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リテラシーとは?ビジネスで求められるITリテラシーの意味や高め方を分かりやすく解説!

職場やメディアなど様々な場面でリテラシーという言葉を耳にする機会があります。

しかしながら、「リテラシー」という言葉の意味や使い方を聞かれたとしても明確に答えることができる人は多くありません。

本来、リテラシーとは「読み書きの能力」を指しますが、現代では「ITを正しく使いこなすための知識や能力」といった意味で使われることが多いです。

本記事では、リテラシーが示す意味やビジネスシーンで求められるITリテラシーの高め方について紹介します。

リテラシーを正しく理解することで、ビジネススキルの向上に役立ててください。

リテラシーとは

リテラシーとは

近年、「リテラシーが高い」「リテラシーが低い」といった言葉を日常的に耳にする機会が増えています。

しかし、皆さんはリテラシーという言葉の意味を正しく理解できているでしょうか。

まずは、リテラシーという言葉の意味や基礎知識を確認しましょう。

リテラシーの意味

本来、リテラシー(literacy)とは「読み書きの能力」を指します。

しかし、2000年代に入って世界のデジタル化が進む中で「読み書きの能力」とは違う意味で使われるようになりました。

現在では、リテラシーを「膨大な情報の中から適切な情報を抜き出し、活用する能力」や「インターネットを正しく使いこなすための知識や能力」といった意味で使うことが多くなっています。

