ぎず、データ及び表現などの欠落、誤謬などにつきましては責任を負いかねますのでご了承ください。当レポートのいかなる部分もその権利はククレブ・アドバイザーズ株式会社及びククレブ・マーケティング株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、無断で複製または転送などを行わないようお願いします。