2020年度通期企業経営動向に関する考察

~東証33業種分類から見る各業界の経営トレンド~
~CRE戦略・不動産事業強化が業界横断的な流れに~

 CCReB AIのAIエンジンを活用し、2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)に公表された中期経営計画を業種(東証33業種)毎に分類し、以下の分析を行った。

■2020年度期間中の中計の公表社数は558社、うち76社が「中計取下げ・公表延期」

 2020年4月以降を中期経営計画の新年度、またはローリング方式でのアップデートという形で公表した企業数は558社となり、CCReB AIに格納されている中期経営計画のストック数の約3割が新たな中期経営計画を打ち出した。
 一方で、前回調査(2020年10月7日公表「2020年上期経営動向に関する考察」)と同様にコロナ禍における先行きの不透明感と実際の事業活動への影響見極めを現時点で判断できない企業では、予定していた中期経営計画の公表を一旦中止する動きなどが継続している。

 今回、CCReB総合研究所では、業種ごとに直面する経営環境の違いに着目し、中期経営計画におけるホットワードを分類、各業種のTOP10ワードを調査・公表致する。

※対象期間:2020年4月1日~2021年3月31日
※ククレブ総合研究所作成
※東証33業種の分類による

 これによると、各業界のTOP1は、環境系ワード(具体ワード:SDGs、ESG、脱炭素、再生可能エネルギー等)となり、昨今の脱炭素社会の実現に向けた施策は各業界においても喫緊の経営課題として認識されていることが改めて窺える。また、その他に多いワードとして、人材系ワード(同:人材戦略、人材育成等)が33業種中26業種で上位を占めており、各企業が人材の育成や確保を経営課題として認識していることも窺える。

 その他上位ワードの中で、戦略の強弱が伺えるのが、DX・AI活用などのデジタル系ワードで、業種により上位に占めるケース(電気機器、陸運業、非鉄金属業等)と、低位に出現している業種(医薬品)など、注目のワードながら業界により温度差があることが窺える。
また、今回の調査で特徴的な発見となったのが、新規事業系ワード(新規事業創出、イノベーション、新事業立ち上げ等)であり、33業種中25業種で出現するなど、ビジネスモデルの新陳代謝により新たなビジネスイノベーションのタイミングを迎えている業種(保険業、繊維業、金属製品等)などで注目の経営戦略となることが予想される。

 そして、今回の調査で最も興味深い発見となったのは、不動産系ワード(不動産事業強化、不動産有効活用、工場活用、アセットマネジメント等)が、不動産業を主業としない業種(非鉄金属業、鉄鋼業)にも顔を出しており、コロナ禍において収益的なダメージを受けた企業などで、安定した収入を確保する手段として、保有資産の老朽化や陳腐化に対し、単純な資産売却という選択肢だけではなく、リノベーションや効率的な資産戦略の構築により不動産を単なる資産ではなく、稼げる資産として経営戦略に取り込んでいく、いわゆるCRE(Corporate Real Estate)戦略が今後企業にとってますます重要な施策となることが予想される結果となった。

 


 

法人営業支援ツール”CCReB AI”
上場企業の開示する中期経営計画、有価証券報告書をAIエンジンで解析し、不動産に直接・間接的に関連するワードをスコアリング化し、不動産ニーズ(売買、流動化、有効活用、賃貸、新規出店、工場新設・・・等)のある企業を効率的に抽出するシステム

情報支援ツール”CCReB Clip”
「CCReB AI」のAIエンジンを活用して、格納する約1,500社(2020年9月1日現在)の中期経営計画から、ユーザーが抽出したい特定ワードを受付け、そのワードを含む企業のリストをスポット的に作成するサービス