2022年注目のホットワード大予測

~2021年ホットワードから読み解く2022年に続く注目の経営戦略~

~前年同様に環境系ワードが上位を占める~

 ククレブ・アドバイザーズ株式会社のシンクタンク部門であるククレブ総合研究所では、2021年1月から12月の間に提出された中期経営計画書(以下「中計」)について、本年3月1日にリリースされた“CCReB GATEWAY”のホットワード分析機能を利用して各業種のホットワードについて分析を行った。本レポートではその中から特に特徴のあるホットワードを持つ業界に絞って紹介を行う。

※ホットワードの定義:本レポートではホットワードを対前年比の「登場増加率」の上位ワードを分析の対象とした(一部ホットワード出現で前年比較が難しい業種については単純な「登場数」を採用)。

■業界全体:トレンドは「カーボンニュートラル」「ESG」、コロナ関連ワードは対前年では大幅減少

 まず2021年に中計を公表した企業数は約860社と前年の約420社から、大幅に増加した。2020年はコロナ感染症が日本で確認された初年度であり、企業動向の先行きの不透明感から中計の公表を見送る企業も多かったが、2021年はウィズコロナの中で新しい働き方と価値観が根付き始め、2020年には多くの企業の中計に登場した「コロナ感染症」などのコロナ関連ワードが、2021年では大幅に出現率が減少した。
 一方で、2020年同様、環境系ワードである、カーボンニュートラルやESGを中心とする持続可能な社会の実現を目標とする企業は全業種満遍なく見られ、特にカーボンニュートラルの増加率は前年比2,602%と大幅な増加を記録しホットワードのTOP1となった。
 カーボンニュートラルでは、太平洋セメント株式会社(ガラス・土石製品)、電源開発株式会社(電気・ガス業)、ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社(鉄鋼)などで多く出現している。ESGでは、株式会社カナミックネットワーク(情報・通信業)、株式会社ゆうちょ銀行(銀行業)大日精化工業株式会社(化学)などで多く出現している。 

CCReB GATEWAYホットワード画面より

■保険業:「ウェルビーイング」が次のトレンド?

 2021年の中計で、他の業種に先駆け「ウェルビーイング」を経営目標として掲げる業種として保険業に注目したい。ウェルビーイング経営とは、社員の幸福感、健康が働き甲斐を通じてモチベーションアップと業務実績に直結するという考え方であり、コロナ禍において様々な生活様式が変化する中でより強く意識されつつあるワードであり2022年の中計ではよりトレンドとして保険業のみならず多くの企業の経営目標として意識されるものと予想する。
 ウェルビーイングでは、株式会社アドバンテッジリスクマネジメント(保険業)、株式会社丸井グループ(小売業)株式会社西武ホールディングス(陸運業)などで出現している。

■銀行業:金融機関の新しい姿「本業支援」「新たなビジネス」がトレンドに?

 他の業種にはないホットワードとして「本業支援」が出現している銀行業についても、貸出金利の低下による利益率の悪化、地方経済の停滞による地方銀行の再編などで、資金の融資のみならず、地方活性化のためのビジネスマッチングや、ネットワーク支援など、地方における強力なネットワークと人脈を有する金融機関で、「本業支援」とそれに伴う「新たなビジネス」を生み出す経営目標が意識されつつある。
 本業支援では、株式会社じもとホールディングス、株式会社福島銀行、株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループなど、銀行業で軒並み多く出現している。各行とも、「地方創生」を念頭に置いた経営目標であり、テレワークで働く場所を選ばない昨今、2022年の中計ではより「地方」を意識したワードが出現するものと予測する。

■小売業:「データ活用」を制する者が小売りを制す?

