総研レポート・分析

東証適時開示資料から読み解くM&A最新動向(簡易調査)

TOP10のM&A業種トレンドは大きな変化なしも、TOP10以下は変動激しい

 世の中の流れがわかるB2Bポータルサイト“CCReB GATEWAY”では「IRストレージ機能」において、東京証券取引所の提供する東証APIサービスを活用し、適時開示情報を独自の観点から、「固定資産譲渡」「業績関連」「経営」「M&A」「ESG」「人事」「その他」に分類し、利用料無料で効率的にリリースへのアクセスを可能としている。

 今回、ククレブ・アドバイザーズ株式会社のシンクタンク部門であるククレブ総合研究所では、その中で「M&A」に関するリリース資料を2018年1月1日から2022年6月30日まで集計し、以下に纏めた。

(注)CCReB GATEWAY IRストレージ機能において「M&A」に分類されるリリースは、「株式取得(子会社化を含む)のお知らせ」「事業譲渡・譲受のお知らせ」その他「組織再編のお知らせなど」様々なリリースを含むが、これらのリリースを個別に仕訳することなく、単純に年間にリリースされた件数を追うことによって大まかな業種毎の動き・トレンドを分析していることをお含み置きください。

 

2018年から2022年(6月)まで年間でのM&A業種TOP10の顔ぶれはほぼ変わらない

<東証適時開示資料におけるM&A関連リリースの業種TOP10>

※CCReB GATEWAY「IRストレージ機能」よりククレブ総合研究所作成(以下同様)

 上図は、東証に適時開示された2018年1月から2022年6月までのM&A関連のプレスリリースを纏めたものである。これによると年間およそ2,000件強のリリースが公表されていることがわかる。件数によるランキングをつけると毎年多少の変動があるものの、概ねTOP10の顔ぶれには変化がないことがわかる。業種毎の企業数の違いが大きな原因とも言えるが、いずれにしてもTOP10に属する業種においては日々M&Aが発生していることが分かる。

業界再編圧力の強い業種のM&A関連リリースのペースが加速

<東証適時開示資料におけるM&A関連リリースの業種TOP10以下>

※内国法人・組合は有価証券報告書等の提出義務者ではないが適時開示を行っているためカウント

 続いて、TOP10以下を見てみる。TOP10以下となると一定程度の変動があることが分かる。2022年は半年が経過しているが、通年ペース(×2)で比較をしてみると、黄色のハイライトをした業種において、昨年のペースを上回るリリースがなされていることが分かる。「陸運業(例:NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社の日本通運株式会社 簡易吸収分割))」「繊維製品(例:株式会社オンワードホールディングスの連結子会社の異動(株式譲渡))」「石油・石炭製品(例:出光興産株式会社の西部石油株式会社の株式取得(子会社化))」など、古くからの老舗企業などが目立つ企業において、事業譲渡や企業再編などが発生している。下期においては、当該業種をM&Aトレンド業種としてウォッチしていきたい。

 なお、M&Aにおいては不動産も取引の対象となることもあり、CRE戦略の観点からも要チェックと言える。

 

(参考)各年におけるM&A関連リリースのグラフ

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

 今回は「IRストレージ機能」を利用して、M&Aのリリースに関する分析を行ったが、CCReB GATEWAYの「IRストレージ機能」を活用することにより、カテゴリーごとの企業の動向を日々チェックすることが可能です。

 CCReB GATEWAYは会員登録(無料)頂くことにより様々な分析を行うことが可能となりますので、CCReB GATEWAY会員にご登録の上、ぜひご利用ください。

 

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