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ガントチャートとは?業務管理に取り入れる際の留意点を実務経験にもとづき解説!

ガントチャートとは、プロジェクト管理や生産管理などの工程管理を目的に、横軸に時間、縦軸に作業内容や担当者を配した棒グラフ状の図表を指します。

様々な管理手法が存在する中、本記事では当社での経験も踏まえガントチャートを導入する際に留意すべきポイントを解説します。

今後、ガントチャートの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ガントチャート(Gantt chart)の普及

アメリカ人の機械工学者であり、経営コンサルタントでもあったヘンリー・ガント氏が提唱したチャート式の工程表「ガントチャート」は約100年の歴史があります。

日本でガントチャートがビジネスパーソンの耳に届くようになったのは2000年以降。
サイト制作やプロジェクト管理ツールとして、約20年、理系、エンジニア、サイト制作者にとっての作業工程ツールでした。

 

サイト制作、プロジェクト管理のためのガントチャート

ガントチャートは製造業の作業現場で、いわゆる「工程表」として利用されてきましたが、デジタルの領域においては、RFP(Request for Proposal)「提案依頼書」をもとに、プロジェクト管理や生産管理など、作業計画を視覚的に表現するために用いられてきました。当社もガントチャートを当該ポータルサイトCCReB GATEWAY制作の際に利用していました。

ガントチャートは管理側にとって、サイト制作が予定通りに進捗しているか、確認するために大変便利なツールです。ガントチャートの導入により、誰が、何を、いつまでに納品するのか、作業内容を縦軸に、時間を横軸に、俯瞰することが可能となりました。

  • デイリー(日)
  • ウィークリー(週)
  • マンスリー(月)
  • クオーター(四半期)
  • ハーフ(半期)
  • アニュアル(年間)

一方、現場の目線では、自身の業務が予定より遅れていないか、確認するツールとして有効に機能してきました。チームプレーが求められる昨今、自身の作業の遅れはガントチャートで明確になり、日々の作業を自己管理するために重要なツールとなりました。

 

営業が活用可能なガントチャート

これまでは、サイト制作中心に利用されることが多かったガントチャート。
最近では、営業の活動を技術者に見てもらい、営業が吸い上げてきたクライアントの声を聞くきっかけになっています。

営業の報告はSFA(Sales Force Automation_営業支援ツール)に登録すれば良いのですが、詳細に入れる前に、クライアントのニーズを汲み取り、フィードバックするきっかけになるのがガントチャートです。

営業がガントチャートを利用することのメリットは多々ありますが、入力作業で疲れてしまうことのないように、簡単に入力できるのがガントチャートの良いところです。

最大の注意点は、上司からCSVへのアウトップットやデータ加工を要求されることがないよう配慮する必要があります。

 

「人力によるエクセル入力」は「悪いデジタル化」

デジタル化の解説において、エクセルでの管理をメリットとして紹介する事例がありますが、当社の考えるデジタル化は、「エクセル処理」、特に「人力によるエクセル入力」は「単なるアナログ作業」であり、「悪いデジタル化」の象徴として認識しています。

エクセル入力しなくて済むことで、現場の負担が大幅に軽減されます。マネジメントが数字を俯瞰したいのであれば、SFAやBIツール(Business Intelligence_データの収集、蓄積、分析を迅速に行い、意思決定を支援することを指す)のダッシュボードの表記、表現に注文をつけるべきです。現場の作業が減らないのであれば、そもそもデジタル化は失敗しています。

デジタル業務において、上司からの『あとはよろしく』は結果的に現場の入力作業が増えるので、御法度です。

デジタルに理解あるマネジメント層はエクセルでの提出指示を出さず、での見える化に対応し、部下に指示を出すように心がけたいものです。

ガントチャートも同様の注意が必要であり、エクセルでの加工処理を指示せずに、チャートを見て、関係者が確認できる習慣を身に着けることが肝要です。

 

情報発信を担う部署(広報、宣伝、マーケティング)と営業部門をつなぐコミュニケーションツールとしてのガントチャートの役割

近年の企業の情報発信活動は、デジタル業務をベースに、広報、IR、広告は三位一体のポートフォリオを組んでいく時代に突入しました。この三部門がサイロ化していたのでは、効率的にかつ効果的に情報発信活動を展開していくことは不可能です。

