オプトアウト・オプトインとは?意味や仕組みを初心者にもわかりやすく解説
近年、インターネットの普及に伴う個人情報の取り扱いやメールの配信方法に関して、法律による厳しい規制がかかっています。
民間企業が手持ちのデータを第三者に配信する仕組みには、「オプトアウト」と「オプトイン」の2種類があります。
本記事では、それぞれの仕組みの違いやオプトアウト方式を取るメール配信を行う際の注意点を紹介します。
企業が顧客に向けたマーケティングを実施するうえで、メールの配信に関するルール違反は罰則になる可能性があるので注意が必要です。
本記事を通して、オプトアウト、オプトインの仕組みについて正しい知識を身に付けてください。
オプトアウト・オプトインとは?
オプトアウトとオプトインは、企業が第三者に向けて広告宣伝を配信する際の仕組みを指します。
正しい広告宣伝メールの送信方法を理解しない状態で第三者に広告宣伝のメールを送ってしまうと、厳しい罰則を受ける可能性が高いです。
まずは、オプトアウトとオプトインの仕組みを理解しましょう。
オプトアウト方式の仕組み
オプトアウト方式とは、送信者が受信者に対して自由に広告宣伝メールを送ることができる配信方式です。
オプトアウト方式を採用することで、受信者から配信の許可を得ることなくメールを送信することができます。
メール受信者は、メールを受け取った段階で配信を拒否することができます。
メールが拒否された場合、メール送信者は配信を停止しなければなりません。
なお、2022年現在、オプトアウト方式での配信は原則禁止されています。
オプトイン方式の仕組み
オプトイン方式とは、メール配信以前に受信者がメール配信に対する許可/拒否を行うことができる配信方式です。
オプトイン方式を採用することで、送信者による一方的な配信を防ぐことができ、受信者の権利は守られます。
また、送信者としても、事前にメール配信を希望している受信者を特定できるため、マーケティングによる成果が得やすくなります。
オプトアウトとオプトインの違い
オプトアウトとオプトインの大きな違いは、送信者と受信者どちらに配信許可の主導権があるかという点です。
オプトアウト方式では、メールの送信者に主導権があります。
企業は顧客に対して自由に広告宣伝メールを送信することができるため、幅広い顧客に向けたアプローチが可能です。
一方で、オプトイン方式ではメールの受信者に主導権があるのが特徴です。
企業は予め受信許可が得られた顧客に対してメール配信を行うことができるため、高いコンバージョンが期待できます。
また、オプトインであれば受信者は自身の求める情報のみを受け取ることが可能です。
マーケティングでオプトアウトの理解が求められる理由
企業のマーケティングにおいて、広告宣伝メールの配信を行う際はオプトアウト方式を理解する必要があります。
その背景には、インターネットの普及に伴うメール配信に対するルールが厳しくなったことが挙げられます。
マーケティングを実施するにあたって、オプトアウトの理解が求められる理由には下記の2つがあります。
- 法律違反となる
- 迷惑メール認定される
それぞれ、確認しましょう。
法律違反となる
オプトアウトによるメリットは、企業が複数のユーザーに対して一度にアプローチできる点です。
しかしながら、配信を望まない顧客にとっては、不要な情報が勝手に送られてくるため迷惑に感じます。
そのため、良好なインターネット環境を保つための広告や宣伝を含めた迷惑メールやチェーンメールなどを規制する「特定電子メール法」が施行されました。
この法律の中で、事前に受信者に対する配信の同意を得ることなく、自由に送信するオプトアウト方式に規制がかかりました。
また、企業側はメール配信を行うにあたって必ず受信者の許可を得る必要がある「オプトイン規制」が規定されています。
もし、同意のない人に広告宣伝メールを配信した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、法人に対して3000万円以下の罰金が科せられます。
迷惑メール認定される
オプトイン方式を取らずにオプトアウト方式で広告宣伝メールを配信すると、通信キャリアから迷惑メールと誤判定され、迷惑メールフォルダに振り分けられる可能性が高まります。
その結果、重要な内容のメールであったとしても受信者に届かない可能性がありますなくなるのです。
そのため、迷惑メール判定を避けるためにオプトアウト方式ではなくオプトイン方式による配信が必要です。
オプトアウトには例外がある
現在は、オプトアウト方式によるメールの配信は原則禁止されており、メール配信時はオプトイン方式が主流となっています。
ただし、広告宣伝メールとしての配信ではなく、契約や受信者にとって重要な連絡事項に関するメールなどの場合は、オプトアウト方式による対応が許可されています。
