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ライブコマースとは?言葉の意味や日本の市場規模、企業の成功事例を分かりやすく解説!

ライブコマースとは、動画配信サービスを利用して配信者と視聴者でコミュニケーションを取り合いながら商品を販売するマーケティング手法です。

昨今のデジタル化の発展により、ライブコマースは企業のマーケティング戦略として注目を集めています。

本記事では、ライブコマースの言葉の意味や日本の市場規模、ライブコマースをマーケティングで利用する際のポイントについて解説します。

また、実際にライブコマースを利用して商品の売上を増加させた企業の成功事例も紹介しているので、自社のマーケティング戦略の参考にしてください。

ライブコマースの意味とは?

ライブコマースの意味とは?

ライブコマースとは、デジタルプラットフォーム上で動画配信サービスを利用することで自社商品をアピールするマーケティング手法です。

インターネットを通じた商品の販売が一般的となった現代において、ライブコマースは多くの企業で利用されています。

これまでのWebサイトを利用した商品販売と異なり、実際に商品を使用している映像を観ることができるため商品の特徴をより詳細に理解できます。

ライブコマースの特徴と注目を集める背景

ライブコマースの特徴は、動画の配信者と視聴者の双方がコミュニケーションを取りながら購買行為を進められる点です。

これまでのWebサイトによる商品の購買は、顧客が文章のテキストを読んで商品の購入を検討するものが一般的でした。

ライブコマースは、動画の配信者と視聴者の双方がコミュニケーションを取れるため、視聴者がその場で商品に関する質問を行うことが可能です。

そのため、ライブコマースではこれまでのWebサイト以上に商品の宣伝・理解ができるため、配信者と視聴者双方から注目を集めています。

日本のライブコマースの市場規模

日本のライブコマースの市場規模

日本のライブコマースの市場規模は年々拡大傾向にあります。

株式会社サイバーエージェントと共同会社が行った調査によると、2022年度の日本のライブコマースの市場規模は約500億円になることが想定されています。

そして、2023年には700億円超、2024年には約1000億円まで成長すると見込まれており、今後も日本のライブコマースの市場規模は拡大することが見込まれています。

