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マーケティングミックスとは?3つの手法(4P・4C・7P)と企業の成功事例を簡単に解説!

マーケティングミックスとは、複数のフレームワークを組み合わせて顧客の理想的な購買行動を設計するマーケティング手法です。

マーケティングミックスは、自社の利益を最大化するためのマーケティング戦略を立てるために有効です。

本記事では、ビジネスにおけるマーケティングミックスの重要性や活用時のポイントを解説します。

マーケティングミックスを活用した企業の成功事例も紹介するので、自社でマーケティングミックスを導入する際の参考にしてください。

マーケティングミックスの意味とは?

マーケティングミックスの意味とは?

マーケティングミックスとは、参入したい市場や自社が置かれた立場を踏まえて、複数のマーケティング手法を組み合わせて活用することです。

自社の商品を効率的に販売するためには、マーケティングに関するあらゆる知識・スキルを身に付ける必要があります。

マーケティングを行う際に1つのツールに頼るのではなく、複数のツールを用いて正しく市場や競合他社を分析することで、自社商品を効果的に販売することができます。

以下で、マーケティングにおけるマーケティングミックスの役割や重要性を確認します。

マーケティングミックスとはマーケティングにおける「実行戦略」

マーケティングミックスはマーケティング戦略全体のなかで、「実行戦略」に位置しています。

マーケティング戦略は、企業が商品の売上を伸ばすために立てるマーケティングにおける戦略のことで、以下の4つのステップで構成されています。

  • 環境分析
  • STP分析と基本戦略の策定
  • 実行戦略(マーケティングミックス)の策定
  • 施策の実行と評価

マーケティングにおけるそれぞれのステップや、実行戦略(マーケティングミックス)の役割について確認します。

ステップ①:環境分析

環境分析とは、自社のマーケティングの対象となる環境について市場の変化や競合他社・自社の強み・弱みなどを明らかにします。

市場環境を把握・分析することで、自社商品の売上を伸ばすための効果的なマーケティング方法を検討します。

ステップ②: 基本戦略の策定

環境分析の結果をもとに、大きな利益獲得が見込める市場や参入すべき市場を選定する「STP分析」を行います。

「STP分析」では、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの要素を分析することで、マーケティングの基本戦略を策定します。

ステップ③: 実行戦略(マーケティングミックス)の策定

「STP分析」により策定された基本戦略をもとに、自社商品の売上を伸ばすための実行戦略を立てます。

実行戦略では、マーケティングミックスを活用することで複数の観点を組み合わせた効果的なマーケティングを実施します。

ステップ④: 戦略の実行と評価

実際にマーケティングミックスを活用することで戦略の実行と評価を行います。

実行した戦略に対して正しく効果測定を行い、改善点を洗い出すことで、次回以降のマーケティング戦略をより効果的なものに改善することができます。

また、マーケティングの効果だけでなく、戦略の立て方や戦略を立てる際に用いたフレームワークについても見直すことで、更なる売上増加につなげることが可能です。

マーケティングミックスの重要性

企業が自社商品の売上を伸ばすためには、他社商品との差別化が重要です。

自社の商品を効果的に販売するためには、顧客の関心やニーズだけでなく、市場の性質や自社の優位性など様々な観点を考慮する必要があります。

マーケティングミックスを活用することで、多角的な視点からマーケティング戦略を考えることができ、効果的な商品販売が可能です。

マーケティングミックスに役立つ3つのフレームワークと特徴

マーケティングミックスに役立つ3つのフレームワークと特徴

マーケティングミックスの活用に役立つおすすめのフレームワークを3つ紹介します。

それぞれの違いを理解して、状況にあったフレームワークを活用してください。

マーケティングミックスに役立つフレームワークは以下の3つです。

  • 4P分析
  • 4C分析
  • 7P分析

それぞれ確認します。

フレームワーク①:4P分析

4P分析とは、企業が顧客の購買行動を決定させるためのマーケティング手法です。

4P分析には以下の4つの観点が含まれます。

  • 製品(Product)
  • 価格(Price)
  • 流通(Place)
  • プロモーション(Promotion)

4つの観点から自社商品を検討することで、他社商品への優位性を築くことができます。

以下で、それぞれの観点を確認します。

製品(Product)

