2020年中期経営計画書の経営トレンド調査(東証1・2部vs新興市場)
ポストコロナ時代に向けた中期経営計画にみる経営トレンド比較
CCReB AIのAIエンジンを活用し、2020年2月1日~2021年1月31日に公表された企業の中期経営計画について、以下の分析を行った。
対象期間中の中期経営計画公表社数は、東証1・2部が388社(内訳:1部329社、2部59社)新興市場が75社(内訳:ジャスダック41社、マザーズ34社)コロナの影響により中期経営計画の公表を延期する会社も目立つが直近は公表再開
ククレブ総合研究所では、CCReB AIにストックする中経ワードを各テーマに分類し、全ヒット数のうち、テーマごとのワードがどの程度の比率を占めるかについて詳細分析を行った。
各テーマとして、
デジタル(AI活用、DX戦略、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)等の推進)
環境(SDGs、脱炭素、省エネ化等の環境戦略)
人材(人材育成、働き方改革等の人材戦略)
海外(中国市場強化、アメリカ市場強化等のグローバル戦略)
財務指標(ROE向上、ROA向上、自己資本比率向上等の指標改善目標)
B/S・P/L(資産売却、キャッシュ創出等のB/S、P/Lの改善に直結する戦略)
新時代(テレワーク、アフターコロナ等の新しい時代の戦略)
方針(上記各テーマに関連する上位の経営目標)
に分類した上で、対象期間において公表された中期経営計画を解析した結果、東証1・2部で総数6666ヒット、新興市場で952ヒットとなり、ワード分類ごとの比率は以下の通りとなった。
解析の結果、特筆すべき点として、デジタルワードについては、新興市場が東証1部・2部に比べ高い比率を占めていることと、テレワーク推進やアフターコロナに向けた事業戦略など新時代ワードについても新興市場の方がより高い比率を占める結果となった。デジタル戦略については、企業規模からもスピード感のある新興市場の企業の方がより推進意欲が強いことが窺える形となった。
一方、環境ワードについては、東証1・2部上場企業においてより多く経営戦略とされていることが分かる。これはグローバル投資家が多い大手企業が市場から環境対応を求められていることが一因と言えそうだが、最近の「脱炭素」社会の推進や、SDGs、ESG推進の議論が深まる流れから、今後の経営戦略においてもより対応が求められる項目と思料される。また、ROEの数値目標や財務規律に関しての経営目標も東証1・2部企業の方がより多く経営戦略とされており、同様に市場を意識した経営戦略と言えそうである。
なお、今回の解析において、一番ヒット数の多いワード上位は、東証1部・2部企業では、「生産性改善(6.72%)」、「収益性向上(6.00%)」「人材育成(5.75%)」となり、同じく新興市場では、「人材育成(7.46%)」「財務基盤強化(3.68%)」となり、いずれの市場でも「人材育成」が企業の大きな課題であることが窺えるとともに、今後の成長を左右する経営戦略と言える。
法人営業支援ツール”CCReB AI”
上場企業の開示する中期経営計画、有価証券報告書をAIエンジンで解析し、不動産に直接・間接的に関連するワードをスコアリング化し、不動産ニーズ(売買、流動化、有効活用、賃貸、新規出店、工場新設・・・等)のある企業を効率的に抽出するシステム
情報支援ツール”CCReB Clip”
「CCReB AI」のAIエンジンを活用して、格納する約1,500社(2020年9月1日現在)の中期経営計画から、ユーザーが抽出したい特定ワードを受付け、そのワードを含む企業のリストをスポット的に作成するサービス