個の力を活かせる企業が伸びる理由。組織力を高めるためにリーダーに求められる役割をプロが解説
組織力の強化は、事業拡大を目指す企業にとって最重要課題の1つに挙げられます。
しかしながら、現在の職場でチームを上手くまとめられず悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
組織力を最大化させるためには、個の力を活かし、チームワークを高めるマネジメントが必要です。
本記事では、メンバー一人ひとりの個の力を引き出し、組織力を高めるためのポイントを解説します。マネジメントや個を活かすチームづくりに悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
企業に必要な個の力とは?
個の力とは、企業に所属するメンバー一人ひとりの個人の能力です。
具体的には、コミュニケーション能力やデータ分析力、情報収集能力などの力のことを指します。
組織に所属するメンバー一人ひとりの能力が高ければ、生産性が高まり、利益率の向上や事業拡大に繋げることができます。
個の力を高めることは、企業経営をしていく上で重要なポイントとなります。
生産性の高い組織は、個の力を最大限活かしている
企業は、個の力を最大限活かす組織経営を行う必要があります。
近年、人的資本経営が注目されています。企業の人材を「コスト」ではなく「資本」と捉え、社員一人ひとりが活躍できる組織を目指す人的資本経営は「個の力を最大限活かすための経営手法」だと言えるでしょう。
2023年3月期決算からは、対象企業に人的資本の情報開示が求められるようになりました。こうした政府や経済界の取り組みも後押しとなり、今後より一層人的資本経営は広がっていくものと考えられます。
つまり、「個の力を最大限に発揮できる環境と戦略」が企業にはより求められるようになるのです。
「個の力を最大限に発揮できる環境と戦略」を実現するためにも、企業は個の力を高めることのメリットやリーダーに求められる役割を理解することが大切です。
個の力を高めることのメリット
個の力は、企業経営を行う際にさまざまな場面で役立ちます。個の力を高めることで、具体的には以下のようなメリットがあります。
- 生産性が向上して企業の利益増加につながる
- 組織のモチベーションが向上する
それぞれ1つずつ確認していきましょう。
生産性が向上して企業の利益増加につながる
企業経営を行う上で、チーム一人ひとりの能力の高さは重要です。
仕事の処理能力や交渉力が高い社員で組織が構成されていると、組織全体の生産性が高まります。
そのため、組織全体で個の力を高める取り組みを行うことによって、より一層利益を増加させることが可能です。
人材不足時代における生産性の向上
近年、少子高齢化により人材不足が深刻な社会課題となっています。
人材不足は企業の生産性に大きく影響を与えます。ロバート・ウォルターズの調査によると、約4割の企業が「人材不足によって生産性が低下した」と回答しているそうです。
人材不足時代において、企業が優秀な人材を獲得することは非常に難しいでしょう。
その点、すでにいる社員たちの個の力を向上させることができれば、人材不足時代においても企業の生産性を維持、または向上させていくことができます。
組織のモチベーションが向上する
チームメンバー一人ひとりの個の力を高めることで、組織のモチベーション向上につながります。
熱心に仕事に取り組み高い成果を上げる社員が身近にいることで、他のメンバーにも良い影響が与えられるでしょう。
メンバー一人ひとりの個の力を高めることで、組織全体としてのモチベーションの底上げにつながります。
組織に求められる個の能力
経営目標を達成するためには、一人ひとりの能力が重要です。
組織に求められる個の能力にはさまざまなものがありますが、特に大切な力は以下の5つです。
- コミュニケーション力
- モニタリング力
- 積極性
- 自制心
- 向上心
1つずつ確認していきましょう。
コミュニケーション力
組織に求められる個の能力には、コミュニケーション力があります。
良い仕事を行うためには、社内外のさまざまな人と意見を交わしながら進めていくことが必要です。
コミュニケーション力が不足していると、組織として円滑な業務進行に支障をきたしてしまいます。
そのため、組織にはコミュニケーション力が求められます。
モニタリング力
モニタリング力とは、自分自身やチームの仕事の進捗状況や成果物の状況を把握する能力です。
組織の一員としてそれぞれの社員が自身の役割を全うするためには、自身やチームの現状把握を行うことが必須です。
自身の仕事がどこまで進んでいるのかをチーム全体で報告し合うことで、円滑な業務進行につながります。
また、チームメンバーの仕事状況を把握することによって、仕事に関するフォローも可能となります。
積極性
仕事などのさまざまな場面で積極性は重要です。仕事を行ううえで、積極的に仕事を受けることによって多くのことを学ぶことができます。
一方、受動的に与えられた仕事を行うだけでは、スキルや知識の向上が緩やかとなってしまいます。
そのため、物事に取り組む際には積極性が求められます。
自制心
自制心とは、自身の感情や欲望をうまくコントロールして抑え込む力を示します。
業務進行でやるべき重要なことがある際に怠けてしまっては、一向に仕事が進みません。
業務を行ううえで、自身を律してやるべきことを行うためにも自制心は重要です。
向上心
業務を行ううえで、向上心は欠かせません。業務に取り組む際の向上心の有無で、仕事の成果も変わります。
日頃から自身のスキルアップや知識の習得に取り組むことで、社内でも認められてさまざまな仕事を任せてもらえるようになるでしょう。
そのため、向上心は組織に所属するうえで必要不可欠です。
個の力を高めるためのリーダーの役割
個の力をどのように高めれば良いのか、悩んでいるリーダーの方も多いことでしょう。
組織のメンバー一人ひとりの個の力を最大限に高めるためには、その力を引きだすリーダーのマネジメント力も大切です。
リーダーは個の力を最大限に引き出せるように、以下の3点を意識しましょう。
期待を寄せている言葉がけをする
上司からの期待を感じることができれば、誰でも嬉しいはずです。
組織をマネジメントするリーダーは、チーム一人ひとりに期待を寄せている言葉がけを行うようにしましょう。
リーダーに認められていると感じることで、社員は期待に応えようと仕事に熱意を持って取り組むようになります。
目標達成時に皆の前で褒める
個人が決められた目的を達成できた場合、皆の前で褒めることも大切です。
褒められることによって承認欲求が満たされ、その後の仕事へのモチベーションを高めることができます。
メンバーが目標を達成した際は、皆の前でしっかりと褒めるように心掛けましょう。
1対1でのミーティングの場を設ける
メンバー一人ひとりと1対1でミーティングをする場を設けることも大切です。
1対1でミーティングを行うことによって、日頃メンバーが抱えている悩みを聞き業務の改善を行うことができます。
また、1対1でミーティングをすることによって、メンバーが「自分を気にかけてくれている」と感じることができます。
そのため、仕事を行ううえでの信頼関係も高まります。
個の力に頼りすぎるのは危険?