製品(Product)では、自社商品のコンセプトについて検討します。

顧客が求める商品を作るために、品質、デザイン、購入後の保証、他社商品との差別化など様々な観点から考えることが重要です。

価格(Price)

価格(Price)では、自社が販売する商品の価格を設定します。

市場における相場や他社商品と比較することで、適切な価格設定を行います。

自社が取りたい顧客層や、市場における自社のポジションを意識した価格設定が重要です。流通(Place)

流通(Place)では、商品を顧客に届けるための流通経路を設定します。

流通経路は、実店舗での販売かインターネット上での販売かによって大きく異なります。

自社がターゲットとしている顧客層に合わせた販売経路を設定することが重要です。

プロモーション(Promotion)

プロモーション(Promotion)では、自社商品を顧客に知ってもらい、購入してもらうための宣伝方法を考えます。

商品を購入してもらうにあたって、ターゲットとする顧客に向けたプロモーション戦略は重要です。現代ではSNSやインターネット広告といったアプローチが多く取られています。

顧客から見た自社イメージに沿ったプロモーション戦略の検討が必要です。

フレームワーク②:4C分析

4C分析とは、商品購入までの意思決定に大きな影響を与える4つの観点から分析する手法を指します。

4C分析を活用することで、商品購入までの意思決定を細かく分析することができ、各観点における適切なアプローチ方法を検討することができます。

4C分析には以下の4つの観点が含まれます。

  • 顧客価値(Customer Value)
  • 顧客が払う経費(Cost)
  • 利便性(Convenience)
  • 顧客とのコミュニケーション(Communication)

4C分析を取り入れることでターゲットへの最適なアプローチが可能となり、商品の売上向上につながります。

また、「企業目線」で顧客の購買行動を考える4P分析と「顧客目線」で顧客の購買行動を考える4C分析を組み合わせることで、より良いマーケティング戦略を考えることが可能です。

4つの観点をそれぞれ確認します。

顧客価値(Customer Value)

顧客価値(Customer Value)では、顧客目線で自社商品の価値を考えます。

顧客のライフサイクルをイメージしたうえで、どのタイミングでどのような価値があるのか、詳細にイメージすることが重要です。

そのためには、顧客のライフスタイルについて深く理解し、潜在的なニーズを検討する必要があります。

顧客が払う経費(Cost)

顧客が払う経費(Cost)とは、商品を購入するために顧客が支払う費用を指します。

顧客が払う経費(Cost)を考える際は、商品を販売する企業の利益ではなく、顧客が支払う費用ベースで考える必要があります。

自社商品が、顧客が出す費用に見合った価値があるかをイメージすることで、商品の価格を見直します。

利便性(Convenience)

利便性(Convenience)とは、商品の購入のしやすさを指します。

価格が安く高品質な商品であっても購入のために遠方まで訪れる必要があれば、商品が購入される可能性は下がります。

利便性(Convenience)では、顧客が必要なタイミングでいかに商品を購入できるかについて考えます。

顧客とのコミュニケーション(Communication)

顧客とのコミュニケーション(Communication)では、商品の販売にあたってオンラインやオフライン・対面やイベント・SNSなど、どのようなツールで顧客と接点を持つべきかを検討します。

顧客の購買行動につながるように、すぐに質問や相談のしやすい環境を整えることがポイントです。

フレームワーク③:7P分析

7P分析とは、4P分析をさらに細かく分類したマーケティング手法です。

4P分析に含まれる4つの観点に加えて、以下の3つの観点があります。

  • 人(People)
  • 販売プロセス(Process)
  • 物的証拠(Physical Evidence)

7P分析は家具や電化製品のような商品の販売ではなく、顧客に対してより良いサービスを提供する際に活用するマーケティング手法です。

4P分析に加わる3つの観点をそれぞれ確認します。

人(People)

人(People)とは、サービスを提供するスタッフ全般のことを指します。

サービスを提供するスタッフの対応は、顧客の満足度に大きな影響を及ぼします。

近年では、SNSの発達によりスタッフの接客態度が口コミとしてすぐに広まります。

自社サービスのイメージ向上のためにも、スタッフ対応に関して検討することが重要です。

販売プロセス(Process)

