総研レポート・分析

オフィスの新規供給2025~注目される大型オフィスプロジェクト~

2025年竣工予定の大型オフィスビル(都心5区)

 2025年の都心5区のオフィスの新規供給について、延床面積約1万坪以上の大型オフィスプロジェクトは8件であり、ほとんどが港区に立地している(図表1)。

2025年最大の供給は、2025年3月に竣工した高輪ゲートウェイシティのツインタワー「ザ リンクピラーワンノース/サウス」で、ツインタワーの合計延床面積は約46万㎡の規模である。高輪ゲートウェイ駅の西側に近接し、オフィス、商業、ホテル、コンベンション、カンファレンス等の複合ビルで、NORTHにはKDDI㈱が、SOUTHにはマルハニチロ㈱が本社を移転する。

オフィス仲介会社によれば、2025年は都心5区で30棟、延床面積約44.4万坪のオフィスビルの供給が予定されており、2024年と比較して約28.3万坪多い※1。しかしながら、現状では人手不足への対応として、企業の間で都心の主要駅に近接する利便性の高いオフィスに本社や事業所を移転・新設する動きが続いているため、都心5区においては新規供給による空室率への影響は限定的であると考えられる。

【図表1】東京都心5区の大型オフィスプロジェクト

※2025年2月竣工、オフィスフロア開業は8月予定。
出典:各社公表資料に基づき当社作成。主用途オフィス、延床面積約1万坪以上の計画。

 

2025年の国内主要都市における大型オフィスプロジェクト

東京以外の国内主要都市における2025年竣工の大型オフィスプロジェクトは図表2の通りであり、仙台市や名古屋市では延床面積1万坪を超える計画はみられなかった。

大阪市では、うめきた2期「グラングリーン大阪」南館が3月にオープンした。これにより、大阪キタの中でもグランフロント大阪から連続する一帯にハイグレードのオフィスの集積が進み、大阪を代表するオフィスゾーンが形成されている。

福岡市では天神ビッグバンの容積緩和を活かした建替プロジェクトの開業が続く。「天神ブリッククロス」は、日本生命保険相互会社、積水ハウス㈱の共同事業で竣工した「天神」駅直結のオフィスビル、天神住友生命FJビジネスセンターは、住友生命相互会社と福岡地所㈱による、住友生命福岡ビル及び西通りビジネスセンターの建替えプロジェクトである。これら2棟に先立ち、2024年12月には、福ビル街区建替プロジェクト「ONE FUKUOKA BLDG.」(延床面積147,000㎡)が竣工し、同プロジェクトの事業主体である西日本鉄道㈱や、㈱九電工が本社を移転する動きがみられた。天神エリアにおいては、大型オフィスビルの供給増により、テナント誘致競争が激しさを増している。

【図表2】主要都市の大型オフィスプロジェクト

出典:各社公表資料に基づき当社作成。主用途オフィス、延床面積約1万坪以上の計画。

 

※1.出典:三鬼商事㈱「オフィスリポート東京2025」


 

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