コンピテンシーとの違い

リテラシーと似た言葉に、コンピテンシーがあります。

コンピテンシーとは、「職務や役職において優秀な成果を発揮する行動特性」を指します。

例えば、優秀な営業マンは元々優秀だったわけではなく、契約の取り方や喜ばれる資料の作り方などの経験を通して優秀だと言われる成果を出せるようになります。

このように、これまでの経験をもとに自身を成長させていく行動のことをコンピテンシーといいます。

リテラシーは外部からの情報を活用するのに対して、コンピテンシーは実際の経験を活用する点で異なります。

リテラシーの種類

リテラシーの種類

リテラシーはその一語で多くの意味が含まれます。しかし、昨今では、「◯◯リテラシー」と表現される言葉が多くあります。

それぞれの言葉で、指している意味が異なるためその違いについて確認しましょう。

ITリテラシーとは

インターネットに紐づく要素を理解して活用する力をITリテラシーと呼びます。

例えば、単純なパソコン操作やアプリの操作、キーボードのタイピングなどもITリテラシーに含まれます。

また、ITリテラシーは大きく以下の3つから構成されています。

情報基礎リテラシー

情報を「収集する」「使う」といった能力を情報基礎リテラシーと言います。

知りたい内容について、「どの情報が正しいのか」を判断することができなければ集めた情報も役に立ちません。

情報基礎リテラシーは、誰もが大量の情報を取得できるメディアやインターネットでの検索において、重要なスキルだと言えます。

ネットリテラシー

ネットワークやセキュリティについての技術的な知識を理解する能力をネットリテラシーと言います。

インターネットは、公開した情報が瞬く間に広がるため、安易な投稿が情報漏洩などにつながります。

個人で簡単に情報発信ができる現代だからこそ、インターネットの正しい使い方や適切なモラルを身につける必要があります。

コンピューターリテラシー

パソコンやスマホなどのIT機器を使いこなす能力をコンピューターリテラシーと言います。

日常の業務にパソコンを用いる場合、マウスやキーボードの操作方法の理解は必須です。

また、WordやExcel、PowerPointなどの基本的な操作方法・活用スキルの有無もコンピューターリテラシーに含まれます。

金融リテラシーとは

家計の管理や資産形成、金利、ローンの知識など、お金に関するリテラシーを金融リテラシーと言います。

経済的に自立して生きていくためには、お金に関する知識や判断が欠かせません。

そのお金に関する知識や判断力のことを金融リテラシーと呼びます。

最近では、資産運用や金融投資など、個人に対して求められる金融リテラシーの基準が高まっています。

求められるリテラシーの基準は、時代によって変化するので、その時代に合わせた知識の習得が必要です。

ヘルスリテラシーとは

健康に関する情報の理解や活用方法に関する能力をヘルスリテラシーと言います。

風邪の予防や健康管理、ストレス対応などの知識がこれに含まれます。

人の生命や生活の質(QOL)の維持・向上を考える際にヘルスリテラシーは重要です。

ビジネス場面では高いITリテラシーが求められる

ビジネス場面では高いITリテラシーが求められる

リテラシーという言葉に複数の種類がある中で、ビジネス場面で最も使われるのがITリテラシーです。

近年では、業務の効率を高めるためにITツールや業務管理システムを導入する企業が増えています。

最近では、紙媒体からデータへの移行やリモートワークを導入する企業も増えています。

デジタル化が進む昨今、ITリテラシーは企業の効率的な業務遂行のために、必要不可欠なスキルだといえるでしょう。

ビジネスにおけるITリテラシーを高めるメリット

ビジネスにおけるITリテラシーを高めるメリット

ITリテラシーを高めることは、企業にとっても大きなメリットがあります。

ITリテラシーが高いことで得られるメリットは以下の3つです。

  • 生産性が向上する
  • セキュリティの強化やトラブルを抑制することができる
  • より良い商品やサービスの開発につながる

それぞれ確認していきます。

生産性が向上する

ITリテラシーが高いと、業務の生産性の向上が期待できます。

ITリテラシーが高ければ、チャットの有効活用など社内連絡がスムーズにできます。

円滑なコミュニケーションにより、事業をスムーズに進めることができ、生産性の向上につながります。

また、仕事のタスク管理などITツールの活用によっても業務の生産性を向上させることが可能です。

セキュリティの強化やトラブルを抑制することができる

ITリテラシーを高めることが、セキュリティの強化やトラブルの抑制に繋がります。

企業が取り扱う顧客情報や機密情報などの漏洩は会社の信頼を損ねるばかりか、会社を破綻に追い込む可能性があります。

近年では、メモリーの保管やパスワードの流出によって企業の機密情報が流出するといったトラブルも発生しています。

ITリテラシーを高める事でセキュリティ面の向上を図るなど、様々なリスクに備えることが可能です。

より良いサービスの開発につながる

会社のITリテラシーの向上によって、サービス開発が上手くいく場合もあります。

「TikTok」の運営会社であるBytedanceや宇宙開発企業のスペースXのような、近年急速に成長をとげている企業の多くはIT技術をうまく有効活用しています。

IT技術の有効活用は、より良いサービスの開発につながり、企業の成長を加速させます。

企業として、より良いサービスの開発や事業の拡大を図るためにも、ITリテラシーの向上は重要です。

ビジネスにおけるITリテラシーが低いことのデメリット

ビジネスにおけるITリテラシーが低いことのデメリット

デジタル化が進む現代において、会社全体のITリテラシーが低いことで同業社との競争に後れをとるといったデメリットがあります。

ITリテラシーが低いことで発生する代表的なデメリットには、以下の3つがあります。

  • 情報共有のミスが起こる
  • 炎上が起こるリスクが高まる
  • ニューノーマルへの移行が停滞する