販売プロセス(Process)とは、サービスを提供する際のプロセスや体験のことを指します。

飲食店であれば注文した食事が出てくるまでの時間などが販売プロセスです。

販売プロセスを高めることで、顧客の満足度が高まり更なる集客につながります。

物的証拠(Physical Evidence)

物的証拠(Physical Evidence)とは、サービスを提供する際の施設設計を指します。

例えば、ライブでの照明やホール内の装飾などが物的証拠です。

サービスを提供する際に、施設の設計を工夫することで顧客の満足度が上がり、リピート率が高まります。

マーケティングミックスを上手く活用するためのポイント

マーケティングミックスを上手く活用するためのポイント

マーケティングミックスを効果的に活用するためには、各フレームワークのポイントを正しく押さておくことが重要です。

各フレームワークにおける重要なポイントを紹介するので、マーケティングミックスを活用する際の参考にしてください。

4P分析の活用ポイント

4P分析における4つの観点はそれぞれが独立したものではなく、密接に関係し合います。

そのため、製品・サービスの特性やコンセプト、想定されるターゲット層の属性、流通方法などが合致しなければなりません。

たとえば、高級感のある商品の販売を目指す場合は、値崩れを防ぐために大規模流通は避けるべきです。

4P分析はそれぞれの観点の整合性が取れるよう、4つの観点を合わせて検討することがポイントです。

4C分析の活用ポイント

4C分析を行う場合、ターゲットの設定が曖昧であると顧客の考えや行動パターンを正しく分析することができません。

そのため、自社商品のターゲットとなるペルソナを細かく設定することで顧客の視点からマーケティング戦略を考えることが重要です。

すでに商品を販売しており、顧客データやリストがある場合は、既存データから実際の顧客像を作ることがおすすめです。

4C分析を行う場合は、商品のターゲットとなるペルソナを細かく設定してください。

7P分析の活用ポイント

7P分析は、自社のサービスに関する顧客対応や空間の居心地などの付加価値をつけることで集客数を上げる手法です。

そのため、7P分析は7つの観点の組み合わせによる相乗効果を目指す必要があります。

自社サービスの特性やコンセプトを理解した上で、サービスに適した空間、演出などを考えることが重要です。

7つの観点それぞれが顧客に対してどのような価値を与えるのか理解したうえで、自社サービスに適したマーケティング戦略を考えてください。

マーケティングミックスを活用した企業の成功事例

マーケティングミックスを活用した企業の成功事例

マーケティングミックスを効果的に活用するためには、他社の成功事例を参考にすることがおすすめです。

マーケティングミックスを活用して成功した企業は、以下の3社です。

  • ライザップ
  • スターバックス
  • ライフネット生命

それぞれ確認します。

事例①:ライザップ

ライザップはサービスの独自性とプロモーション戦略により、パーソナルトレーニング業界で大きく成功している企業です。

ライザップでは、「トレーナーのマンツーマン指導の下での筋力トレーニングや厳しい食事管理」といった、これまでにない新しいコンセプトを打ち出しました。

自分ひとりではトレーニングや食事制限を行うことができず、過去にダイエットに失敗した経験がある顧客のニーズを正しく捉えています。

また、プロモーション戦略においては有名人を起用したテレビCMが大きな反響を呼び、サービスの知名度を向上させています。

ライザップはサービスの独自性とマーケティング戦略を組み合わせることで、多くの顧客を集め売上を伸ばすことに成功しました。

事例②:スターバックス

スターバックスは1971年にアメリカで創業されたコーヒーチェーン店です。

スターバックスはコーヒーを売るだけでなく、お客様が自由に過ごせる空間を提供することをサービス価値として定義しています。

スターバックスは、提供する空間を「サード・プレイス」(家でも職場でもない、第3の場所)と呼んでいます。

スターバックスは空間としての価値を提供することで顧客に居心地の良さを与え、数多くの集客に成功しています。

事例③:ライフネット生命

ライフネット生命は、2006年に創業された日本の生命保険株式会社です。

ライフネット生命は、自社商品の売上を伸ばすために商品の価格面とサービス面の双方から戦略を立てました。

商品の価格に関しては、インターネット販売に特化することで人件費や店舗費を削減し、低価格でのサービス提供を実現しています。

