【速報】2025年最新中期経営計画におけるホットワードは? ~中計開示企業の1/3が新中期経営計画を公表!激動のビジネス環境における話題のホットワードは?~
ククレブ・アドバイザーズ株式会社のシンクタンク部門であるククレブ総合研究所では、多くの3月決算企業が決算発表と同時に新中期経営計画(中計)の公表を行うタイミングで、毎年恒例の“CCReB GATEWAY”のホットワード分析機能を利用し2025年度の経営トレンドについて考察を行った。
※2025年1月1日から本レポート執筆時点(7月1日)までの全上場企業における中計の公表件数は約800件程度であり、毎年ほぼこの時点でその年の中計の大半がアップデートされることから、速報性の観点からこの時点で分析を行った。なお、本レポートにおける中計の抽出条件は、当該ホットワードの言及企業数の昨年対比の比較(企業数増減率)にて行った。
2025年の中計ホットワード(TOP100)
昨年同時期のホットワードとしては「資本効率向上」「企業価値向上」などのワードが昨対比で急上昇してきたが、すでに資本効率は完全にトレンド化し、上昇率としては頭打ちとなった。コロナ禍の時期には、ホットワードは特定のワードに集中する傾向が強かったが、ここ数年は特定のワードというよりは、個別のワードに分散する傾向となっている。
そのような中、2025年の経営ホットワードとしては、「株主還元」「海外M&A」「DX」などのワードが昨対比で急上昇トレンドとして確認できた。以下詳しく見ていくものとする。
▽▽昨年のトレンドを見たい方はこちら▽▽
【速報】2024年最新中期経営計画におけるホットワードは? ー 中計開示企業の1/3が新中期経営計画を公表!激動のビジネス環境における話題のホットワードは? ー
株主還元がトレンドワードに急上昇
「株主還元」がホットワードTOP100で全体の2位に。
株主還元については、昨今のPBR(株価純資産倍率)向上施策として、各企業の中計に多く出現している。2023年に東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する要請により、上場各企業に対し企業価値の向上を迫ったが、これを受け多くの企業がPBRの向上施策として、株主還元の強化を図っており、そのトレンドが今回公表する2025年の新中計において出現した形となった。
多くの企業が中計の対象期間を3年としていることから、2024年時点でもすでに「株主還元」を強化する経営方針は多く出現していたが、タイミング的には2025年の中計公表の方がその数は多かった模様である。今後も企業価値向上に関連する経営方針はホットワードの中心となるものと思料する。
海外M&Aも上位に出現
「海外M&A」がホットワードとして急上昇した。
今後、人口減少により国内需要の縮小が課題となる中、当然のことながら多くの企業において新たなビジネスの拡大戦略として海外にM&Aを求める動きが見られる。
円安基調が続く中ではあるが、
・インオーガニック領域における海外M&A戦略(小売業・吉野家ホールディングス)
・現地顧客に支持される「日常・定番・地域密着」(海外M&A基本方針)(小売業・クリエイト・レストランツ・ホールディングス)
など、国内で飲食店舗を手掛ける小売業などで「海外M&A」の経営方針が目立っている模様である。また同じく、国内需要の縮小が予想される建設業などでも、
・「海外M&A」投資の本格化(建設業・大気社)
など、M&A自体は国内・海外問わず経営戦略の中心となっていくものと思料する。
▽▽上場企業のM&A最新動向はこちら▽▽
DX(デジタルトランスフォーメーション)も強力ワード
「DX」系のワードも上位を占めた。
昨年以上に「生成AI」がブームとなっている中、「AI」系ワードもTOP100内に出現しているが、ビジネスのデジタル化という経営戦略を掲げる企業は数・業種数ともに広範囲に及んでいるが、その中でも建設業が多い印象である。
・建設作業所・事業所のDXを通じて、生産性と働き甲斐を追及(建設業・戸田建設)
・経営の推進力向上(IT・DXへの取組)(精密機械・リズム)
・組織・デジタル変革(部門横断型DX推進組織の設立)(建設業・三機工業)
「AI投資」というワードもTOP100に出現しているが、労働力の減少という大きな課題に対応するために、DX投資は各社必須の経営戦略であり、「DX」「AI」は毎年ホットワードの上位に出現するほどトレンド化しているホットワードと言える。
その他の注目のホットワード
その他、興味深いところで「快適な移動」「南アフリカ」を取り上げる。
「快適な移動」は、主に電鉄系(陸運業)にて多く出現しているが、単なる移動の快適さ、という意味だけではなく、「多くのまちとまち、まちと人、人と人をつなぐ」(陸運業・JR九州グループ)
という人脈でも使われており、インバウンド需要で多くの外国人なども首都圏のみならず、地方に積極的に移動する中、陸運業の経営方針として多くの鉄道企業の中計にこのワードが出現していることが興味深い。
・成田空港を利用するお客様への快適な移動手段の提供(陸運業・京成電鉄)
・グループ・マーケティング(便利な購買・地域サービス向上・快適な移動)(陸運業・相鉄ホールディングス)
なお、「南アフリカ」も興味深い。毎年のホットワードではある特定の国が上位に上がることがあるが、5社がこの「南アフリカ」に言及したために、ホットワードTOP100にランクインした。
その他、ホットワードTOP100にはランクインしなかったが、今後の注目として、「SMR(小型モジュール炉)」を挙げたい。
SMRとは小型でモジュール化された原子炉の事を言うが、次世代のエネルギーシステムの中核を担う存在として大きな期待を集めている。エネルギー関連のワードは毎年ホットワードTOP100にランクインすることも多く、今後のランキングへの出現を注目したい。SMRに興味のある方は、下記のリンクを参照ください。
最後に
以上、ククレブ総合研究所では本年もこの時期に2025年のホットワードを速報としてお伝えした。世の中の流れがわかるB2Bポータルサイト”CCReB GATEWAY“もリリースから3年以上が経過し、会員登録数も3,000人を超え、企業経営者から、企画部門、総務部門、営業部門など多くの方々に利用頂いております。
日々企業が開示する、中計や有価証券報告書(有報)の自動解析からホットワードを可視化しているが、ストックしている中計や有報は2018年から継続して解析を行っていることから、実際に会員登録(無料)し、利用頂くとトレンドの推移とその変化の早さが実感できるため、実際に利用頂き、本レポートに記載のホットワードの言及企業の中計などを効率的に確認頂くことで、ビジネスパーソンの皆様の一助になれば幸いです。
【参考:各年度のホットワードTOP100のランキング1位】
2022年:サプライチェーンの混乱
2023年:物価高騰
2024年:工場拡張
2025年:株主還元を両立
2026年:?????
激変する世の中を象徴する経営ホットワードに引き続きご注目ください!
ククレブ総研では今後も継続的に企業の経営動向を調査し、本サイトで経営トレンドを定期的に発信して参ります。
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免責事項
※当レポートに掲載した図表は企業の開示資料において固定資産の売却/譲渡に関するリリース文書をもとに、ククレブ総合研究所にて集計しております。
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監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超え、CRE戦略の立案から実行までを得意としている。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立し、2024年11月に創業から5年で東証グロース市場に上場。
データマーケティング事業においては2021年10月にククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。