市場規模が拡大傾向にあるライブコマースを利用することは、多くの企業にとってメリットがあります。

出典:CYBER「デジタルライブエンターテインメント市場規模は急拡大。2023年に700億円超、2024年には約1000億円へ

企業がライブコマースを利用するメリット

企業がライブコマースを利用するメリット

企業がライブコマースを利用したマーケティングを行うことには様々なメリットがあります。

企業がライブコマースを利用して得られる具体的なメリットは以下の3つです。

  • ライブ配信の普及により顧客が増える
  • 顧客とリアルタイムでコミュニケーションがとれる
  • 商品イメージを伝えやすい

それぞれ確認します。

メリット①:ライブ配信の普及により顧客が増える

デジタル化が進む現代で、ライブ配信は今後さらなる広がりを見せることが予想されます。

ライブ配信が普及して視聴者が増えることで、ライブコマースを利用している企業はより多くの視聴者に自社商品を宣伝することができます。

市場規模が拡大しているライブ配信を活用することで、より多くの潜在顧客にアプローチすることができるでしょう。

メリット②:視聴者とリアルタイムでコミュニケーションがとれる

ライブコマースは、配信を見る視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。

ライブコマースは、配信者が視聴者に対してリアルタイムで商品の良さを紹介することができるため、通常のWebサイト以上に顧客の購買意欲を刺激することが可能です。

また、リアルタイムで視聴者からの商品に関する質問に答えることができるため、その場で視聴者の疑問が解消され売上の向上にもつながります。

メリット③:商品イメージを伝えやすい

企業がライブコマースを利用することで、これまでのWebサイトと比べて顧客に商品のイメージを伝えやすくなります。

Webサイトを利用する顧客は、テキストや画像を通して商品の特徴をイメージし、商品を購入します。

一方でライブコマースは、テキストや画像のWebサイトと異なり、実際に使用している映像を見せられるため顧客に多くの情報を与えることができます。

ライブコマースを利用することで、顧客が商品のイメージをしやすく、購買意欲が刺激されるため、売上の向上につながります。

企業がライブコマースを利用するデメリット

企業がライブコマースを利用するデメリット

ライブコマースは企業のマーケティングに役立つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。

ライブコマースを活用する際は、事前にデメリットを理解しておくことでリスクヘッジを行うことが重要です。

ライブコマースのデメリットは以下の3つです。

  • 事前の告知が必要
  • ライブ配信者のスキルが必要
  • 炎上のリスク

それぞれ確認します。

デメリット①:事前の告知が必要

ライブコマースを利用して自社商品をアピールする際は、顧客に対する事前の告知が必須です。

事前告知の手間をかけずにライブ配信を行っても、視聴者が集まりません。

視聴者が集まらなければ、自社商品のアピールにはつながりません。

そのため、ライブコマースを利用して商品紹介を行う際は、あらかじめライブ配信の事前告知を行うなど、視聴者を集めるためのマーケティング戦略を立てる必要があります。

デメリット②:ライブ配信者のスキルが必要

ライブコマースによる宣伝効果は、ライブ配信を行う配信者のスキルに大きく依存します。

そのため、上手く自社商品をアピールできるキャストを用意できなければ想定していた売上は見込めません。

自社商品の売上増加を目指す場合は、ライブ配信に慣れたキャストを採用・育成する必要があります。

また、インフルエンサーの起用も有効ですが、キャスト代に多くのコストがかかるため、売上とのバランスを考えて起用する必要があります。

デメリット③:炎上のリスク

ライブコマースはリアルタイムで商品の販売を行うマーケティング手法であるため、編集を行うことができず配信内容によっては炎上するリスクを伴います。

配信内容によって動画が炎上すれば売上が増加するどころか、かえって自社のイメージを損ねてしまう可能性があります。

炎上を防ぐため、企業ではあらかじめ配信者に対する教育を行う必要があります。

企業がライブコマースを行う際のおすすめアプリ・ツール

企業がライブコマースを行う際のおすすめアプリ・ツール

本章では、企業がマーケティングにおいてライブコマースを効果的に利用するためにおすすめのアプリ・ツールを紹介します。

企業のライブコマースにおすすめのアプリ・ツールは以下の6つです。

  • YouTube
  • Instagram
  • ライコマ
  • SHOWROOM
  • LINE LIVE
  • HandsUP(ハンズアップ)

以下で詳細に解説していくので、自社に適したアプリ・ツールを活用してください。

YouTube

世界最大級の動画配信プラットフォームであるYouTubeのライブ配信機能は、ライブコマースに有効な手段です。

YouTubeの利用者数は、他の動画配信アプリと比べても多く、さまざまなユーザーに自社商品を広めることができます。

しかしながらYouTubeでライブコマースを行うためには、以下2つの条件を満たす必要があります。

  • アカウント認証
  • 1000人以上のチャンネル登録者数

そのため、YouTubeを利用してライブコマースを行うためにはチャンネル登録者を増やす工夫が必要です。

Instagram

Instagramは、性別を問わず幅広い世代が利用するSNSです。

Instagramは画像や動画による視覚コンテンツを主体としているアプリであり、アパレルブランド企業をはじめさまざまな業種の企業がライブコマースのプラットフォームとして利用しています。