また、サービス面ではコールセンターでの相談を夜10時まで受け付けるなど、ターゲットとなる顧客にとっての利便性を追求しました。

ライフネット生命は、マーケティングにおいて顧客視点の戦略を複数立てることで、顧客から高い満足度を得ることに成功しています。

マーケティングミックスを学ぶためのおすすめの本

マーケティングミックスを学ぶためのおすすめの本

マーケティングミックスに関する知識を身に付けるためには、本によるインプットが有効です。

マーケティングミックスに関する学びを深めたい方には、以下の2冊がおすすめです。

  • マーケティングミックスの理論
  • マーケティング思考力トレーニング

以下で本の内容を紹介するので、マーケティングミックスを学ぶ参考にしてください。

マーケティングミックスの理論

『マーケティングミックスの理論』は、ビジネスにおけるマーケティングミックスの実践的な内容が記された本です。

本書には、ビジネス現場において実践的で妥当性の高いマーケティング例が示されています。

今後、自社でマーケティングミックスを活用して経営戦略を立てたい経営陣におすすめの一冊です。

自社の特徴や現状に合わせたマーケティングミックスを考えるための参考にしてください。

マーケティング思考力トレーニング

ビジネスを成功させるためには、営業、PR、プレゼンテーションなどのあらゆる場面でマーケティングについての思考力が必要です。

『マーケティング思考力トレーニング』は、効果的なマーケティング戦略を考えるためのトレーニング書です。

本書では、マーケティングで活用できる基本的なフレームワークやマーケティング戦略の活用による成功事例を多く紹介しています。

企業のマーケターとして、自身のスキルを高めたい方におすすめの一冊です。

マーケティングミックスに関するQ&A

ここまでマーケティングミックスの重要性や導入方法など、網羅的に解説してきました。

最後に、マーケティングミックスに関してよくいただく質問をまとめています。

Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてください。

マーケティングミックスの活用に研修やセミナーは必要?

社内でマーケティングミックスに関する知識やスキルを持つ人がいない場合は、研修やセミナーへの参加がおすすめです。

マーケティングミックスを正しく理解できておらず商品を上手く販売・PRできなければ売上にはつながりません。

反対に、社内にマーケティングミックスに関する知識やスキルを持つ人がいる場合は、研修やセミナーは必須ではありません。

その場合は、マーケティングの戦略を考えるチーム内で知識やスキルを共有できる体制を整えておくことが重要です。

マーケティングに関する資格はある?

自社の商品を効率的に販売するためには、マーケティングスキルが必須です。

マーケティングスキルは、資格取得により効率的に学ぶことができます。

マーケティング力を高めるために最適な資格は以下の2つです。

  • マーケティング・ビジネス実務検定
  • マーケティング検定

それぞれ確認します。

マーケティング・ビジネス実務検定

マーケティング・ビジネス実務検定とは、国際実務マーケティング協会によって実施されるマーケティングの実務能力を客観的かつ総合的に評価する検定試験です。

資格を取得することで、マーケティング理論や実践的な知識が身に付きます。

マーケティング・ビジネス実務検定は合格率が70%と比較的取得しやすい資格です。

独学でも十分に取得が可能な資格であるため、マーケティング初心者の方におすすめの資格です。

マーケティング検定

マーケティング検定は、公益社団法人日本マーケティング協会が実施する検定試験です。

マーケティング検定は大手企業の研修でも採用されており、社会でマーケターとして活躍するための実力を測ることができます。

資格は1級〜3級まで用意されており、自分のレベルに合った難易度の検定に挑戦してください。

マーケティングミックスを活用して事業の拡大を図ろう

より良いマーケティング戦略を立てるためには、マーケティングミックスの活用が効果的です。

近年では、自社の売上を伸ばすために多くの企業でマーケティングミックスが活用されています。

より効果的なマーケティングを行うにあたって、他社の成功事例や書籍による学習がおすすめです。

ぜひ、マーケティングミックスを活用することで自社に適したマーケティング戦略を検討してください。

監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

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