それぞれ確認していきましょう。

情報共有のミスが起こる

ITリテラシーが低いと、情報共有のミスが起こる場合があります。

社内での情報共有の方法は企業によって異なりますが、現代における情報共有の方法の多くはメールやチャットサービスです。

ITリテラシーが低く、ツールを上手く活用することができなければ社内の情報共有が円滑になりません。

その結果社内で上手く連携を取ることができず、業務の進行に支障をきたしてしまう可能性があります。

炎上が起こるリスクが高まる

ITリテラシーが低いと、情報発信の際に炎上リスクが高まります。

不適切な情報発信は、ネット上での炎上を招き企業イメージを大きく低下させます。

炎上をしてしまった企業は、売上低下や顧客離れなど経営に大きな損害を被る可能性があります。

また、インターネットに公開した情報は完全に削除することが難しいため、一度の投稿が長期に渡る炎上に発展する恐れがあります。

ニューノーマルへの移行が停滞する

変化の激しい現代社会では、次々と新たな常識やサービスが生まれます。

社員のITリテラシーが低く、情報収集能力に欠けていると社会の変化を的確に捉えることができません。

企業経営において、社会の変化に適した商品やサービスの開発は必要不可欠です。

ニューノーマルへの移行が停滞することは、企業の存続にも影響を及ぼすデメリットだと言えます。

企業がITリテラシーを効率よく高めるための3つのポイント

企業がITリテラシーを効率よく高めるための3つのポイント

社員のITリテラシーを効率よく高めるには、以下の3つのポイントを参考にしてください。

  • IT環境の整備
  • IT関連の研修実施
  • IT関連の資格取得支援

今後、ITリテラシーは時代の変化に合わせてますます高水準が求められるようになります。

それぞれのポイントを押さえることで、社員のITリテラシーの向上に努めてください。

IT環境の整備

企業においてITリテラシーを高めるためには、IT環境の整備が重要です。

そもそも、日頃からパソコンやシステム、クラウドなどデジタルデバイスに触れていなければITリテラシーは高まりません。

そのため、まずはデジタルデバイスや最新の技術にアクセスしやすい環境を設備することが重要です。

IT関連の研修実施

個人の取り組みによってITリテラシーを高めることは可能ですが、より高度なスキルの習得には研修の実施がおすすめです。

ITスキルの高い個人や研修を行っている企業から直接スキルを学ぶことで、効率よくITリテラシーを高めることができます。

サービスのなかには、ITに関する様々なスキルアップを目的とした研修が存在するため、自分の会社や個人のレベルに適した研修を選択してください。

IT関連の資格取得支援

IT関連の資格を習得することで、より高いITリテラシーを身に付けることができます。

しかし、資格取得のためには学習にかかる金額的なコストと学習のための時間が必要です。

会社から試験料や資格取得に必要な手当などの支援を行うことで、社員のITリテラシーの向上を目指しましょう。

おすすめのITリテラシー研修会社3選

おすすめのITリテラシー研修会社3選

社内のITリテラシーを高めるためには、ITリテラシーを向上させる研修の導入がおすすめです。

特に、これまでITリテラシーを活用してこなかった企業は、研修を取り入れることで業務の効率化にもつながります。

比較的安い料金で、質の高い研修を受けることができるサービスを紹介します。

自社の現状を考えて、最適な会社に研修を任せてみてください。

SAMURAI TERAKOYA

法人向けのサブスク型IT研修サービスが受けられるのは株式会社SAMURAIの『SAMURAI TERAKOYA 法人プラン』です。

このサービスを利用することで、ITに関する基礎教養から実際のフロントエンド、バックエンド、インフラといった技術的な内容まで幅広く学ぶことができます。

また、本研修の受講によって未経験からでも自走できるエンジニアを育てることが可能です。

動画コンテンツを視聴する事で、プログラミング学習の前提知識からWEBサイト制作・WEBアプリ開発まで実践的なスキルの習得に役立ちます。

1人あたりの費用も安く、気軽に研修サービスを受けることができるため、エンジニアの育成に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

テックアカデミービジネス

企業によって、自社で高めたいITリテラシーは異なります。

テックアカデミービジネスでは、50を越えるコースから各社に最適な研修プランを受講することができます。

また、学習内容や研修期間を自由にカスタマイズすることができるため、自社に最適な研修を受講することができます。

研修を行う講師は、全員実務経験が3年以上の現役エンジニア/デザイナーです。

専門性の高いプロに教わる事で、効率よくITリテラシーを高めることができます。

日立アカデミー

日立アカデミーは、社員に身に付けたいスキルから研修コースを選ぶことができます。

また、ITリテラシーを高めるための研修はもちろんのこと、ビジネススキルの向上や新人育成のための研修も用意されています。

日立アカデミーでは様々な用途の研修を用意しているため、目的に合わせてセットで取り入れたい企業におすすめです。

ITリテラシーの向上に役立つ資格4選

ITリテラシーの向上に役立つ資格4選

今後、IT関連の業務を行う部署への配属を希望する人は、ITに関する資格の取得がおすすめです。

また、企業としても社員や組織のITリテラシーを高めるために資格取得支援を実施することで、組織のITリテラシーを高めることができるでしょう。

ITリテラシーの向上におすすめの資格は以下の4つです。

  • ITパスポート
  • IC3
  • 情報セキュリティマネジメント
  • P検

資格①:ITパスポート

ITパスポート試験とは、経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験の一区分である国家試験です。