 小売業では、「データ活用」「顧客データ」などのワードが他業種に比べ上位に挙がった。コロナ禍により、多くの商業施設が休業や時短を迫られた中、より効率的に消費者にアクセスする事業戦略を求められることから、その他「コスト構造」や「新サービス」といったワードなども上位に挙がっている。データ活用では、サツドラホールディング株式会社、株式会社近鉄百貨店、エイチ・ツーオー リテイリング株式会社などの小売業の他、株式会社ユビテック(電気機器)、三菱マテリアル株式会社(非鉄金属)、ヤマトホールディングス株式会社(陸運業)でも多く出現している。

■精密機器:「人材育成」が他業種に比べ上位に

 「人材育成」については、全業界において課題となっているワードであるが、前年比の増加率という意味で精密機器において上位に挙がった。人材ワードについては、昨今の労働者不足や製造業におけるノウハウの継承者の不在など社会的にも課題となるワードである。
 人材育成では、株式会社松風(精密機器)、リズム株式会社(精密機器)の他、株式会社デコルテ・ホールディングス(サービス業)、株式会社福岡中央銀行(銀行業)などで多く出現している。

■機械:「宇宙」時代の幕開けか?先進技術で世界と戦う

 2020年の中計ではほぼなかった「宇宙」が機械において上位にランクした。宇宙旅行で話題となったこのワードであるが、全業種でみても、21社で59回のワードが出現している。出現業種も多種に亘り、住友精密工業株式会社(機械)の他、第一カッター興業株式会社(建設業)、アドソル日進株式会社(情報・通信業)、NTN株式会社(機械)、日本航空電子工業株式会社(電気機器)、三井物産株式会社(卸売業)と、幅広く出現しており、2022年の中計でも出現率の増加を注目したい。

■情報・通信業:新登場ワード「トークン」は、今後トレンドとなるか?

 同じく新登場ワードとして「トークン」が情報・通信業で上位にランクした。トークンとは、従来の硬貨や貨幣の代わりに使うデジタルマネーや認証デバイスなどを指す言葉であるが、新しい技術や制度として今後普及が期待されており、2022年の中計でもデジタル系のワードの出現率の増加が予想される。
 トークン(トークンサービス)では、株式会社インターネットイニシアティブ(情報・通信業)、日本電気株式会社(電気機器)、株式会社TOKAIホールディングス(卸売業)などで出現している。

■陸運業:「職場環境」を意識した経営で事業構造改革を行う

 先に述べた「ウェルビーイング」や「人材育成」など、従業員を意識した経営が今後ますます重要になる中、「職場環境」が陸運業のTOPホットワードとなった。昨今のEC市場の拡大に伴い、モノを運ぶ重要なインフラとなる陸運業では、トラック運転手不足や、トラック運転手の長距離輸送の制限など人材に関する課題を抱えている業界であり、それを意識して「職場環境」の改善や、倉庫の「自動化」「拠点配置」など、事業構造の改革が今後より進むものと予想される。職場環境では、名鉄運輸株式会社、ヤマトホールディングス株式会社、トナミホールディングス株式会社、福山通運株式会社など、多くの運輸企業において、より職場環境を意識した経営目標が掲げられている。

■2022年は「環境」「ESG」「人材」「サプライチェーン」に注目

 ~ESGの中でも社会S(Social)に注目~

 以上、CCReB GATEWAYを活用して、各業種の2021年のトレンドワードを分析し、2022年のトレンドについても言及を行った。2020年の中計はまさにコロナ一色であったが、2021年はウィズコロナにおける新しい時代の経営課題への対応が多く出現した。2022年は2021年に初登場したワードがより順位を上げトレンド化していくのか、そしてすでに2022年に中計を公表した企業でも上位に出現し始めている「サプライチェーンの混乱」を始めとした企業活動・経済活動に大きな影響を与える物価に関連したワードなども多く出現するものと予想される。引き続き「環境系ワード」は多くの企業の経営目標となるのは間違いないが、ESGの中でも、特に社会のS(Social)に関連して、「ウェルビーイング」「地方創生」などに注目したい。
 ククレブ総研では、今後もトレンドワードの予測を定量的に行う仕組みを現在検討中であり、次のトレンドを先読みしながらマーケティング活動を行っていく予定です。今後の企画にもぜひご注目ください。

 


 

【ご参考:ホットワード分析_検索機能の操作紹介】
 操作マニュアルをご用意しておりますので、ご参照頂きながらご興味のある企業・業種等の分析・比較検証を行って頂くことで、企業・業界動向分析方法の幅を広げて頂ければと存じます。

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