アプリ利用者も多いため、ライブコマースとの相性が良いプラットフォームです。

ライコマ

ライコマはカート連携型の新しいライブコマースアプリです。

配信動画を開いたまま、商品をカートに追加することができるため、スムーズな購入動線を実現しています。

ライコマはライブ配信のアーカイブ動画を商品ページやショップページに表示できる機能があるため、リアルタイムで動画を視聴できなかった人にも商品のアピールが可能です。

SHOWROOM

SHOWROOMは、SHOWROOM株式会社が提供するライブ配信アプリです。

人気インフルエンサーやタレントなど幅広い人々がライブコマースのアプリとして利用しています。

SHOWROOMは、課金をすることで配信者とコミュニケーションを取ることができるため、配信者のファンに対して商品の認知やイメージアップを強く行うことが可能です。

LINE LIVE

スマホ利用者の多くが連絡手段としてLINEを利用しています。

LINEには、LINE LIVEと呼ばれる機能が搭載されており、気軽にライブ配信を行うことができます。

LINEは日本国内で多くの利用者がいるプラットフォームであるため、企業がライブコマースを有効利用することで多くの視聴者の獲得が見込めます。

HandsUP

HandsUPは、「17LIVE」が提供しているライブ配信プラットフォームです。

HandsUPは、一度に複数のSNSで同時配信を行うことができるため、より多くのユーザーに自社商品をアピールできます。

これまでに、EGOISTやWEGOなどの人気アパレルブランドにも導入されています。

ライブコマースを利用する際の5つのポイント

ライブコマースを利用する際の5つのポイント

企業がマーケティングでライブコマースを効果的に活用するためには、いくつかのポイントを意識することが重要です。

ライブコマースを利用する際に、意識すべきポイントは以下の5つです。

  • ブランドに合った配信者を起用する
  • 人気インフルエンサーを起用する
  • 質問に的確に答えられるよう準備しておく
  • 通信環境を整備する
  • 参加者一体型のライブコマースにする

