総研レポート・分析

2023年有価証券報告書における経営ホットワードTOP100~今話題の生成AI系ワードが新登場~

ククレブ・アドバイザーズ株式会社のシンクタンク部門であるククレブ総合研究所では、今回、すべての上場企業が提出する「有価証券報告書(以下「有報」)」内、第2【事業の状況】1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】のページについて、自社独自のワード辞書と解析エンジンを利用して、2023年にTOP100にラインクインしたワード※から現時点(2023年8月28日時点)における経営ホットワード(以下「初登場ワード」)を可視化した。
※登場数によるカウント

引き続き激動のビジネス環境の中、多くの3月決算の日本企業は2023年度下半期を迎えるタイミングであるが、ビジネストレンドとして参考にされたい。

なお、本機能は、当社が運営するCCReB GATEWAYのホットワード分析の検索機能を活用し、“新登場ワードのみ検索”ボタンを押す(検索機能を利用するためには、会員登録(無料)が必要です)ことにより、前年には出現していなかった新ワードという観点で絞り込みを行うことが可能です。

(ご参考)
「ホットワード分析」トップページ検索機能のご紹介

 

2023年初登場ワードのワードクラウド(TOP100)

 

有報(第2【事業の状況】1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】)新登場ワードTOP10

2023年のTOP100を構成した新登場ワードのTOP1は、やはり最近この言葉を聞かない日がないと言える“ChatGPT”となった。登場企業数としては20社の有報に出現し、主な出現業種は、「情報・通信業」「サービス業」「不動産業」などで複数の企業が本ワードを事業環境の変化として織り込んでいる。
生成AI系ワードとしては、“生成AI”が2位、“生成系AI”が7位など、いわゆる生成AI系ワードがTOP10を席捲した格好となった。

【参考】有報内でChatGPTに触れた企業一覧

その他、環境の変化が生んだワードとして、“ウクライナ情勢長期化”なども引き続きホットワードとなっている。
ちなみに2022年の有報における新登場ワードTOP100を見ると、上場企業の約30%にウクライナ情勢のワードが出現していたが、2023年の有報ではホットワードとしての出現率は大幅に低下している模様である。

【参考】2022年初登場ワードのワードクラウド

 

その他興味深い新登場ワード

その他、TOP100に入った新登場ワードの中で、興味深い(=2022年には出現しておらず2023年に新登場した)ワードを紹介する。

 

ネイチャーポジティブ

ネイチャーポジティブ(自然再興)とは、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを意味します(環境省HPより)

これは、2022年12月に開催されたCOP15において新たな国際目標が設定され、J-GBF(2030年生物多様性枠組実現日本会議)として、達成すべきゴールを設定したものです。

2022年12月の開催時の宣言が、早くも2023年の有報において言及されており、このワードに言及したのは、日清食品ホールディングス株式会社(食料品)、横浜ゴム株式会社(ゴム製品)、アミタホールディングス株式会社(サービス業)の3社であり、例えば日清食品ホールディングスでは、有報内において、“EARTH FOOD CHALLENGE 2030”と題し、カーボンニュートラルの達成とともに経営目標として掲げられており、今後多くの日本企業においても経営戦略に織り込まれていくことが予想される。

 

循環経済社会(地域循環型社会)

循環型経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです(環境省HPより)

このワードに言及したのは、株式会社ダイセキ(サービス業)、日東電工株式会社(化学)、株式会社大垣共立銀行の3社であり、例えば日東電工株式会社では、有報内において脱炭素社会・循環経済社会への移行などの社会変化への対応を経営戦略に盛り込む中で言及しており、当該ワードも前述のネイチャーポジティブ同様、環境系ワードであり、日本のみならず全世界が真正面から取組まなければならない課題として、今後さらに出現回数の増加が予想されるワードである。

 

ポルトガル、タンザニア、インドシナ半島、ルクセンブルク、コロンビア

2022年の有報には出現していな新登場ワードとして、世界各国(又はエリア)の個別名称が出現した。
個別企業のグローバル展開は全世界に及んでおり新たなマーケットの開拓など、今後も日本企業の世界進出に目が離せない。

 

以上、CCReB GATEWAYを活用して、有報における新登場ワードのトレンドを示した。
もっと深い分析や具体的な企業の方針を確認したい場合には、ぜひ会員登録(無料)を行って頂き、あらゆる角度から日本企業のトレンドを探って頂きたい。

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免責事項

当レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではございません。また、本内容は現時点での判断を示したに過ぎず、データ及び表現などの欠落、誤謬などにつきましては責任を負いかねますのでご了承ください。当レポートのいかなる部分もその権利はククレブ・アドバイザーズ株式会社及びククレブ・マーケティング株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、無断で複製または転送などを行わないようお願いします。

 

監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
不動産鑑定士
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超え、CRE戦略の立案から実行までを得意としている。
2019年9月に不動産テックを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。