【2026年版】物流業界を取り巻く動向と課題 – 2024年問題の影響が本格化。企業に求められる対応とは
物流業界はEC市場拡大で需要が増加する一方、「2024年問題」によるドライバー不足やコスト高騰などが深刻化し、効率化や生産性向上が急務となっています。本記事では、物流業界の市場規模や見通し、最新動向、各企業共通の経営課題を解説します。
※本記事では、物流業界に特化して最新動向を解説しています。全業界の動向はこちらの記事をご参照ください。
https://ccreb-gateway.jp/reports/industry-trends-2026/
物流業界を取り巻く動向
トレンドキーワードから見る物流業界の経営課題
物流業界の市場規模と成長予測

国土交通省によると、物流業界の営業収入は約32兆円と、全産業の約2%を占めています。また、従業員数は約223万人と全産業の約3%を占めており、物流は経済や人々の生活を支える社会インフラとなっています。
【国内需要】B2B市場は減少傾向、B2C市場は緩やかな拡大
みずほ銀行の産業調査部によると、物流の国内需要においてB2B市場は短期、中期とも減少基調、B2C市場は短期、中期とも緩やかな拡大が予想されています。
国内トラック輸送量(B2B市場)
2025年度は、生産関連貨物の減少や建設関連貨物の減少の影響で、全体としては前年度比▲0.9%となりました。2026年度も引き続き建設関連貨物を中心に減少が継続するため、全体で同▲1.2%と予想されています。
2030年度にかけても、年率▲1.2%と同様の傾向が継続すると見込まれています。
宅配便個数(B2C市場)
2025年度は、EC市場規模の拡大に伴い、前年度比+1.6%、2026年度も同+1.6%と増加が予想されています。2030年度にかけては、人口減少の影響を受けつつも、EC市場規模は拡大し年率+1.1%での成長が見込まれています。
参照:物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題|国土交通省
参照:日本産業の中期見通しー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行
物流業界を取り巻く動向

現在、物流業界は以下のような要因を抱えています。
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- 人材不足の深刻化と2024年問題の影響による人的リソース不足
- 改正物流関連二法への対応(2026年問題)
- 物流コスト上昇などによる収益性の悪化
- 物流DXの遅れによる生産性・競争力の伸び悩み
- 外部環境・サステナビリティリスク
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人材不足の深刻化と2024年問題の影響による人的リソース不足
トラックドライバーを中心とした慢性的な人手不足に加え、2024年4月からはトラックドライバーの時間外労働上限規制が適用されました(いわゆる「2024年問題」)。これにより、物流業界の輸送能力が低下しています。
2026年はこの「2024年問題」の影響が本格化すると見られており、効率化による輸送力強化といった経営戦略の見直しが不可欠となります。
改正物流関連二法への対応(2026年問題)
物流業界では「2024年問題」に続き、新たに「2026年問題」が迫っています。
「2026年問題」とは、2025年4月より段階的に施行されている「改正物流関連二法(物流効率化法・貨物自動車運送事業法)」に関連するものです。これに伴い、2026年4月からは物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられます。
「2024年問題」では運送業者やトラックドライバーにその責任が課されていましたが、「2026年問題」は荷主側に焦点が当たっている点が最大の特徴です。
物流コスト上昇などによる収益性の悪化
燃料費や人件費を中心に、物流コストが上昇しています。それにも関わらず、価格競争や荷主優位の取引慣行といった要因により、荷主への適正な運賃値上げ交渉が進んでいません。
物流DXの遅れによる生産性・競争力の伸び悩み
物流業界では、長年続いてきた商慣行やアナログ業務が残存し、業務の標準化・自動化・データ活用やDXが進みにくい状況にあります。
結果として生産性向上が限定的となり、人手不足やコスト上昇といった課題へ対応できず、競争力が伸び悩んでいる企業も少なくありません。
外部環境・サステナビリティリスク
脱炭素対応や環境規制への投資負担が増加する中、自然災害などの環境リスクや地政学リスクが高まっています。不確実性が高まる外部環境に対して、適切なサプライチェーンマネジメントが求められています。
【2026年版】トレンドキーワードから見る物流業界の経営課題
人口減少や労働力不足、2024年問題への対応、地政学リスクや景気変動など、物流業界を取り巻く不確実性が高まる中、物流業界の企業はどのような対応をしているのでしょうか。
本章では、物流各社の中期経営計画や有価証券報告書から言及率が増えているトレンドキーワードをピックアップ。共通して見えてきたのは、持続的成長に向けた事業基盤の再構築と収益性向上を重視する姿勢です。

「ホットワード分析」機能を用いて、倉庫・運輸関連企業の2025年中期経営計画書を対象に前年比企業数増減率にてキーワードを抽出。
2026年においては「労働集約型モデルによる売上拡大」から「資本コストを意識した企業価値重視」への転換がうかがえます。
①人材不足と2024年問題への対応
既出の通り、「2024年問題」により人手不足に拍車がかかっています。これに伴う業界再編の動きは、2026年も継続する見込みです。
2024年4月にトラックドライバーの時間外労働上限規制が適用されましたが、これにより、従来の体制では荷物を運ぶことが難しくなりました。荷物が運べなくなるリスクが高まる中、人材確保は喫緊の経営課題となっています。また、効率化のための新技術を活用できる人材の育成も急務となっています。
②地球環境問題への対応
日本は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル(脱炭素社会)」の実現を掲げています。これを受けて、物流業界においても地球環境問題に対する適切に対応が求められています。
2026年4月からは、CO2排出量が一定規模以上の事業者に対し「GX-ETS(排出量取引制度)」が導入される予定です。
③DX・生産性向上
労働力制約を背景に、生産性向上は喫緊の経営課題として位置付けられています。基幹システムの整備やDXを通じた省人化・高度化によって、中長期的に生産性を高めるための取り組みが進められています。
④成長領域への注力
国内市場の制約を踏まえ、成長領域への注力や業務提携を活用した事業展開が志向されています。特にインドやインドネシアといった海外市場は、将来の収益機会として位置付けられています。
⑤業務提携による総合物流の実現
構造的な輸送能力不足が深刻化する中、車両やドライバーを豊富に抱える宅配・特積み事業者と、強固な顧客網を有する3PL事業者との提携が広がっていく可能性があります。
2025年10月には、日本郵便とロジスティードホールディングスが資本業務提携契約を締結しました。これにより、国際物流からラストワンマイルまで一気通貫で運営する総合物流企業としての事業基盤の整備が進む見通しとなっています。
⑥物流インフラ老朽化への対応
物流インフラの多くが建設から50〜60年を経過しており、老朽化が進んでいます。物流インフラの老朽化は、事故リスクや輸送効率低下、輸送コストの増加を招きかねません。短期的な効率化だけでなく、持続可能な事業基盤へ整えることが重視されています。
【2026年版】物流業界を取り巻く動向と課題 まとめ
本記事では、物流業界の市場規模や見通し、最新動向、各企業共通の経営課題を解説しました。
持続可能な物流が求められる中、人手不足の深刻化や物流関連二法(物流効率化法、貨物自動車運送事業法)の改正により、生産性向上・効率化のための取り組みが不可欠となります。
この潮流を受けて、大手物流事業者を中心とする荷主の囲い込みや、輸送能力強化に向けたM&Aや資本・業務提携も増加しそうです。
参照:日本産業の中期見通しー向こう5年(2026ー2030年)の需給動向と求められる事業戦略ー|みずほ銀行
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監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立し、2024年11月に創業から5年で東証グロース市場に上場。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。