そこで広報部門、IR部門そして広告部門の3部門が、すり合わせを行える「情報発信用のガントチャートの雛形」の作成を推奨します。

ステークホルダーに会社の様々な情報を発信し、パーパスを説明、解説していくことを否定する方はいないと思いますが、これらの部門はそれぞれの部署が部分最適でバラバラに情報発信し、業務をこなしてきた歴史を持っています。

・ニュースリリースに重きを置き、社長のトップインタビューを仕切ってきた広報部門
・上場企業として、株主へのケアを尽くし、株主総会を仕切ってきた総務、IR部門
・販促・営業活動を事業部門とともに練り、仕込んだキャンペーンが話題となってきた経験のある広告・マーケティング部門。

それぞれ重要な役割を担うがゆえに、隣の部署への情報発信との共有は不足しがちです。
こうした背景から、事業部門は、これまで三部門に対し、別々に商品やサービスを説明する機会を設けてきました。

三部門それぞれの強みをガントチャートで俯瞰し、スケジュール管理することで、事業部門からの説明をベースに、より効果的な対外情報発信を行うことが可能となります。

 

ガントチャートの今後

2022年11月、グーグル(Google)は、グループウェア「Google Workspace」向けに、「Google Sheets」の新機能として、タスクの開始日、終了日、説明、担当者を記載してプロジェクトを管理する、いわゆるガントチャート機能、タイムラインビュー(Timeline View)を追加しました。これまでパイロット版として運用してきたサービスですが、汎用性のあるサービスとして注目を集めています。

タイムラインビューは、日、週、月、四半期、年、複数年の表示が可能です。

 

ガントチャートが不動産業界に適したツールに!

今後は業界別に雛形、テンプレートが普及し、当たり前のようにガントチャートが使われていくと推測しています。
当社は、ガントチャートが不動産業界には最も適したツールだと認識しています。

・BIM(Building Information Modeling)測量、リサーチ、見積、工事、竣工の工程
・CREでは、物件のリサーチ、計画、リスク管理、振り返り、実行
・不動産IDでは、データ集約、分析、ID統合、連携

 

ジョブ型雇用の時代にあった作業工程管理ツール それがガントチャート!

上司が部下に「今の状況どうなっている?」と口頭やメールで確認。
言われる部下は不快に感じ、モチベーションがダウンします。

作業工程の進捗状況はガントチャート導入により、上司・部下双方のストレスを解消することが可能となります。ジョブ型雇用が標準化する中、1on1の面談で管理側は「何を聞いて良いか分からない」現場側は「どう答えて良いか分からない」といったことのないよう、ガントチャートを活用し、職務記述書(job description)と照らし合わせることで、事実に基づく確認が容易になります。

チーム意識の高い世代、組織ほど、自分の作業が遅れていることで、同僚に迷惑をかけることのないようお互いに頑張ります。

ガントチャート活用によって、こうした雰囲気が自然にできあがればベストです。ガントチャートの思想は、サッカーやラグビーの「One for All, All for One」の精神と同じベクトルだとも言えます。

 

ワード→エクセル→パワーポイント→そしてガントチャート利用の時代へ

まずはガントチャートにトライしてみてください。
新年を迎え、新しい部署が創設され、春から新しいプロジェクトが始まる。そういった時期にこそ、ガントチャートの活用の好機です。

汎用性が高まり、利用しやすい環境になると、デジタル化は一気に進みます。

ITの各ソフト・ツールがいつか来た道を振り返れば、ワードもエクセルもパワーポイントも最初はアーリーアダプターだけが利用していました。アーリーアダプターがユーザーとして使い始め、便利にあることに周囲が気づけば、情報共有のツールとして定着します。

そして、デジタル化を語る必要がなくなります。

 


 

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監修

ククレブ・アドバイザーズ株式会社 代表取締役
ククレブ・マーケティング株式会社 CEO
宮寺 之裕
大手リース会社、不動産鑑定事務所を経て、J-REITの資産運用会社の投資部門にて企業不動産(CRE)に携わる。
大手事業法人のオフバランスニーズ、遊休地の活用等、数々の大手企業の経営企画部門、財務部門に対しB/S、P/Lの改善等の経営課題解決を軸とした不動産活用提案を行い、取引総額は4,000億円を超える。不動産鑑定士。
2019年9月に不動産Techを中心とした不動産ビジネスを手掛けるククレブ・アドバイザーズ株式会社を設立。
2021年10月にはデータマーケティング事業を主軸としたククレブ・マーケティング株式会社を設立し、現在に至る。