取得する事で、情報技術に関する基礎的な知識を有することの証明になります。

ITパスポート試験を通してITに関する専門的な知識を身に付けることで、ITを活用した業務効率化やビジネス拡大、コンプライアンスの強化に役立ちます。

ITパスポート試験の合格率は50%程度であり、取得のためには100時間〜150時間程度の学習が必要です。

資格②:IC3

IC3とは、ITに関する高い知識とスキルを証明する国際資格です。

取得難易度は比較的低く、合格率は80%程度です。

出題される問題はITに関する基礎的な問題が多いため、独学でも十分に取得可能です。

取得する事でITやWeb系企業の転職・就職を有利に進めることができます。

資格③:情報セキュリティマネジメント

情報セキュリティマネジメント試験は、独立行政法人 情報処理推進機構により主催される国家資格です。

情報セキュリティマネジメントの資格を取得することで社員のセキュリティに対する知識・意識を高めることができ、サイバー攻撃から企業や組織を守るのに役立ちます。

情報セキュリティマネジメント試験の合格率は、50%程度と中程度の難易度です。

資格④:P検

P検とは、総合的なICT活用能力を問う資格試験です。

1級から5級まで試験が用意されており、自身のITスキルに応じた試験を受けることができます。

P検を取得する事でタイピングやWord、Excel、PowerPointの使用方法・スキルを習得することができます。

デジタルデバイスの使い方など、コンピューターリテラシーを高めたい方におすすめの資格です。

ITリテラシーを高めるおすすめの本3選

ITリテラシーを高めるおすすめの本3選

独学でITリテラシーを高めるには、研修や資格試験に加え、本を用いた学習もおすすめです。

本による学習は、研修や資格と比べて安い価格で学びを深めることができます。

ITリテラシーを高めるためにおすすめの本は以下の3冊です。

  • マンガで学ぶITの基礎
  • イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb技術の基本
  • コンピューター&テクノロジー解体新書

それぞれ確認していきます。

マンガで学ぶITの基礎

『マンガで学ぶITの基礎』は、スマートフォンの機能や活用方法などを1つ1つ分かりやすく解説しています。

ITに関する知識をマンガで説明しているので、活字が苦手な人でも簡単に理解することができます。

ITに関する基礎的な内容が説明されているため、これからITリテラシーを高めていきたい人におすすめの1冊です。

イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb技術の基本

今後、Webスキルを用いた業務を行う方におすすめなのが『イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb技術の基本』です。

Webに関する用語を1つ1つ丁寧に解説しているため、Webに関する知識がない人でも理解しやすい内容になっています。

ITリテラシーを高めることで、実務に活かしたい方におすすめの1冊です。

コンピューター&テクノロジー解体新書

『コンピューター&テクノロジー解体新書』には、コンピューターの動作原理からハードウェア、ソフトウェア、通信に関する知識が示されています。

イラストを用いて説明されているため、IT初心者でも具体的な技術をイメージすることができます。

IT技術の歴史的な過程も紹介されているため、1からITに関する基礎知識を学びたい方におすすめの書籍です。

ITリテラシーに関するQ&A

ここまでリテラシーに関する基礎知識や企業経営に求められるITリテラシーについて網羅的に解説してきました。

最後に、ITリテラシーに関してよくいただく質問をまとめました。

Q&A形式で紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ITリテラシーを測定する方法は?

ITに関する質問集を使用することで、ITリテラシーの高さを測定することができます。

様々な媒体で、ITリテラシーに関するチェックリストが公開されているので参考にしてください。

また、ITリテラシー研修の前後にチェックリストを用いることで、研修後の効果を測定することが可能です。

【ITリテラシーチェック例】

  • インターネットで自分の知りたい情報を収集できる
  • アプリやソフトのダウンロード・インストールができる
  • ワンクリック詐欺やフィッシングメールなどを見分けることができる

ITリテラシーは独学で高めることができる?

簡単なIT機器の使用方法を学ぶのであれば本やインターネット記事などを活用することで、独学でITリテラシーを高めることができます。

対して、システム開発や企業で求められるような高いレベルのITリテラシーは独学での習得が難しく、時間がかかりすぎます。

求められるITリテラシーの高さによっては、スクールや研修を受けた方が効率良い場合があるので、自分の状況に合わせて洗濯してください。

ITリテラシーを高めて効率的な企業経営をしよう!

社会のデジタル化が進むなかで、企業利益を最大化するためにITリテラシーを身に付けることは必須です。

より質の高い業務を行えるように、日頃からITリテラシーの向上に力を入れましょう。

企業として、会社全体のITリテラシーを高めるためには、研修や資格支援制度を取り入れることが有効です。

本記事で紹介した研修や資格を参考に、ITリテラシーを高めるためのサポート体制を整えてください。

監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。

 

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