オプトアウト方式が許可されている具体的なケースとしては、以下の場面があります。
- サービスの内容が変更される/料金請求が変更される際の重要な事務連絡に広告・宣伝が含まれてしまうケース
- 契約以前の受信者から企業へ来る質問事項などの問合せに対する返信に広告・宣伝が含まれるケース
このように、顧客の不利益になる場合に限ってはオプトアウト方式が認められています。
送信者の表示義務項目
オプトイン方式による広告宣伝メールの配信には、「特定電子メール法」に基づく表示義務項目が存在します。
大まかな表示義務項目は以下の5つです。
- 送信者情報(送信者等の氏名または名称)
- 受信拒否の通知ができる旨
- 受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL
- 送信者などの住所
- 問い合わせやクレームなどを受ける電話番号、電子メールアドレス、URL
それぞれ確認しましょう。
参考:日本データ通信協会「特定電子メール法」
①送信者情報(送信者等の氏名または名称)
メールの送信者は、会社名や氏名を明記する必要があります。
また、メールの送信を外部に委託している場合は、送信の責任を有する者の氏名や会社名の記載が求められます。
②受信拒否の通知ができる旨
メールの受信に関して、「受信者が希望すれば配信を拒否できる」ことを知らせる趣旨の内容を記載する必要があります。
受信拒否の旨は、受信者が容易に確認できる場所に表示する必要があるので、注意してください。
③受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL
広告宣伝メールを配信する際は、メール内に受信を拒否する通知を受けるためのメールアドレスとURLの設置が必須です。
また、URLでの受信拒否の場合はリンク先において受信拒否が容易に行えるように配慮する必要があります。
リンク先で受信の拒否がしにくい構造になっている場合、規律違反になる可能性があるため注意してください。
④送信者などの住所
広告宣伝メールを配信する際は、送信者の会社の住所の記載が必須です。
送信者の住所を記載する際には、文字のみで記載するのではなく、会社のホームページのURLを貼り付けておくようにしましょう。
⑤クレームや問い合わせなどを受ける電話番号、電子メールアドレス、URL
配信するメールに、クレーム・問い合わせ先として電話番号やメールアドレスを載せる必要があります。
受信者が問い合わせ先を一目で見つけられるよう、わかりやすい記載が求められます。
オプトアウト・オプトインに関するQ&A
ここまでオプトアウトに関する仕組みやルール、注意点について解説しました。
本記事の最後に、オプトアウトに関してよくいただく質問をまとめました。
Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてください。
オプトアウトの海外事情は?
日本では、メルマガなど広告が含まれるメールの配信はオプトイン方式を採用する必要があります。
しかし、メールの送信方法は全世界共通ではなく国によってルールが異なります。
例えば、ヨーロッパの多くの国々はオプトイン方式によるメール配信が一般的です。
一方で、アメリカではオプトアウト方式を採用しており、問題が発生した後に適切な対応を取るよう求められています。
情報の取り扱いや配信方法は国の法律によって異なるため、国外でのメールアプローチを考えている企業は事前のリサーチが必要です。
オプトアウト・オプトインの理解に研修は必要?
オプトアウトやオプトインの理解はそこまで難しいものではありません。
一度、仕組みを理解してしまえばルールに則ったマーケティングを実施することができます。
そのため、社内にオプトアウト・オプトインの知識を持った人物が居れば研修は不要です。
ただし、創業間もない企業やメール配信の知識がない企業では、マーケティング実施前に知っておくべき知識をまとめてインプットするための研修を取り入れることがおすすめです。
「知らなかった」では済まされない事案に発展しないよう、マーケティングに関する法律には細心の注意を払いましょう。
正しい方法で広告宣伝メールの配信をしよう
広告宣伝メールの配信ルールを把握せず、ユーザーの受信承諾を得ないまま広告宣伝メールを配信してしまった場合、法律により厳しく罰せられます。
マーケティングにおいて「知らなかった」では済まされないため、あらかじめオプトアウトとオプトインの知識を正しく理解しておくことが大切です。
広告宣伝メール配信の際の法律の理解とともに、メール施策において正しく対応できているか再度確認してみましょう。
監修
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。
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