社員一人ひとりの個の力を高めていくことで、結果的に組織全体の事業目的達成に大きな影響を与えます。
しかしながら、社員一人ひとりの「個の力」を高め、その個人に頼るという意味ではありません。どれだけ優秀な社員だったとしても、その個人だけに頼りすぎるのは危険です。
近年は、VUCA時代と言われているように、物事の不確実性が高く、将来の予想が困難な状況です。これはビジネス環境においても同じことが言えます。
このように先行きが不透明な中で企業経営を続けるためには、組織力がとても重要になってきます。「チームレジリエンス」という言葉も出てきているように、一人ひとりの個の力を掛け合わせて、チームとして、あらゆる状況に対応できる組織を作っていくことが必要なのです。
チームワークを高めるメリットは?
先述の通り、いくら個の力を高めたとしても、その力を組織として最大限に活かせなければ企業の業績は伸びません。
チームワークを高めることで、具体的には以下の3つのメリットがあります。
- 一人では達成できない困難な目標が達成できる
- チームメンバーのモチベーションが向上させられる
- 柔軟性が生まれる
個の力を最大限に活かせるようチームワークを高めましょう。
1人では達成できない困難な目標が達成できる
仕事を行ううえで、1人で行える作業量や出せる成果には限界があります。
しかし、チームワークを高めることによって、メンバーと協力し1人では達成できない困難な目標の達成が可能となります。
また、チームワークを高めることでチームメンバーの欠点を補うことができ、組織としてより高いパフォーマンスの発揮につながります。
チームメンバーのモチベーションが向上させられる
仕事に対して「やる気のある日」や「やる気が出ない日」などは、誰しも経験したことがあると思います。
1人で仕事をしていては、毎日高いモチベーションを維持するのは困難です。
しかし、チームワークが高い組織にいることによって、周りの仕事ぶりに触発され自身のやる気を高めることができます。
チームワークを高めることで、組織に良い雰囲気が生まれ高いモチベーションを維持することが可能です。
柔軟性が生まれる
人によって物事の考え方は異なります。そのため1人でプロジェクトを行うと、その人のみの視点でプロジェクトを進めることになります。
チームワークを高めることで密なコミュニケーションが生まれ、仕事に対してさまざまな意見交換を行うことが可能です。
その結果、柔軟な考え方で仕事に取り組むことができるようになります。
チームワークを高めるためのリーダーの役割
組織のチームワークは、放置していても高くなることはほぼありません。チームワークを高めるためには、その組織を管理するリーダーのマネジメントが重要です。
チームワークを高めるためのリーダーの役割を以下で紹介するので、参考にしてください。
組織のビジョンを共有する
チームワークを高めるためには、組織のビジョンを共有することが大切です。
組織がどこに向かって事業を進めているのかが明確でないと、チームのまとまりが生まれません。
ビジョンを共有しチーム全体の方向性を示すことで、団結力が高まりチームワークの向上につなげることが可能です。
メンバー1人ひとり役割の明確化
仕事を行ううえで、誰がどの仕事をするのかが不明確であると仕事にまとまりが生まれません。
メンバー一人ひとりの役割が明確になることで、自身の取り組むべき仕事を理解することが可能です。
役割の明確化によって、組織の中で自身がどの役割を担っており、周りにどのような影響を与えるのかが認識できます。
自身の仕事が周りにどう影響するのかを考えながら取り組むことで、周りとのコミュニケーションの活発化にもつながり、よりチームワークを高めることが可能です。
具体的かつ達成可能な目標設定
組織の団結力を高めるために、具体的かつ達成可能な目標を設定することは重要です。
目標が抽象的過ぎると、何をどう頑張ればよいのかがイメージできずチームのまとまりも生まれません。
また、明らかに達成が不可能な目標もチームのやる気の低下につながります。
何に取り組めば良いのかが明確で、チームで頑張れば達成できる目標を設定することによって、組織の団結が生まれチームワークの向上が可能です。
個の力を活かせる企業は強い
今回は、個の力を引き出し、組織力を高めるためのポイントについて解説しました。
「人」を資本とする経営が注目を集める昨今において、「個の力を最大限に発揮できる環境と戦略」が企業にはより求められるようになっています。
メンバー一人ひとりの個の力を高めるだけではなく、個の力を最大限活かすためのチームワークと、リーダーにはそれを束ねるマネジメント力も必要です。
CCReB GATEWAYは、「世の中の流れがわかるB2Bポータルサイト」です。ビジネスリーダーに向けて経営やマネジメントのヒントとなるような情報発信やツールを提供しています。組織力を高め、自社の事業をより成長させていきたいと考えている方はぜひご参考になさってください。
監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。
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