5つのポイントに注意してライブコマースを活用することで、適切なマーケティングを行ってください。

ポイント①:ブランドに合った配信者を起用する

企業がマーケティングでライブコマースを利用する場合は、自身のブランドに合った配信者を起用することが重要です。

例えば、若い女性をターゲットとした化粧品をライブコマースで宣伝する際に、年配の男性を起用しても顧客の獲得につながりません。

自社商品の特徴をふまえて、性別やターゲット層にあった配信者を起用することが重要です。

ポイント②:人気インフルエンサーを起用する

ライブコマースで自社商品の売上を増加させるためには、人気インフルエンサーの起用が有効です。

美容コスメを販売する際には、女性から人気の高いインフルエンサーを起用することでファンから注目を集めることができます。

また、フォロワーの多いインフルエンサーに自身のSNSで商品紹介をしてもらうことも、商品の認知度を高めることができるのでおすすめです

ポイント③:質問に的確に答えられる準備をしておく

ライブコマースを利用した商品の宣伝では、その場で視聴者から多くの質問を受けることがあります。

視聴者の質問に対して的確に答えることで、商品に関する疑問を解消することができます。

反対に、商品への質問に対して視聴者にとって納得のいく回答ができなければ、商品やブランドへの信頼性が落ちてしまうため注意が必要です。

ライブコマースを利用した商品のマーケティングを行う際は、あらかじめ顧客から出る可能性がある質問をまとめておき、即座に答えられる準備をしておくことが重要です。

ポイント④:通信環境を整備する

ライブコマースで視聴者から自社の商品を購入してもらうためには、通信環境を整備することが重要です。

通信環境が悪くライブ配信が途切れてしまうと、視聴者にストレスを与えてしまいライブ動画の視聴者が減ってしまいます。

通信環境を整えてスムーズに商品紹介を行うことで、視聴者からの信頼を獲得することができるのです。

ポイント⑤:参加者一体型のライブコマースにする

企業がライブコマースを利用して自社商品のアピールを行う際は、参加者一体型の配信にすることが重要です。

企業が一方的に自社商品を紹介するだけでは、Webサイトを利用したマーケティングと変わりません。

ライブ配信に参加する視聴者の悩みや疑問を解消できるように、視聴者の意見に答えるライブ配信にする必要があります。

企業がライブコマースを利用する際には、一方的な商品紹介にならないための配信中の進め方の工夫が重要です。

ライブコマースを導入した企業の成功事例

ライブコマースを導入した企業の成功事例

自社でライブコマースを効果的に利用するには、成功した企業の事例を参考にすることがおすすめです。

マーケティングにおいてライブコマースを利用して成功した企業は、以下の3社です。

  • ユニクロ
  • 資生堂
  • 無印良品

それぞれ確認します。

事例①:ユニクロ

ユニクロは、1974年に創業された衣料品の製造・販売メーカーです。

ユニクロは2020年12月から「UNIQLO LIVE STATION」と呼ばれるライブ配信を開始し、自社商品の宣伝を行なっています。

動画配信の中では、タレントや有名人・ファッションモデルがユニクロの商品を着て登場し、コーディネートのポイントなどを解説しています。

また、動画配信を通して視聴者の疑問や悩みに回答しつつ、対話型で商品を紹介しています。

事例②:資生堂

資生堂は、化粧品の製造・販売を行う企業です。世界の120を超える地域で化粧品の販売を手掛けています。

資生堂は2020年の7月から日本国内でライブコマースを開始しました。

資生堂のライブコマースでは、ビューティーコンサルタントやメイクアップアーティストなどコスメの専門家が、化粧品やメイク法を紹介しながら視聴者の質問に答えています。

資生堂のライブコマースは商品に関する質問が気軽にできるため、ライブ配信を通した商品の販売・売上の増加につながっています。

事例③:無印良品

無印良品は、生活用品やファッションアイテムの販売を行う企業です。

無印良品はライブコマースを通して、人気のある商品を紹介しています。

ライブコマースではただ商品の紹介をするだけでなく、生活に活かせる知識とあわせた商品の解説を行っています。

無印良品の商品がどのように生活に活用できるのかを紹介することで、購買者の獲得につなげています。

ライブコマースの学びにおすすめの本

ライブコマースの学びにおすすめの本

ライブコマースを利用したマーケティング手法を理解するためには、本を活用した学習が有効です。

ライブコマースの利用法を学ぶためにおすすめの本は、以下の2冊です。

  • 成果を上げるライブコマースの教科書
  • 売れる「ライブコマース」入門

それぞれの本の内容を紹介するので、ライブコマースの学習に役立ててください。

成果を上げるライブコマースの教科書

『成果を上げるライブコマースの教科書』はライブコマース市場の原理や売上を伸ばすための利用方法が示されています。

インターネットを利用した店舗以外での売上経路を確保したい企業におすすめの一冊です。

本書は、ライブコマースを始めたばかりの企業でもわかるように、基礎的な内容が解説されています。

今後、ライブコマースを利用して自社商品の売上を増加させたい企業は、ぜひ参考にしてください。

売れる「ライブコマース」入門

『売れる「ライブコマース」入門』は、これからライブコマースの利用を検討している企業向けに、ライブコマースの基礎的な配信方法が示されています。

本書では、今後の日本におけるライブコマースの可能性についても触れており、自社商品のマーケティングにおいてライブコマースを利用する有効性を理解することができます。

ライブコマースを利用したマーケティング手法を基礎から学び、今後のマーケティング戦略に活かしたい企業におすすめの一冊です。

ライブコマースに関するQ&A

ここまで企業がライブコマースをマーケティングで利用するメリットや成功事例など、網羅的に解説してきました。

最後に、ライブコマースに関してよくいただく質問をまとめています。

Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ライブコマースは個人事業主でも利用できる?

ライブコマースは、個人事業主でも利用することが可能です。

配信に必要なアプリをインストールして、動画配信で販売したい商品をアピールすることで自社商品の認知拡大を目指すことができます。

ライブコマースは大企業、中小企業、個人事業主に関わらず、手軽にマーケティングで利用することができます。

企業がライブコマースを行うには研修やセミナーへの参加が必要?

社内でライブコマースに関する知識やスキルを持つ人がいない場合は、研修やセミナーへの参加がおすすめです。

ライブコマースを正しく理解できていなければ、顧客の購買意欲を刺激するライブ配信はできません。

一方で、社内にライブコマースの知識やスキルを持つ人がいる場合、研修やセミナーは必須ではありません。

その場合、ライブコマースを行うための知識やスキルを共有できる体制を整えておくことが重要です。

ライブコマースは今後一般的なマーケティング手法になる?

デジタル化の進行により、ライブコマースを利用したマーケティング手法は一般的になることが予想されます。

ライブコマースを利用してマーケティングを行うことで、自社商品を効果的に販売することが可能です。

将来的に大きな利益を出すために、今のうちからライブコマースを利用することがおすすめです。

ライブコマースを活用して自社商品の売上を伸ばそう

今後の社会では、ライブコマースの利用による自社商品の販売が一般的になります。

デジタル化が進む中で自社商品の売上を伸ばすためにも、ライブコマースの利用を検討してはいかがでしょうか。

マーケティング方法において競合他社との差別化を図るためにも、上手にライブコマースを活用しましょう。

監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

 

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当レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではございません。また、本内容は現時点での判断を示したに過ぎず、データ及び表現などの欠落、誤謬などにつきましては責任を負いかねますのでご了承ください。当レポートのいかなる部分もその権利はククレブ・アドバイザーズ株式会社及びククレブ・マーケティング株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、無断で複製または転送などを行わないようお願いします。